ほしくずのつもるばしょ

瀬戸森羅

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おはなし

南中の約束

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 あらゆることが私を刺激することはなくなっていた
 日々擦切れるように使われ
 家に帰っては泥のように眠る
 そしてまた目覚めては…日々は繰り返されるばかり
 以前はそうじゃあなかった
 ガキの頃はどんなことでも楽しみに過ごせたし
 しらない場所に行こうものなら
 母ちゃんの手がちぎれるほどはしゃいだ
 言うならばあの頃がピークってやつだったんだろ
 私はまだ世間一般でいう若いっていう括りにあるのかもしれない
 しかしどうにも味気ない
 日々に華がない
 そんなふうに思いながら灰色の日々を過ごしていたある日のこと
 ある娘と知り合った
 それは別に貴族の令嬢だとか特別に美しい娘だとかではなかった
 だがいつからか私は彼女の無垢な笑みに心を奪われていた
 紅い桃のような頬が好きだった
 甲高いのにどこか落ち着く声が好きだった
 青白く細い可憐な身体が好きだった
 私の世界は気づけば鮮やかに色付いていた
 そして決めたのだ
 私はこの娘を生涯愛すのだと
 過ぎ去ったと思っていたピークは今この時訪れたのだった
 私はこの娘と結ばれた
 絶対に幸せにしてみせる
 ただ、今回は少しだけ離れることになりそうだ
 大丈夫だ
 すぐに帰ってくる
 だからお前は、待っていてくれ
 帰る前には手紙を送る
 だからお前は、待っていてくれ
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