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第2話 モーニングコール再び
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土曜は予定通り、丸一日を荷解きに費やした。段ボールの山はすっかり消え、畳まれた状態で廊下を埋めている。
片付けで疲れた俺は、食事を作る気力もない。朝昼と同じように、コンビニ弁当で夕食を済ませ、風呂に入ることにした。
風呂トイレ別、しかも追い焚き機能付きの風呂である。せっかくの機能を使わないわけにいかない。俺は浴槽に湯をはり、親の仕送り品の中に何故か入っていた入浴剤を入れる。
よくある、温泉のもと的なやつ。温泉なんてもう何年も行ってねえなあ……などと思いながら入浴剤をかき混ぜる。
頭と体を洗った後、ようやく風呂に浸かる。引っ越しや荷解きで溜まった疲労が消えていく。気持ちいいなあ……好きな時に熱い風呂に浸かれるのは最高だな……などと思いながら、結構な長風呂をしてしまった。
体は暑いくらいに温まっている。水分補給をしている間にも眠気が襲ってくる。
……明日は日曜だ、今度こそゆっくり寝てやる。流石に2日続けて同じ夢など見ないだろう。
俺はベッドに入ると、10秒ほどで眠りについた。
***
「おはよう……もう朝よ?いつまで寝てるつもり?まったく、早く起きなさい」
なんてことだ。俺はまた、女の声で眠りから呼び戻されていた。
だが、昨日と違い今日の声は、セクシーさを感じる大人の女に聞こえる。
「なんなんだよ一体……休みの日くらい……好きなだけ寝かせてくれ……」
夢だとしても、文句の一つでも言わないと気が済まない。俺はすぐ眠りに戻れるよう、目を閉じたまま、そう言った。
だが、その直後。
「あら坊や、休みの日も規則正しく生活しないとダメよ」
まさかの返答に、俺の眠気は完全に吹き飛んだ。ガバッと体を起こすが、誰もいない……。
「……、なんなんだ一体」
しばらくボーッとしていた俺は、その瞬間、とある可能性に至る。
「まさか……、ゆ、幽霊……?」
そ、そんなわけあるか!必死でその考えを否定しつつも、俺の背筋はブルっと震えた。
片付けで疲れた俺は、食事を作る気力もない。朝昼と同じように、コンビニ弁当で夕食を済ませ、風呂に入ることにした。
風呂トイレ別、しかも追い焚き機能付きの風呂である。せっかくの機能を使わないわけにいかない。俺は浴槽に湯をはり、親の仕送り品の中に何故か入っていた入浴剤を入れる。
よくある、温泉のもと的なやつ。温泉なんてもう何年も行ってねえなあ……などと思いながら入浴剤をかき混ぜる。
頭と体を洗った後、ようやく風呂に浸かる。引っ越しや荷解きで溜まった疲労が消えていく。気持ちいいなあ……好きな時に熱い風呂に浸かれるのは最高だな……などと思いながら、結構な長風呂をしてしまった。
体は暑いくらいに温まっている。水分補給をしている間にも眠気が襲ってくる。
……明日は日曜だ、今度こそゆっくり寝てやる。流石に2日続けて同じ夢など見ないだろう。
俺はベッドに入ると、10秒ほどで眠りについた。
***
「おはよう……もう朝よ?いつまで寝てるつもり?まったく、早く起きなさい」
なんてことだ。俺はまた、女の声で眠りから呼び戻されていた。
だが、昨日と違い今日の声は、セクシーさを感じる大人の女に聞こえる。
「なんなんだよ一体……休みの日くらい……好きなだけ寝かせてくれ……」
夢だとしても、文句の一つでも言わないと気が済まない。俺はすぐ眠りに戻れるよう、目を閉じたまま、そう言った。
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まさかの返答に、俺の眠気は完全に吹き飛んだ。ガバッと体を起こすが、誰もいない……。
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しばらくボーッとしていた俺は、その瞬間、とある可能性に至る。
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