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普通な俺は転生しても普通を目指す
ドンドンニを一緒に
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「ごめんなさい……もう大丈夫です」
俺から身体を離したフィーナは、少し暗い表情でそう言う。
「これ以上続けたら、オレ、諦めきれなくなっちゃいそうで、少し怖かったんです。でも今なら……気持ちよくお別れできそうな気がします。……最後まで迷惑かけて、本当にすみません」
頭を下げて謝罪するが、それを受けても俺自身罪悪感があるから素直に受け取ることもできない。
しかしそれを否定してやると、更に話はややこしくなりそうなので、それとなく流すことにした。
「お前の気が済んだなら、それでいい」
「……はい」
それ以上にかける言葉を持たない俺は、少しぎこちない距離を保ちつつ村へと歩を進めた。
村に着くも、時刻はまだ昼下がり。
流石にレベッカはまだ学校にいるだろうな。
「そういえば、あの時レベッカさん、ご飯作って待っててくれたんですよね」
「ん、そうだな。今度は俺たちがやってみるか!」
「そうですね! きっと喜ぶと思います!」
そうと決まれば商店で買い出しだ。
レベッカの好きな料理は……。
「そういえば、俺の記憶の中のレベッカとは食生活が違うよな」
「レベッカさんは家庭料理を好むようです。あの時教えてくれたんです」
「家庭料理か……」
「ダンナさんが作ってくれたらより嬉しいんじゃないですかぁ?」
「言うなぁ」
吹っ切れたのかわからないがそんな風に揶揄う。あまり深掘りせずに軽く笑って流した。
「しかし家庭料理……何がいいかな」
「ご主人様って、あんまり料理は得意ではないですよね」
「う、うん」
「オレは腕を磨きましたけど、レベッカさんに召し上がっていただく以上、ご主人様が主体になってお料理した方が良いと思います」
「一理ある……これからはフィーナに任せることはできないものな」
「……そんなわけで、初心者にもおすすめ。簡単でみんなで美味しく食べられる。そんなお料理がございます」
「きかせてくれ、その料理の名を」
「ドンドンニです!」
ドンドンニ!
「……ってなに?」
「知らないんですか? 有名だと思ったんですが……」
多分もとの世界の俺、たかしのとこにもなかったし食糧難だったもとの世界線の俺、マークのとこにもなかった。
「いいですか? ドンドンニっていうのは、野菜とお肉をスパイスで煮込んだ……」
「あ、わかったそれ。茶色いでしょ」
「ピンクですよ?」
「ピンク!?」
なんそれ!
「ちょっと予想した食べ物からだいぶ離れたな……」
「とりあえず揃えましょうか。ポジャの根とホル肉と~……」
フィーナに言われるままに材料を買っていく。
……ていうかまんまカレーじゃないですかこれ?
「あとはこのルーを買って……」
ほらもうルーって言ってるし。
……っと。このルーがピンクなんだな。ほぼ同じじゃんじゃあ。
「このシュリパの甘辛さがヤミツキになるんですよ」
「あ、甘いの? 辛いの?」
「是非味わってください! 驚きますから!」
レベッカへの食事の用意のはずが俺の方が楽しみになってきてしまったな……。
「それで? こいつは何と食うんだ?」
「米ですよ」
「カレーライスじゃん!」
「かれぇらいす?」
フィーナは首を傾げる。
「いやその……ほぼ同じ料理があったんだよ。なぜかこの世界、米は名前同じだし……」
「米ってもとの世界にはあったんですか?」
「他のものもあったよ。名前が違うけどな。でも米は同じだ。不思議だよな」
「確かにそれは……でも、おいしいです!」
「それは……そう」
「ですよね!」
なんか微妙に話題が逸れた気がするが……まぁいいか。
「じゃあ帰って早速作り始めましょう!」
揃えた材料を買って俺たちは家に帰った。
「あ~……久しぶりだ」
家に入って早々俺は伸びをする。
「数日前に来ましたよね?」
「この身体が声を上げてるんだよ。帰ってきたぞーって」
「やっとですもんね……」
「今の俺ならなんでも作れる! なんでも食える!」
「よぉし、じゃあ作っていきましょう!」
時刻は午後三時。
米を炊いておくのと食材を煮込むのとで必ず時間はかかる。
だが焦らずに確実に作り上げるだけの時間はある。
「フィーナ。美味しいものを作りたい。教えてくれないか?」
「もちろんですよ! オレもレベッカさんに美味しいものを食べてほしいです!」
「まずはじゃあ……なにしたらいい?」
「野菜を洗ってからその皮を……」
それからはフィーナ先生の指導により着実にドンドンニは完成へと近づいていった。
まぁそんな複雑な工程があるわけではない料理だったわけだが……そんな中でできた俺の指のキズはある意味で勲章のようなものかもしれない。
「よぉし、いい感じですね! これならきっと間に合います!」
なんやかんや手こずってしまい、もう既に四時を過ぎてしまっていた。
「もう少ししたら学校終わるかも。レベッカに会うには今しかないか」
「向かってください! あとはもう煮込むくらいですから!」
「お、おう! 頼んだぞ!」
ドンドンニのことはフィーナに任せて俺は学校へ向かうことにした。
ようやくこの姿でレベッカに会える……!
もうその時はすぐそこまで迫っている。
高鳴る胸を抑えながら俺は家を出て走り出した。
俺から身体を離したフィーナは、少し暗い表情でそう言う。
「これ以上続けたら、オレ、諦めきれなくなっちゃいそうで、少し怖かったんです。でも今なら……気持ちよくお別れできそうな気がします。……最後まで迷惑かけて、本当にすみません」
頭を下げて謝罪するが、それを受けても俺自身罪悪感があるから素直に受け取ることもできない。
しかしそれを否定してやると、更に話はややこしくなりそうなので、それとなく流すことにした。
「お前の気が済んだなら、それでいい」
「……はい」
それ以上にかける言葉を持たない俺は、少しぎこちない距離を保ちつつ村へと歩を進めた。
村に着くも、時刻はまだ昼下がり。
流石にレベッカはまだ学校にいるだろうな。
「そういえば、あの時レベッカさん、ご飯作って待っててくれたんですよね」
「ん、そうだな。今度は俺たちがやってみるか!」
「そうですね! きっと喜ぶと思います!」
そうと決まれば商店で買い出しだ。
レベッカの好きな料理は……。
「そういえば、俺の記憶の中のレベッカとは食生活が違うよな」
「レベッカさんは家庭料理を好むようです。あの時教えてくれたんです」
「家庭料理か……」
「ダンナさんが作ってくれたらより嬉しいんじゃないですかぁ?」
「言うなぁ」
吹っ切れたのかわからないがそんな風に揶揄う。あまり深掘りせずに軽く笑って流した。
「しかし家庭料理……何がいいかな」
「ご主人様って、あんまり料理は得意ではないですよね」
「う、うん」
「オレは腕を磨きましたけど、レベッカさんに召し上がっていただく以上、ご主人様が主体になってお料理した方が良いと思います」
「一理ある……これからはフィーナに任せることはできないものな」
「……そんなわけで、初心者にもおすすめ。簡単でみんなで美味しく食べられる。そんなお料理がございます」
「きかせてくれ、その料理の名を」
「ドンドンニです!」
ドンドンニ!
「……ってなに?」
「知らないんですか? 有名だと思ったんですが……」
多分もとの世界の俺、たかしのとこにもなかったし食糧難だったもとの世界線の俺、マークのとこにもなかった。
「いいですか? ドンドンニっていうのは、野菜とお肉をスパイスで煮込んだ……」
「あ、わかったそれ。茶色いでしょ」
「ピンクですよ?」
「ピンク!?」
なんそれ!
「ちょっと予想した食べ物からだいぶ離れたな……」
「とりあえず揃えましょうか。ポジャの根とホル肉と~……」
フィーナに言われるままに材料を買っていく。
……ていうかまんまカレーじゃないですかこれ?
「あとはこのルーを買って……」
ほらもうルーって言ってるし。
……っと。このルーがピンクなんだな。ほぼ同じじゃんじゃあ。
「このシュリパの甘辛さがヤミツキになるんですよ」
「あ、甘いの? 辛いの?」
「是非味わってください! 驚きますから!」
レベッカへの食事の用意のはずが俺の方が楽しみになってきてしまったな……。
「それで? こいつは何と食うんだ?」
「米ですよ」
「カレーライスじゃん!」
「かれぇらいす?」
フィーナは首を傾げる。
「いやその……ほぼ同じ料理があったんだよ。なぜかこの世界、米は名前同じだし……」
「米ってもとの世界にはあったんですか?」
「他のものもあったよ。名前が違うけどな。でも米は同じだ。不思議だよな」
「確かにそれは……でも、おいしいです!」
「それは……そう」
「ですよね!」
なんか微妙に話題が逸れた気がするが……まぁいいか。
「じゃあ帰って早速作り始めましょう!」
揃えた材料を買って俺たちは家に帰った。
「あ~……久しぶりだ」
家に入って早々俺は伸びをする。
「数日前に来ましたよね?」
「この身体が声を上げてるんだよ。帰ってきたぞーって」
「やっとですもんね……」
「今の俺ならなんでも作れる! なんでも食える!」
「よぉし、じゃあ作っていきましょう!」
時刻は午後三時。
米を炊いておくのと食材を煮込むのとで必ず時間はかかる。
だが焦らずに確実に作り上げるだけの時間はある。
「フィーナ。美味しいものを作りたい。教えてくれないか?」
「もちろんですよ! オレもレベッカさんに美味しいものを食べてほしいです!」
「まずはじゃあ……なにしたらいい?」
「野菜を洗ってからその皮を……」
それからはフィーナ先生の指導により着実にドンドンニは完成へと近づいていった。
まぁそんな複雑な工程があるわけではない料理だったわけだが……そんな中でできた俺の指のキズはある意味で勲章のようなものかもしれない。
「よぉし、いい感じですね! これならきっと間に合います!」
なんやかんや手こずってしまい、もう既に四時を過ぎてしまっていた。
「もう少ししたら学校終わるかも。レベッカに会うには今しかないか」
「向かってください! あとはもう煮込むくらいですから!」
「お、おう! 頼んだぞ!」
ドンドンニのことはフィーナに任せて俺は学校へ向かうことにした。
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高鳴る胸を抑えながら俺は家を出て走り出した。
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