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星の降る丘へ
第14話 夜の咲く小道
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第14話 夜の咲く小道
☆前回のあらすじ
ミッディの指導で魔力の使い方を身につけたルナとサン。今まで感じることの出来なかった魔力の残滓からその土地に宿る記憶に干渉することができるようになっていた。桜の咲く河原道で古の祭りに参加したサンは遥かなる祖先"ヒト"と交流することができた。
「ねぇねぇ、ここら辺はすごく見晴らしがいいね!」
「そうね。天気もいいし、辺りの山の桜がすごく綺麗。」
「う~ん!ほんとにいい天気だねぇ!」
「こんな日は歩いてても気持ちがいいね。」
「うんうん!弾みながら歩きたくなる!」
そんな事を言いながら私たちが歩いていると…。
「…あれっ!?」
先頭を歩いていたサンが急に大きな声を上げて跳ね上がった。
「どうしたの?」
「ちょっと!もう少し歩いてきて!」
「なによ…。」
言われるままにサンの近くまで歩いていった。すると…。
「…え?」
思わず絶句してしまった。辺り一面が闇に包まれたのだ。
「なにこれ?」
「…夜…だね…。」
「なになに?どうしたの~?」
「アミィ、もうちょっとこっちにきて。」
「はいは~い。」
「…どう?」
「うん、夜だね。」
「いやそれはわかったから!」
「でもまあただの夜じゃないよ。毎度おなじみ魔法絡みだよ。」
「なんかユリィズの森のことを思い出すわ…。」
「そうだね。空間を丸ごと夜にしている。近くに魔法の発生源があるはずだよ。」
「物なの?魔法使いじゃなくて?」
「うん。今回は魔法使いの気配じゃないよ。そしてなんと!アミィセンサーにも反応がある!」
「ということは…この夜の正体を暴けば何か得るものがあるということね。」
「その通り!じゃあとりあえず灯りが欲しいね。」
「そうね。夜って言っても月の明かりすらないような暗闇だもの…。」
「何か火種はある?」
「あ、待って。私がやる。」
「お、まさか?」
「ムーンライト!」
私が叫びながら片手を上げると私たちの頭上に心地よい灯りを放つ球体が浮かんだ。
「すごいね!こんなこともできるんだ!ルナは攻撃的な魔法ってきいたからちょっと意外かも。」
「本当は攻撃用なのよ?これ。」
「え?」
「この丸いの、結構硬いのよ。」
「ひぇっ…。」
「まあでも攻撃用魔法をうまく活用してるあたりルナは賢いね!」
「ありがと。」
「よ~し、それじゃあ行こう!この小道を進んでいけば答えは見えてくるはず!」
「おー!」
「あんまり離れないでね。この領域の真ん中で光を失ったら戻れそうにないもの…。」
「うん、そうだね。なんだかルナは頼もしくなったねぇ。」
「そんなことないわよ。」
「僕は?」
「……うん。」
「なんだよー!」
「それじゃあ手を繋いで行こうよ。」
「そうしようか。」
「あ、ぷにぷに。」
「…離すわよ?」
「うわぁっ!やめて!」
「ルナの手、あったかいねぇ。」
「あら、アミィもよ。」
「アミィは冷たいじゃんか。」
「あったかいわよ。」
「えぇー?そうかなぁ?」
「……ちょっと待って。」
「ん?」
「サン、あなた私とアミィの手を握ってるわよね?」
「そうだよ?」
「それで、私もあなたの手を握ってて、アミィの手も握ってる。」
「うん。」
「ボクはルナの手しか握ってないよ?」
「…え?」
「だって私が真ん中でしょ?サンがアミィの手を握れるはずないじゃない。」
「はは…え、だって僕、手を握ってるよ?」
「…ちょっと、止まりましょうか。」
私たちは立ち止まり、ムーンライトをサンの隣に呼ぶことにした。
「あらら、バレちゃった?」
「誰っ!?」
そこには今まで会ったこともないシャラが立っていた。
「怪しいヤツ…どうしようか。」
「待って待って!私もあなたたちと同じ魔法使いなのよ!」
「…魔法使い?」
「うん。少し前にここに迷い込んで…明かりが近づいてきたからついすがりついちゃったの。…迷惑だったかしら?」
「ううん、そんなことないよ!僕たちも怖かったから、多分君も大変だったでしょ。一緒に行こう!」
「ありがとう!お言葉に甘えさせてもらってもいいかしら?」
「…アミィ。」
「…うん。」
「あ、いいの?じゃ行こう!僕はサン!君は?」
「私はマハル!とりあえずこの領域から出たい…。」
「それじゃあ進もう!」
私たちは暗い小道を進んで行った。
「ねぇサン。他の2匹についてきいてもいい?」
「ああ、ルナとアミィだよ。僕たちはねぇ、ちょっと特別な旅をしてるんだ。」
「サンッ!!」
「わっ!なに?」
「…危ないから集中して歩いて。」
「わ…わかったよ。」
「な、なんか怖いね。」
「いつもはこんなじゃないんだけど…。」
私はサンの手を強く握った。
「いてて…黙るよ…。」
しばらく歩くとアミィが声を上げた。
「あれだね。この夜の正体は。」
そこにあったのは真っ黒な薔薇だった。
「すごい色…まるで全部吸い込まれそうな…。」
「黒渦の薔薇。これは太陽の光を遮断する結界を作ってしまうんだ。ここら辺がずっと真っ暗だったのはそのせい。」
「でもどうしてこれがセンサーに反応したの?」
「ルナが持っていた方がいいってことじゃない?」
「でもこんなものを持っていたらずっと周りが暗くなっちゃう…。」
「そこは安心して!これを使うから。」
アミィは何かが書かれた布を取り出した。
「なにこれ?」
「これは魔法の性質を封じることの出来る布なんだ。これに包んでおけば結界を発生させることなくこれを持ち歩けるよ!」
「それは便利…。でも使っちゃっていいの?」
「大丈夫大丈夫。ボクなら簡単に作れるから。」
「あなた…すごいわね。そんな魔力を持つなんて…。」
「…それほどでも。」
「さて、それじゃあさっさと抜けようか。この花から離れれば結界を抜けるでしょう。」
「あ、でもちょっと待って?」
「どしたのマハル。」
「うーん、おかしいなぁ。もう少しのはずなんだけど…。」
「…だから、何が?」
「あ、大丈夫そう。うん。そうそう、この子たち。」
「え?」
「サン!離れて!」
私がサンと手を離して飛び退くと、さっきまで私がいた場所に何かが突っ込んできた。
「うわっ!なんかヒュってした!」
「油断しないで!あとそいつから手を離さないで!」
「え?あれ?手、離れてた…。」
「くッ!じゃあ私のムーンライトに集まって!」
「な…なんだよう…。」
「ルナ。」
「うん。やっぱりそうだった。」
「ちょっと、ルナたちさっきから変だよ。」
「あんたはおとぼけさん!アミィが言ってたこと覚えてないの!?」
「…んー。」
「あのマハルってやつ、魔法使いだけどセンサーに反応しなかったの。」
「それが?」
「…崩星信者だよ。」
「えっ!それって!」
「私たちの、敵よ。」
☆前回のあらすじ
ミッディの指導で魔力の使い方を身につけたルナとサン。今まで感じることの出来なかった魔力の残滓からその土地に宿る記憶に干渉することができるようになっていた。桜の咲く河原道で古の祭りに参加したサンは遥かなる祖先"ヒト"と交流することができた。
「ねぇねぇ、ここら辺はすごく見晴らしがいいね!」
「そうね。天気もいいし、辺りの山の桜がすごく綺麗。」
「う~ん!ほんとにいい天気だねぇ!」
「こんな日は歩いてても気持ちがいいね。」
「うんうん!弾みながら歩きたくなる!」
そんな事を言いながら私たちが歩いていると…。
「…あれっ!?」
先頭を歩いていたサンが急に大きな声を上げて跳ね上がった。
「どうしたの?」
「ちょっと!もう少し歩いてきて!」
「なによ…。」
言われるままにサンの近くまで歩いていった。すると…。
「…え?」
思わず絶句してしまった。辺り一面が闇に包まれたのだ。
「なにこれ?」
「…夜…だね…。」
「なになに?どうしたの~?」
「アミィ、もうちょっとこっちにきて。」
「はいは~い。」
「…どう?」
「うん、夜だね。」
「いやそれはわかったから!」
「でもまあただの夜じゃないよ。毎度おなじみ魔法絡みだよ。」
「なんかユリィズの森のことを思い出すわ…。」
「そうだね。空間を丸ごと夜にしている。近くに魔法の発生源があるはずだよ。」
「物なの?魔法使いじゃなくて?」
「うん。今回は魔法使いの気配じゃないよ。そしてなんと!アミィセンサーにも反応がある!」
「ということは…この夜の正体を暴けば何か得るものがあるということね。」
「その通り!じゃあとりあえず灯りが欲しいね。」
「そうね。夜って言っても月の明かりすらないような暗闇だもの…。」
「何か火種はある?」
「あ、待って。私がやる。」
「お、まさか?」
「ムーンライト!」
私が叫びながら片手を上げると私たちの頭上に心地よい灯りを放つ球体が浮かんだ。
「すごいね!こんなこともできるんだ!ルナは攻撃的な魔法ってきいたからちょっと意外かも。」
「本当は攻撃用なのよ?これ。」
「え?」
「この丸いの、結構硬いのよ。」
「ひぇっ…。」
「まあでも攻撃用魔法をうまく活用してるあたりルナは賢いね!」
「ありがと。」
「よ~し、それじゃあ行こう!この小道を進んでいけば答えは見えてくるはず!」
「おー!」
「あんまり離れないでね。この領域の真ん中で光を失ったら戻れそうにないもの…。」
「うん、そうだね。なんだかルナは頼もしくなったねぇ。」
「そんなことないわよ。」
「僕は?」
「……うん。」
「なんだよー!」
「それじゃあ手を繋いで行こうよ。」
「そうしようか。」
「あ、ぷにぷに。」
「…離すわよ?」
「うわぁっ!やめて!」
「ルナの手、あったかいねぇ。」
「あら、アミィもよ。」
「アミィは冷たいじゃんか。」
「あったかいわよ。」
「えぇー?そうかなぁ?」
「……ちょっと待って。」
「ん?」
「サン、あなた私とアミィの手を握ってるわよね?」
「そうだよ?」
「それで、私もあなたの手を握ってて、アミィの手も握ってる。」
「うん。」
「ボクはルナの手しか握ってないよ?」
「…え?」
「だって私が真ん中でしょ?サンがアミィの手を握れるはずないじゃない。」
「はは…え、だって僕、手を握ってるよ?」
「…ちょっと、止まりましょうか。」
私たちは立ち止まり、ムーンライトをサンの隣に呼ぶことにした。
「あらら、バレちゃった?」
「誰っ!?」
そこには今まで会ったこともないシャラが立っていた。
「怪しいヤツ…どうしようか。」
「待って待って!私もあなたたちと同じ魔法使いなのよ!」
「…魔法使い?」
「うん。少し前にここに迷い込んで…明かりが近づいてきたからついすがりついちゃったの。…迷惑だったかしら?」
「ううん、そんなことないよ!僕たちも怖かったから、多分君も大変だったでしょ。一緒に行こう!」
「ありがとう!お言葉に甘えさせてもらってもいいかしら?」
「…アミィ。」
「…うん。」
「あ、いいの?じゃ行こう!僕はサン!君は?」
「私はマハル!とりあえずこの領域から出たい…。」
「それじゃあ進もう!」
私たちは暗い小道を進んで行った。
「ねぇサン。他の2匹についてきいてもいい?」
「ああ、ルナとアミィだよ。僕たちはねぇ、ちょっと特別な旅をしてるんだ。」
「サンッ!!」
「わっ!なに?」
「…危ないから集中して歩いて。」
「わ…わかったよ。」
「な、なんか怖いね。」
「いつもはこんなじゃないんだけど…。」
私はサンの手を強く握った。
「いてて…黙るよ…。」
しばらく歩くとアミィが声を上げた。
「あれだね。この夜の正体は。」
そこにあったのは真っ黒な薔薇だった。
「すごい色…まるで全部吸い込まれそうな…。」
「黒渦の薔薇。これは太陽の光を遮断する結界を作ってしまうんだ。ここら辺がずっと真っ暗だったのはそのせい。」
「でもどうしてこれがセンサーに反応したの?」
「ルナが持っていた方がいいってことじゃない?」
「でもこんなものを持っていたらずっと周りが暗くなっちゃう…。」
「そこは安心して!これを使うから。」
アミィは何かが書かれた布を取り出した。
「なにこれ?」
「これは魔法の性質を封じることの出来る布なんだ。これに包んでおけば結界を発生させることなくこれを持ち歩けるよ!」
「それは便利…。でも使っちゃっていいの?」
「大丈夫大丈夫。ボクなら簡単に作れるから。」
「あなた…すごいわね。そんな魔力を持つなんて…。」
「…それほどでも。」
「さて、それじゃあさっさと抜けようか。この花から離れれば結界を抜けるでしょう。」
「あ、でもちょっと待って?」
「どしたのマハル。」
「うーん、おかしいなぁ。もう少しのはずなんだけど…。」
「…だから、何が?」
「あ、大丈夫そう。うん。そうそう、この子たち。」
「え?」
「サン!離れて!」
私がサンと手を離して飛び退くと、さっきまで私がいた場所に何かが突っ込んできた。
「うわっ!なんかヒュってした!」
「油断しないで!あとそいつから手を離さないで!」
「え?あれ?手、離れてた…。」
「くッ!じゃあ私のムーンライトに集まって!」
「な…なんだよう…。」
「ルナ。」
「うん。やっぱりそうだった。」
「ちょっと、ルナたちさっきから変だよ。」
「あんたはおとぼけさん!アミィが言ってたこと覚えてないの!?」
「…んー。」
「あのマハルってやつ、魔法使いだけどセンサーに反応しなかったの。」
「それが?」
「…崩星信者だよ。」
「えっ!それって!」
「私たちの、敵よ。」
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