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番外編3 ルアナ(少しジェフ)
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少し時間は遡り、ルドルフとエリーナの結婚式――
「素敵!」「なんて美しいのかしら!」
エリーナのドレス姿に人々は感嘆の声を上げていた。
そして、ルアナもその一人であった。
「エリーナ様、ほんっとうにお美しかったわ!」
「ええ!それにあの豪華なドレス!ああ、私もあんなドレス着てみたいわあ!」
ケーリーとミラーがうっとりとして、口々に感想を述べていた。
「そういえば、ルアナ様も結婚の準備はいかが?」
「え、ええ。順調ですわ」
ルアナは、少し顔を引つらせたものの何事もないように笑顔を見せた。
「そう。良かったわ。ルアナ様の結婚式もとても楽しみにしているのよ。それにしても、ローレン様とアラン様の婚約発表には驚いたわね!」
「ええ、まさかの組み合わせで。ルアナ様は何か聞いておられたの?」
「い、いいえ。特には……」
ルアナは口を引くつかせて、視線を逸した。
「でも、今日のお二人の様子を見ていたらとても幸せそうで、良かったわよね」
「ええ。正直、アラン様が婚約破棄なされた時は、独身の令嬢達が我先にアピールしようと狙っていたけれど、ローレン様なら仕方がないわ」
ルアナは、ケーラーとミラーの話をぼんやりと聞きながら、遠くでエリーナ達と楽しそうに話すローレンとアランを羨ましそうに見つめた。
◇
帝都の衣装店――
ルアナは、ウェディングドレスの試着に訪れていた。
「えーと、ここのドレスのスカートには、もっと宝石を散りばめて遠くからでも光に照らされてキラキラ光るようにして欲しいの。それから、ここには刺繍を足して……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。前にも言ったが、そんなに贅沢なドレスは無理だよ」
ルアナの新しい婚約者ドーレ・ビカビリー伯爵は「今の追加はなしだ」と定員に言うとルアナを見た。
「ルアナ。この間のルドルフ皇太子殿下とエリーナ皇太子妃殿下の結婚式に影響されているのかもしれないが、あちらは皇太子。俺は田舎の伯爵だぞ。同じような贅沢な結婚式は出来ないよ!」
「結婚式は一生に一度なのよ!少しぐらい、贅沢したって良いじゃない!アラン様は、何でも希望を叶えてくれたのに……」
ポソッと言ってしまった一言にルアナが慌てた顔になる。
「ごめんなさい!違うのよ。私は、ドーレに一番可愛い私を見せたいだけなの!」
ドーレは、「はあ……」と呆れたようにため息を吐く。
「なんか……ルアナ、前よりもワガママになったよな」
「え?」
「500年前もお互い貴族だったけど、家柄も同じくらいだったから、価値観も同じだったけど……。今は、伯爵家っていっても、ルアナのラミエス家は名門だし、前の婚約者は、今や帝国騎士副団長でホーテミー侯爵家の嫡男だし……。正直、今のルアナを満足させられる生活を与えられる自信がない……」
「ご、ごめんなさい。私、少しワガママで……。でも、ドーレとは、前世で結婚できなかったから、現世こそは結婚したくて!」
ルアナのウルウルと瞳を潤ませ、ドーレを見つめた。
「ごめん。その気持ちも今はあんまり嬉しくないかな……。だって、ルアナは結婚する事が目的で、その後の生活の事、真剣に考えてる?何度も言ってるけど、家はただの田舎の伯爵だから、贅沢は出来ないし、使用人も少ないから、自分の事は自分でやってもらわないとだし、結婚したら帝都になんてよっぽどの事がなければ来られないよ」
「え……」
帝都に来られないんじゃ、ドレスはどこで買えばいいの?ダサい田舎の衣装店なんて嫌よ。
自分の事を自分でって……、ドレスは自分じゃ着られないし、髪を結うのも自分じゃ出来ないのにどうやって生活するの……!?
ルアナの深刻な顔に再びドーレは大きなため息を吐いた。
「ルアナ、どうやら俺達、結婚しない方が良さそうだな。婚約は、破棄しよう。君なら、あのドレスをキラキラ光るように出来る人と結婚出来るよ」
そう言うとドーレは、衣装店の扉を開けて出て行ってしまった。
衣装店に取り残されたルアナと衣装店の店員が、何とも気まずい空気の中、何とかルアナは声を絞り出した。
「あのドレス……、絶対に着るから取り置きしておいて!!」
ルアナは、そう言うと衣装店を飛び出したのだった――
◇
暗い長い階段を下って行くと、そこには帝国の地下牢がある――
「クソ……せっかく転生したのに、またこんな事に。またしてもあの二人に邪魔されるとは、あの兄弟……。いや、現世は主従か……。ことごとく、俺の邪魔しやがる。だが、俺はこんな所で終わる男じゃないさ。次こそは、この世界を手中に納めてやるさ!!死んだってまた、転生するんだからな!ハッハッハッハッ!」
ジェフの野望は地下牢よりも深かった――
fin
「素敵!」「なんて美しいのかしら!」
エリーナのドレス姿に人々は感嘆の声を上げていた。
そして、ルアナもその一人であった。
「エリーナ様、ほんっとうにお美しかったわ!」
「ええ!それにあの豪華なドレス!ああ、私もあんなドレス着てみたいわあ!」
ケーリーとミラーがうっとりとして、口々に感想を述べていた。
「そういえば、ルアナ様も結婚の準備はいかが?」
「え、ええ。順調ですわ」
ルアナは、少し顔を引つらせたものの何事もないように笑顔を見せた。
「そう。良かったわ。ルアナ様の結婚式もとても楽しみにしているのよ。それにしても、ローレン様とアラン様の婚約発表には驚いたわね!」
「ええ、まさかの組み合わせで。ルアナ様は何か聞いておられたの?」
「い、いいえ。特には……」
ルアナは口を引くつかせて、視線を逸した。
「でも、今日のお二人の様子を見ていたらとても幸せそうで、良かったわよね」
「ええ。正直、アラン様が婚約破棄なされた時は、独身の令嬢達が我先にアピールしようと狙っていたけれど、ローレン様なら仕方がないわ」
ルアナは、ケーラーとミラーの話をぼんやりと聞きながら、遠くでエリーナ達と楽しそうに話すローレンとアランを羨ましそうに見つめた。
◇
帝都の衣装店――
ルアナは、ウェディングドレスの試着に訪れていた。
「えーと、ここのドレスのスカートには、もっと宝石を散りばめて遠くからでも光に照らされてキラキラ光るようにして欲しいの。それから、ここには刺繍を足して……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。前にも言ったが、そんなに贅沢なドレスは無理だよ」
ルアナの新しい婚約者ドーレ・ビカビリー伯爵は「今の追加はなしだ」と定員に言うとルアナを見た。
「ルアナ。この間のルドルフ皇太子殿下とエリーナ皇太子妃殿下の結婚式に影響されているのかもしれないが、あちらは皇太子。俺は田舎の伯爵だぞ。同じような贅沢な結婚式は出来ないよ!」
「結婚式は一生に一度なのよ!少しぐらい、贅沢したって良いじゃない!アラン様は、何でも希望を叶えてくれたのに……」
ポソッと言ってしまった一言にルアナが慌てた顔になる。
「ごめんなさい!違うのよ。私は、ドーレに一番可愛い私を見せたいだけなの!」
ドーレは、「はあ……」と呆れたようにため息を吐く。
「なんか……ルアナ、前よりもワガママになったよな」
「え?」
「500年前もお互い貴族だったけど、家柄も同じくらいだったから、価値観も同じだったけど……。今は、伯爵家っていっても、ルアナのラミエス家は名門だし、前の婚約者は、今や帝国騎士副団長でホーテミー侯爵家の嫡男だし……。正直、今のルアナを満足させられる生活を与えられる自信がない……」
「ご、ごめんなさい。私、少しワガママで……。でも、ドーレとは、前世で結婚できなかったから、現世こそは結婚したくて!」
ルアナのウルウルと瞳を潤ませ、ドーレを見つめた。
「ごめん。その気持ちも今はあんまり嬉しくないかな……。だって、ルアナは結婚する事が目的で、その後の生活の事、真剣に考えてる?何度も言ってるけど、家はただの田舎の伯爵だから、贅沢は出来ないし、使用人も少ないから、自分の事は自分でやってもらわないとだし、結婚したら帝都になんてよっぽどの事がなければ来られないよ」
「え……」
帝都に来られないんじゃ、ドレスはどこで買えばいいの?ダサい田舎の衣装店なんて嫌よ。
自分の事を自分でって……、ドレスは自分じゃ着られないし、髪を結うのも自分じゃ出来ないのにどうやって生活するの……!?
ルアナの深刻な顔に再びドーレは大きなため息を吐いた。
「ルアナ、どうやら俺達、結婚しない方が良さそうだな。婚約は、破棄しよう。君なら、あのドレスをキラキラ光るように出来る人と結婚出来るよ」
そう言うとドーレは、衣装店の扉を開けて出て行ってしまった。
衣装店に取り残されたルアナと衣装店の店員が、何とも気まずい空気の中、何とかルアナは声を絞り出した。
「あのドレス……、絶対に着るから取り置きしておいて!!」
ルアナは、そう言うと衣装店を飛び出したのだった――
◇
暗い長い階段を下って行くと、そこには帝国の地下牢がある――
「クソ……せっかく転生したのに、またこんな事に。またしてもあの二人に邪魔されるとは、あの兄弟……。いや、現世は主従か……。ことごとく、俺の邪魔しやがる。だが、俺はこんな所で終わる男じゃないさ。次こそは、この世界を手中に納めてやるさ!!死んだってまた、転生するんだからな!ハッハッハッハッ!」
ジェフの野望は地下牢よりも深かった――
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番外編の方、一気に読ませて頂き
ましたので✨
今を大切にしていなかった人達の
先は…😨なんとなく良い物に
なりそうにない予感しかない(笑)
作者様の過去作も時間のある時に
読ませて頂きます💕
番外編もお読み頂きありがとうございます!
また、過去作品も読んで頂けるとは、嬉しいです(^o^)
感想ありがとうございました!