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4章:仕置
第32話 根鳥常史(5)
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隠れ家的居酒屋に予約を入れた。
ここ、魚以外にも牛や鳥の希少部位の刺身が味わえる店で。
加えて、日本酒の品揃えに力を入れてて。
地酒の地域数なんて、有名どころだけじゃなく、日本全国網羅する勢い。
まぁ、その分高いんだけど。
客は、酒を飲むのが本当に好きな、それなりに稼いでいる奴らに限られる。
俺みたいな、な。
貧乏人が来る店じゃないのよ。
俺たちの祝勝会には、ベストチョイスだろ?
俺たちのような、選ばれた人間には。
しかし、遅いな。
栄田。
電話にも出ないし。
何やってんだ?
予約テーブルについて、ずっと待っている。
予定時刻から20分過ぎてるのに、まだ来ない。
おかしいな。
あいつ、こういう席に飢えてて、大体いつも開始時刻前10分には現場に来てるのに。
ひょっとして寝てんのか?
俺は、ちょっと先にはじめとくか、とビールを注文する。
あまり強いの呑んで、祝勝会始める前にべろべろになってたらなんだかなー、だし。
あと、枝豆でも頼んでおくか。
しばらくすると注文の品が来て。
腹も減ってたし、さあ、ちょっとやってみるか、と思ったとき。
「課長……」
予想もしない訪問者が来た。
なんと、俺の未来の花嫁だ。
山本香澄。
どうしてここに?
どっかで見られたのか?
これは運命か?
彼女は、白いジャケットとタイトスカートという出で立ちで。
恥ずかしそうな顔で、もじもじしている。
「山本さん……?」
「お時間、よろしいですか?」
「……なんだい?」
彼女は言った。
消え入りそうな声で。
「……課長に抱かれてから、ずっとあのときの快感が忘れられなくて……」
ぐし、とスカートを握りながら。
「外で構わないです。今から、人目につかないところで……例えば店の陰で、私を抱いてくださいませんか?」
え?
マジ?
もう堕ちた?
すげえな。俺のチンポ。
見てるか? 元旦那の害虫?
お前の元女房、もう俺のものだぜ?
「し……しかし。今、僕、避妊具を……」
懸念事項。
「生でいいです」
「え……でも妊娠……」
「出来たら産みますから」
そして彼女は恥ずかしそうにこっそり棒状のものを見せてきた。
妊娠検査薬だ。
「陰性ですから大丈夫。今出来たら課長の子供です」
至れり尽くせり。
さすが高学歴女。100点だけある。
そっか。
半年待つ必要、ないのかぁ……
じゃあ、中出ししない理由ないよな。
俺は席を立つ。
ちょっと店の人に、席を外す。友達来たら通しといて、と言い残して。
俺たちは店を出て、路地裏に進んだ。
あぁ、ドキドキする。
こんなの、童貞を捨てたとき以来だわ……。
そして、完全に人目につかないポイントに入った時。
「課長!!」
彼女が抱き着いてきた。
俺はそれを抱き返す。
「山本さん!!」
ああ、これから孕ませ上等で……
「香澄って呼んでください……って、言うと興奮しやすか?」
……え?
声が、違ってない?
オッサンの声に聞こえるんだけど……?
あれ?
なんか、頭の禿げた太った中年のおっさんが、俺の腕の中にいた。
さっきまで、山本香澄が身に着けていた衣装を身に纏って。
「山本香澄だと思った? ざーんねん。おっさんでやすよ」
ニカッ
固まってる俺を見て、そのおっさんは笑いかけ……
輪郭が突如歪んで、スライム化し、巻き付いて来た。
え? え?
……苦しい……!
数秒後。
俺の意識が途絶えた。
……
………
気が付くと。
「え?」
俺は、どっかの知らない部屋で。
壁紙も貼ってないような、コンクリート打ちっ放しの部屋で。
素っ裸で。
金属製の椅子に拘束されていた。
「なんだよこれ!?」
俺は叫ぶ。
何がどうなってんだ!?
「ようやくお目覚めね」
「……地獄にようこそ」
声がした。二人分。
見ると、妙な黒いヘルメットを被った高校生に見える男女……学ランとセーラー服……が、居る。
女の方はソファで黒いビニール袋に入ったサッカーボール大のものを弄びながら。
男の方は、俺の前に据え付けられた大きなモニタのセッティングをしている。
……で、俺を撮影する形で、カメラが一台設置されている。
嫌な、予感がした。
「準備できたぞ」
「じゃあ、はじめよ」
そんな俺を他所に。
男が、モニタのスイッチを入れた。
映像が、浮かび上がる。
そこに居たのは。
スーツ姿のいい女。
俺の未来の花嫁・山本香澄だった。
ここ、魚以外にも牛や鳥の希少部位の刺身が味わえる店で。
加えて、日本酒の品揃えに力を入れてて。
地酒の地域数なんて、有名どころだけじゃなく、日本全国網羅する勢い。
まぁ、その分高いんだけど。
客は、酒を飲むのが本当に好きな、それなりに稼いでいる奴らに限られる。
俺みたいな、な。
貧乏人が来る店じゃないのよ。
俺たちの祝勝会には、ベストチョイスだろ?
俺たちのような、選ばれた人間には。
しかし、遅いな。
栄田。
電話にも出ないし。
何やってんだ?
予約テーブルについて、ずっと待っている。
予定時刻から20分過ぎてるのに、まだ来ない。
おかしいな。
あいつ、こういう席に飢えてて、大体いつも開始時刻前10分には現場に来てるのに。
ひょっとして寝てんのか?
俺は、ちょっと先にはじめとくか、とビールを注文する。
あまり強いの呑んで、祝勝会始める前にべろべろになってたらなんだかなー、だし。
あと、枝豆でも頼んでおくか。
しばらくすると注文の品が来て。
腹も減ってたし、さあ、ちょっとやってみるか、と思ったとき。
「課長……」
予想もしない訪問者が来た。
なんと、俺の未来の花嫁だ。
山本香澄。
どうしてここに?
どっかで見られたのか?
これは運命か?
彼女は、白いジャケットとタイトスカートという出で立ちで。
恥ずかしそうな顔で、もじもじしている。
「山本さん……?」
「お時間、よろしいですか?」
「……なんだい?」
彼女は言った。
消え入りそうな声で。
「……課長に抱かれてから、ずっとあのときの快感が忘れられなくて……」
ぐし、とスカートを握りながら。
「外で構わないです。今から、人目につかないところで……例えば店の陰で、私を抱いてくださいませんか?」
え?
マジ?
もう堕ちた?
すげえな。俺のチンポ。
見てるか? 元旦那の害虫?
お前の元女房、もう俺のものだぜ?
「し……しかし。今、僕、避妊具を……」
懸念事項。
「生でいいです」
「え……でも妊娠……」
「出来たら産みますから」
そして彼女は恥ずかしそうにこっそり棒状のものを見せてきた。
妊娠検査薬だ。
「陰性ですから大丈夫。今出来たら課長の子供です」
至れり尽くせり。
さすが高学歴女。100点だけある。
そっか。
半年待つ必要、ないのかぁ……
じゃあ、中出ししない理由ないよな。
俺は席を立つ。
ちょっと店の人に、席を外す。友達来たら通しといて、と言い残して。
俺たちは店を出て、路地裏に進んだ。
あぁ、ドキドキする。
こんなの、童貞を捨てたとき以来だわ……。
そして、完全に人目につかないポイントに入った時。
「課長!!」
彼女が抱き着いてきた。
俺はそれを抱き返す。
「山本さん!!」
ああ、これから孕ませ上等で……
「香澄って呼んでください……って、言うと興奮しやすか?」
……え?
声が、違ってない?
オッサンの声に聞こえるんだけど……?
あれ?
なんか、頭の禿げた太った中年のおっさんが、俺の腕の中にいた。
さっきまで、山本香澄が身に着けていた衣装を身に纏って。
「山本香澄だと思った? ざーんねん。おっさんでやすよ」
ニカッ
固まってる俺を見て、そのおっさんは笑いかけ……
輪郭が突如歪んで、スライム化し、巻き付いて来た。
え? え?
……苦しい……!
数秒後。
俺の意識が途絶えた。
……
………
気が付くと。
「え?」
俺は、どっかの知らない部屋で。
壁紙も貼ってないような、コンクリート打ちっ放しの部屋で。
素っ裸で。
金属製の椅子に拘束されていた。
「なんだよこれ!?」
俺は叫ぶ。
何がどうなってんだ!?
「ようやくお目覚めね」
「……地獄にようこそ」
声がした。二人分。
見ると、妙な黒いヘルメットを被った高校生に見える男女……学ランとセーラー服……が、居る。
女の方はソファで黒いビニール袋に入ったサッカーボール大のものを弄びながら。
男の方は、俺の前に据え付けられた大きなモニタのセッティングをしている。
……で、俺を撮影する形で、カメラが一台設置されている。
嫌な、予感がした。
「準備できたぞ」
「じゃあ、はじめよ」
そんな俺を他所に。
男が、モニタのスイッチを入れた。
映像が、浮かび上がる。
そこに居たのは。
スーツ姿のいい女。
俺の未来の花嫁・山本香澄だった。
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