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第1話 聖女はお姉様
しおりを挟むこの国は聖女に護られている国である――
そして、聖女神殿では毎日聖女が祈りを捧げ、国を護る結界に力を注いでいた――――
「あー!もう!毎日毎日祈ってばかりでつまらない!!」
彼女はこの国の聖女、へレーナ・エスピエス。
昼の祈りを終えたへレーナはドカッと部屋のソファに腰掛けるとテーブルの上に置かれた紅茶を乱暴に飲み干していく。
「仕方がないわ。だってお姉様は聖女なんですもの」
そして私は聖女へレーナの妹、アメリア・エスピエス。聖女の遣いとしてこの聖女神殿にお姉様と共に暮らしているのであった。
「ハァ、こんなに退屈だって知ってたら聖女になんてならなかったわよ!」
お姉様は不機嫌そうに言うと顔をしかめた。
私達エスピエス姉妹は、お姉様が10歳、私が9歳の頃にこの神殿に呼ばれた。私達を呼んだのはお姉様の前の聖女リサリア様。リサリア様は幼い私達にこう仰った。
「あなた達にはどちらも聖女になる力があるわ。そして、私に何かあった時、あなた達二人のどちらかが新たな聖女にならなければならない」
するとすぐにお姉様はこう言ったのだ。
「だったら私が聖女になるわ。だって、アメリアじゃ、聖女をやるには地味過ぎるでしょう?特別な役割は私がやるべきよ!」と――
それからお姉様は次期聖女として私は聖女の遣いとしてこの神殿で暮らし、聖女としての心得を直接リサリア様から教わった。そして、お姉様はリサリア様から聖女の力を受け継ぐ儀式を経て、リサリア様が天に召された後、新たな聖女として務めを果たしているのであった。
ちなみに聖女の遣いというのは、聖女になれる力を持ちながらも聖女にならなかった私に新しく作られた役職である。私は聖女の力を得る代わりに治癒の力を手に入れた。
私は、この治癒の力で聖女神殿に祈りを捧げに来てくれる者をこっそり治癒している。
すると聖女神殿へ行くと身体の調子が良くなると噂が広まり、更に神殿に祈りを捧げる人が集まるからだ。
皆で祈りを捧げる事は少なからずお姉様の助けになるから――
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