4 / 39
1章:仕置人たち
第4話 下村文人(1)
しおりを挟む
地面に激突した金髪の不良少年の姿を見下ろして。
僕は一仕事終えたので相棒に連絡を入れる。
この仕事用ヘルメットには、動画撮影機能、暗視機能、通信機能、様々な機能が内蔵されている。
通信機能を起動させて、僕は相棒に連絡を入れた。
1コール後に、すぐに相棒と連絡が繋がる。
明るい少女の声だ。
「あやと~? 終わった?」
「……徹子、こっちは終わった。今、動画データを送る。後は頼む」
「ハイハイ~! こっちはやっとくから、明日、またいつものファミレスでね。じゃあ、お疲れ様」
相棒が僕を労って、その後通信が切られた。
これから、相棒が今下に居る不良少年の母親に、さっき撮影した動画を見せ。
その反応を撮影した後、そのまま母親を始末することになっている。
息子と自分の苦しみを味わわせてやりたい。
お客さんからの要望だ。
そういうことはなるべく叶えるのがプロの仕事ってものだろう。
僕は殺し屋をしていた。
一応、プロだ。
火車という組織に属する、プロ。
発祥は江戸時代初期。
社会の安定に伴って、自己救済のハードルが上がってきて、自然発生的に生まれた組織だ。
とても深く、晴らせない恨みを抱えた依頼人のほぼ全財産を頂く代わりに、相手が誰であっても殺害する。
それが例え、国家元首であろうとも。
そういう歴史と、実力を兼ね備えた組織。
僕はそこの一員なんだけど……
ウチの支部は……こういう復讐の依頼殺人を請け負うことに、欲望を、生き甲斐を感じてしまってる連中……そういうやつらの集まりだった。
いいことをしている気は全くない。
ただ、やりたいからやってるだけだ。
他の支部の同業者は……
代々そういう稼業の従事者だったり。
他にどうしても殺したい相手が居て、その交換条件だったり。
そもそも殺ししか保有する一流の技能が無いから、それ以外大金を稼げなくて仕方なくだったり。
やむを得ない事情を抱えているヤツが多いんだが。
僕は違う。全て自分の意思でやっている。
高校生のバイトとしては多額過ぎる額を稼げるし。
自分の異能を存分に活かしてやりたいことがやれるから、ありがたいと言うべきなのかね。
僕の異能……「錬成」
無生物を素材にして、生物以外のあらゆるモノを創造する能力……
この仕事は、それにはうってつけの仕事だと思う。
凶器の隠匿が余裕だし、証拠の隠滅も余裕。
あり得ないくらいに、ハマる。
まぁもっとも、僕は金を使わないから、うってつけの仕事で稼いでもあまり意味は無いんだけど。
毎回、相棒との仕事の後のファミレスでのだべりは、いつもそれが話題だ。
明日も多分、そうなるだろう。生きてれば。
……下の奴、まだ生きてるかな?
ふと、思った。
まぁ、救急車を呼ぶ気はないし、ここに都合よく誰か来ることもまずないから、仮にまだ生きててもどのみち結果は変わらんか。
ミラクルに期待してくれ。生きてれば。
……申し遅れた。
僕の名前は、下村文人。
職業は、高校生の2年生。兼火車所属の、薄汚い人殺しだ。
僕は一仕事終えたので相棒に連絡を入れる。
この仕事用ヘルメットには、動画撮影機能、暗視機能、通信機能、様々な機能が内蔵されている。
通信機能を起動させて、僕は相棒に連絡を入れた。
1コール後に、すぐに相棒と連絡が繋がる。
明るい少女の声だ。
「あやと~? 終わった?」
「……徹子、こっちは終わった。今、動画データを送る。後は頼む」
「ハイハイ~! こっちはやっとくから、明日、またいつものファミレスでね。じゃあ、お疲れ様」
相棒が僕を労って、その後通信が切られた。
これから、相棒が今下に居る不良少年の母親に、さっき撮影した動画を見せ。
その反応を撮影した後、そのまま母親を始末することになっている。
息子と自分の苦しみを味わわせてやりたい。
お客さんからの要望だ。
そういうことはなるべく叶えるのがプロの仕事ってものだろう。
僕は殺し屋をしていた。
一応、プロだ。
火車という組織に属する、プロ。
発祥は江戸時代初期。
社会の安定に伴って、自己救済のハードルが上がってきて、自然発生的に生まれた組織だ。
とても深く、晴らせない恨みを抱えた依頼人のほぼ全財産を頂く代わりに、相手が誰であっても殺害する。
それが例え、国家元首であろうとも。
そういう歴史と、実力を兼ね備えた組織。
僕はそこの一員なんだけど……
ウチの支部は……こういう復讐の依頼殺人を請け負うことに、欲望を、生き甲斐を感じてしまってる連中……そういうやつらの集まりだった。
いいことをしている気は全くない。
ただ、やりたいからやってるだけだ。
他の支部の同業者は……
代々そういう稼業の従事者だったり。
他にどうしても殺したい相手が居て、その交換条件だったり。
そもそも殺ししか保有する一流の技能が無いから、それ以外大金を稼げなくて仕方なくだったり。
やむを得ない事情を抱えているヤツが多いんだが。
僕は違う。全て自分の意思でやっている。
高校生のバイトとしては多額過ぎる額を稼げるし。
自分の異能を存分に活かしてやりたいことがやれるから、ありがたいと言うべきなのかね。
僕の異能……「錬成」
無生物を素材にして、生物以外のあらゆるモノを創造する能力……
この仕事は、それにはうってつけの仕事だと思う。
凶器の隠匿が余裕だし、証拠の隠滅も余裕。
あり得ないくらいに、ハマる。
まぁもっとも、僕は金を使わないから、うってつけの仕事で稼いでもあまり意味は無いんだけど。
毎回、相棒との仕事の後のファミレスでのだべりは、いつもそれが話題だ。
明日も多分、そうなるだろう。生きてれば。
……下の奴、まだ生きてるかな?
ふと、思った。
まぁ、救急車を呼ぶ気はないし、ここに都合よく誰か来ることもまずないから、仮にまだ生きててもどのみち結果は変わらんか。
ミラクルに期待してくれ。生きてれば。
……申し遅れた。
僕の名前は、下村文人。
職業は、高校生の2年生。兼火車所属の、薄汚い人殺しだ。
2
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる