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第3章
ハンバーグとステーキ
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「お待たせしました!ステーキ定食になります!」
「…どうも。」
「熱いのでお気をつけ下さい!」
「…お気遣いどうも。」
面倒臭そうに対応した大倉さんは、どうやら熱々のステーキを早く食べたいらしい。
「それではごゆっくり!」
ウェイトレスがいなくなった途端、大倉さんはステーキにナイフを入れて小さく刻むと、一切れを口に含んだ。
「うん、やっぱり美味い。肉は勿論だけど、焼き加減…あとソースも美味いんだよな。…あ、木田も食うか?」
物欲しそうに見ていたのがバレたのか、大倉さんが提案してくれる。
「えっ!?あっ……いいんですか!?」
「いいよ。俺はここのステーキは何回も食べに来てるし。」
「それなら…、遠慮なく頂きます。」
「じゃあ、はい。」
そう言うと、フォークにひと切れのステーキを刺して、俺の目の前に持ってきた大倉さん。
「……え?あの……」
「ん。」
いやいやいや!ん、って突き出されても一人で食べられるんですけど…!?
暫く黙って大倉さんを見てみたけど、そのまま微動だにしないので、仕方なくそのフォークからステーキを食べた。
「どうだ?美味いだろ?」
「あっ…美味いっ…です!!」
「そうだろ?本当に美味いんだよな!」
嬉しそうに笑う大倉さんには申し訳ないんですけど…緊張しすぎて、味が分からなかったことだけは言わないでおこう。
「なぁ、木田。」
「…はい?」
「お前のハンバーグも食べたいんだけど。」
「……はい??」
そして、口をあんぐりと開けて俺からのハンバーグを待つ大倉さん。
「ほら、早くしろよ。顎が外れる。」
「いやいやいや!自分で食べて下さいよ、大倉さん!」
「…お前は馬鹿だけじゃなくて、ケチなんだな。」
「ケッ…ケチ!?…わかりましたよっ!!食べさせればいいんでしょ!?」
「…そう来なくちゃな。物分かりが良くて助かる。」
俺は、ハンバーグの一切れをかなり大きめに切って、フォークに突き刺した。
「はい、大倉さん。ハンバーグですよー?」
一回では口に入らなそうなハンバーグを見て、大倉さんは余裕そうな笑みを浮かべた。
「…そんな程度じゃ、嫌がらせにもならないぞ?木田。」
そう言ったと思ったら、大きく口を開けて一口でパクリ。
さすがの俺も、大倉さんの大きな口に、開いた口が塞がらない。あれを一口でって、嘘ですよね??
「なっ…!?大倉さんって、負けず嫌いですね……。」
「お前が俺を揶揄おうとするなんて…一億年早いな。」
「いっ…一億年って!そんなことないですよ!!大体、歳だってそんなに変わらないですよね?」
「は?何言ってんだ。……俺は今年で、33だが?」
「えっ!?嘘、ですよね!?」
「自分の歳に嘘つく奴がいるかよ。……あ、女はサバ読んだりするか。」
「マ、マジですか……。全然見えないんですけど……。」
……ってことは、俺とは10歳近くも違うってこと!?……てっきり、20代後半だと思ってましたよ。
「失礼な奴だな。俺は、若く見られるのが一番嫌いなんだよ。」
「そ、そうなんですねぇ…。」
普段きっちりワックスでセットしているのには理由があったわけか…。
その後は黙々とご飯を食べ進め、無事完食した。昼ご飯でこんな贅沢をしたのは初めてだった。
「食べ終わったんなら帰るぞ。」
「は、はい!」
そして財布を出そうとしたら、大倉さんによって阻止された。
「今日は俺の奢りだ。」
「えっ!?そんな、悪いですよ!自分の分は出しますから!」
「年下は黙って奢られてろ。」
「……すみません、ありがとうございます。ご馳走です。」
「ん。」
自分で出す気は勿論あったが、俺は内心、得をしたなぁとニマニマしながら会社へと戻った。
「…どうも。」
「熱いのでお気をつけ下さい!」
「…お気遣いどうも。」
面倒臭そうに対応した大倉さんは、どうやら熱々のステーキを早く食べたいらしい。
「それではごゆっくり!」
ウェイトレスがいなくなった途端、大倉さんはステーキにナイフを入れて小さく刻むと、一切れを口に含んだ。
「うん、やっぱり美味い。肉は勿論だけど、焼き加減…あとソースも美味いんだよな。…あ、木田も食うか?」
物欲しそうに見ていたのがバレたのか、大倉さんが提案してくれる。
「えっ!?あっ……いいんですか!?」
「いいよ。俺はここのステーキは何回も食べに来てるし。」
「それなら…、遠慮なく頂きます。」
「じゃあ、はい。」
そう言うと、フォークにひと切れのステーキを刺して、俺の目の前に持ってきた大倉さん。
「……え?あの……」
「ん。」
いやいやいや!ん、って突き出されても一人で食べられるんですけど…!?
暫く黙って大倉さんを見てみたけど、そのまま微動だにしないので、仕方なくそのフォークからステーキを食べた。
「どうだ?美味いだろ?」
「あっ…美味いっ…です!!」
「そうだろ?本当に美味いんだよな!」
嬉しそうに笑う大倉さんには申し訳ないんですけど…緊張しすぎて、味が分からなかったことだけは言わないでおこう。
「なぁ、木田。」
「…はい?」
「お前のハンバーグも食べたいんだけど。」
「……はい??」
そして、口をあんぐりと開けて俺からのハンバーグを待つ大倉さん。
「ほら、早くしろよ。顎が外れる。」
「いやいやいや!自分で食べて下さいよ、大倉さん!」
「…お前は馬鹿だけじゃなくて、ケチなんだな。」
「ケッ…ケチ!?…わかりましたよっ!!食べさせればいいんでしょ!?」
「…そう来なくちゃな。物分かりが良くて助かる。」
俺は、ハンバーグの一切れをかなり大きめに切って、フォークに突き刺した。
「はい、大倉さん。ハンバーグですよー?」
一回では口に入らなそうなハンバーグを見て、大倉さんは余裕そうな笑みを浮かべた。
「…そんな程度じゃ、嫌がらせにもならないぞ?木田。」
そう言ったと思ったら、大きく口を開けて一口でパクリ。
さすがの俺も、大倉さんの大きな口に、開いた口が塞がらない。あれを一口でって、嘘ですよね??
「なっ…!?大倉さんって、負けず嫌いですね……。」
「お前が俺を揶揄おうとするなんて…一億年早いな。」
「いっ…一億年って!そんなことないですよ!!大体、歳だってそんなに変わらないですよね?」
「は?何言ってんだ。……俺は今年で、33だが?」
「えっ!?嘘、ですよね!?」
「自分の歳に嘘つく奴がいるかよ。……あ、女はサバ読んだりするか。」
「マ、マジですか……。全然見えないんですけど……。」
……ってことは、俺とは10歳近くも違うってこと!?……てっきり、20代後半だと思ってましたよ。
「失礼な奴だな。俺は、若く見られるのが一番嫌いなんだよ。」
「そ、そうなんですねぇ…。」
普段きっちりワックスでセットしているのには理由があったわけか…。
その後は黙々とご飯を食べ進め、無事完食した。昼ご飯でこんな贅沢をしたのは初めてだった。
「食べ終わったんなら帰るぞ。」
「は、はい!」
そして財布を出そうとしたら、大倉さんによって阻止された。
「今日は俺の奢りだ。」
「えっ!?そんな、悪いですよ!自分の分は出しますから!」
「年下は黙って奢られてろ。」
「……すみません、ありがとうございます。ご馳走です。」
「ん。」
自分で出す気は勿論あったが、俺は内心、得をしたなぁとニマニマしながら会社へと戻った。
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