六道プリンセス!~世界一民度の低い町で、人類を守るために闘う魔法少女たち~

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第6章 出現! 悪魔のプリンセス!

第68話 こんな日本に誰がした

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「……花蓮お姉ちゃん。私は実は阿比須夕子前のクローンなのよ」

 そう、優子……阿比須夕子前は私に告げた。

 自分が阿比須族滅流開祖のクローンであると。

 ……信じられなかった。
 漫画や小説の中でしかお目にかかっていない、人間のクローンが目の前にいるなんて。

 彼女は続けた。

「……私の末裔が私の今のこのボディを、私の木乃伊から取ったDNAを元に作ったの。自分のハラを使ってね。そして10人以上の生贄を捧げ、黒魔術を駆使して私を召喚。その私をこのボディに入れた……」

 そう、苛立ちと悲しみが入り混じった表情で口にした。

「一体何のために……?」

 私が思わずそう問い返すと

「……帝に成り代わるために、私を味方にしようとした」

 優子は怒っていた。

「私が味方になるとでも思ったのか。ふざけおって……速攻で叩き伏せ、警察に突き出してあげたよ」

 怒りながら、そう不愉快そうに言い、話始めた。

 ……自分の身の上話を。



 阿比須夕子前は、当時の幕府の支配者である執権・北条時宗に「今後3度目の元寇があったとしても、問題なく撃退できるように。場合によっては侵略者の中枢を直接叩くことが可能になるように」と、1対軍で一方的に敵を蹂躙できる最終武術の開発を命じられた。
 そして5年の月日を掛け、編み出したのが阿比須族滅流。
 族滅流と名付けたのは、開発時に考案した技を3件の族滅命令に投入。その全ての案件を3日の間に完了させたから。
 これが殺人技であるという戒めと、罪人とはいえ技の礎になった反乱者たちへの敬意。

「……阿比須族滅流は、この国のために作り出した武術。それなのに……」

 その声は本当に悔しそうで悔しそうで。

「……この国は一体どうしてこうなってしまったの?」

 ギリッ、と優子は歯噛みして。
 一気に吐き捨てるように言い出した。

「降霊術でクローンボディに転生させられ、再度現世に生を受けたら驚いた。見事にどいつもこいつも自分のことしか考えておらぬ! 不都合が起きれば他責! 我はこんな民を守るために阿比須族滅流を作ったのではない!」

 ……怒りのためかな。
 口調が優子のものでは無くなっている。

「家のため、武芸のために庭に生首を絶やさない自己研鑽精神は一体何処に行った!? 遊んでばかりではないか! 屋敷の前を縁起が悪く汚らしい旅人が通り過ぎたら即殺する厳格な掟を護る精神こころはどこにいったのじゃ!?」

 優子の声は嘆きに満ちていた。
 自分が死んでいる間に、日本に何が起きたのか、と。 

「花蓮お姉ちゃん! 我の言ってることは間違って無いよね!?」

 強い視線。
 強い視線で私を見る。

 その視線を受けて……

 私はそれに「そんなこと無い!」って言えなかった。

 今まで妖魔獣として発狂《りかい》させて、他責心を爆散させてきた人間。
 本当に、ろくでもない人たちだった。

 違ったのは、この前の藤上さんだけだ。

「初代様!」

 そこに今まで傍観していた咲さんが立ち向かった。
 咲さんは真正面から言い返す。

「確かにそういう人間が多いのは事実です! しかし! そんな人間ばかりじゃないです! 初代様は鴉が黒いという命題を覆すには、たった1羽でも白い鴉を見つければいいという散様の格言をご存じ無いんですか!?」

「知らん!」

 そりゃそうだ。
 覚悟のススメがいつの作品だと思ってるのよ咲さん。
 鎌倉時代の人が知ってるわけ無いじゃん。

 どうしよう……どうすれば鎌倉時代の人を説得できるの……?

 そう思っていたときだ

「そこの幼女! その怒り、周囲を責める心! 立派な妖魔獣になれるぞ!」

 ……忘れていた!
 宙を浮く金髪マッチョマン……ノロジー!

 ノロジーが、初代様=優子に話し掛けてきたんだ。
 妖魔獣に勧誘するために。

 私は衝撃を受ける。
 咲さんも同じだろう。

 どうしよう……初代様が妖魔獣になってしまったら……!?
 焦燥感。
 恐怖。

 そこに

「……良かろう。この悍ましい民草の心根を叩き直せるのであれば、我はたとえ悪魔とでも手を組もうぞ!」

 ……初代様の肯定!
 戦慄する。

 ノロジーは哄笑した。

「ガハハハハー! フレアー様! この者に殺戮のパワーを!」

 ノロジーの言葉で、初代様に白い光が集まり、吸収されていく。
 そして……

 ズズズ……と、優子の身体が膨張……いや、成長していく。

 7才の姿から……私と同い年くらいの姿に。
 彼女は私の予想通り……

 私と同い年くらいの、腰に届くほど長い髪の、超絶美少女になっていた。

 そんな自分の姿を確認し、初代様

「おお……なかなか良いではないか。ここまで育てば、阿比須の技を存分に振るえる」

 その声に含まれる……

 武芸者としての悦び。

 妖魔獣化する前に着ていた服はパツパツになっていた。
 それがうっとおしいのか、初代様はそれを一息に破り捨てる。

 裸になってしまうけど、初代様は少しも恥ずかしそうにしていない。
 なんだが、ここで「服を着ろ」というのが常識が無いような気がしてくる感じで。

 実際ものすごく綺麗だったし、みっともなくなかった。
 贅肉の一切ついていない体躯。長い脚。
 そして薄く膨らんだ胸。

 この年代の少女としては、完璧な身体。

 ひとしきり、手に入れた身体を確認するように眺め。
 初代様は

 スッと手を伸ばして、指先でこちらを招く仕草をした。
 こう、言いながら

「そこの阿比須の技を受け継ぎし2人とも。まとめて来るがいい……揉んでやる」
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