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第二話 希望の扉
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入学して数日経った放課後。
私は軽音学部の扉の前で深呼吸していた。
やっぱり不安だな……
ドラムに憧れているけど、一度も触ったことがないし。
こんな初心者の私が入ったら、迷惑かけるかも。
そんな不安を抱えて数日ずっと悩み続けた。
――でも今日こそ、軽音学部に入る!
そして緊張しながらついに今日、軽音学部の部室の扉を開けた。
「あの、軽音学部に入部したいんですけど、初心者でも大丈夫ですか?」
そこにいたのは――
銀に近い淡い金髪、薄い青の瞳
——女の子かと思った。
その目は、絶望に沈んでいるように見えた。
でも私と目が合った瞬間――
暗闇から一筋の光を見つけたように薄青の瞳がきらりと輝いた。
「おー! 可愛い新入生じゃん? こっちおいでよ」
先輩たちがお菓子を手にしたままこちらに向かってくる。
私は戸惑って一歩後ずさった。
その瞬間、
「キミ、ちょっと来て!」
男の子の声に驚いたのも束の間。
突然手を引っ張られた。
「えっ? ちょっ、どこに!?」
訳が分からないまま廊下を走る。
先輩たちの「おい! どこ行くんだよ!」という声が背後で響いた。
息を切らしながら中庭へ出た。
この状況は一体……!?
「はぁ、はぁ。……ここまで来れば大丈夫かな」
彼の手がまだ離れなくて少し意識してしまう。
「あ、あの……」
彼の息が整う頃、ぱっと手が離れた。
「ごめん! いきなり連れ出して驚いちゃったよね」
男の子は申し訳なさそうに笑った。
「あの先輩たち、音楽に真剣じゃないんだ。先輩たちの適当なノリに巻き込まれたら……キミまで、いなくなっちゃうかもって思って」
「どういうこと?」
「ボクと一緒にバンドをやってほしいんだ! ボクはリディ。ギター&ボーカル希望なんだ!」
「私はクレアです。ドラムをやってみたいのですが、初めてで……迷惑じゃないですか?」
「全然、迷惑なんかじゃない!」
リディは力強く言った。
「それと、同い年なんだから敬語は要らないよ! ボクもドラムはまだ詳しくないけど、一緒に練習頑張ろう!」
胸の奥が熱くなった。
「……ありがとう、リディ! 私、頑張るね!」
リディは少し照れくさそうに笑った。
「ねぇ、クレアはどうしてドラムをやりたいと思ったの?」
「あ、えっと……」
私は少し恥ずかしくなった。
「小さい頃、テレビで音楽番組を見てたんだ。そのバンドの女性ドラマーの演奏が印象的で――」
「うん」
「すっごくかっこよくて! リズムを刻む姿が、バンド全体を支えてるように見えて……私もあんなふうになりたいって思ったの」
リディの目が輝いた。
「わかる! ドラムってバンドの心臓みたいだよね!」
「そうなの! それからずっと見よう見まねで、家で動画を見ながら練習してたんだけどね」
「練習してたの!?」
「う、うん。スティックだけ買って、クッションとかいろんなもの叩いて……」
私は恥ずかしくて顔が熱くなった。
「でも、本物のドラムは一度も触ったことなくて。だから、迷惑かけないか心配で……」
リディは首を横に振った。
「迷惑なんかじゃないよ。むしろ、すごく嬉しい」
「え?」
「ボクも、本気でバンドがやりたくて。でも、一人じゃできないから……」
リディは彼の瞳と同じ色の空を見上げた。
「クレアみたいに、本当にやりたいって思ってる人と一緒にバンドを組みたかったんだ」
私は胸がいっぱいになった。
「……リディも、音楽が本当に好きなんだね」
「うん。ボクにとって、音楽は――」
リディが何か言いかけた時——
どこからか美しいピアノの旋律が春風と共に流れてきた。
どこか儚くて、心が綺麗に澄み渡っていく。
「ねえ、このピアノの音の主を探そう!」
リディがすぐさまピアノの旋律の方向へ駆け出した。
「ちょっと待ってよ!」
私はその後を必死で追いかけた。
私は軽音学部の扉の前で深呼吸していた。
やっぱり不安だな……
ドラムに憧れているけど、一度も触ったことがないし。
こんな初心者の私が入ったら、迷惑かけるかも。
そんな不安を抱えて数日ずっと悩み続けた。
――でも今日こそ、軽音学部に入る!
そして緊張しながらついに今日、軽音学部の部室の扉を開けた。
「あの、軽音学部に入部したいんですけど、初心者でも大丈夫ですか?」
そこにいたのは――
銀に近い淡い金髪、薄い青の瞳
——女の子かと思った。
その目は、絶望に沈んでいるように見えた。
でも私と目が合った瞬間――
暗闇から一筋の光を見つけたように薄青の瞳がきらりと輝いた。
「おー! 可愛い新入生じゃん? こっちおいでよ」
先輩たちがお菓子を手にしたままこちらに向かってくる。
私は戸惑って一歩後ずさった。
その瞬間、
「キミ、ちょっと来て!」
男の子の声に驚いたのも束の間。
突然手を引っ張られた。
「えっ? ちょっ、どこに!?」
訳が分からないまま廊下を走る。
先輩たちの「おい! どこ行くんだよ!」という声が背後で響いた。
息を切らしながら中庭へ出た。
この状況は一体……!?
「はぁ、はぁ。……ここまで来れば大丈夫かな」
彼の手がまだ離れなくて少し意識してしまう。
「あ、あの……」
彼の息が整う頃、ぱっと手が離れた。
「ごめん! いきなり連れ出して驚いちゃったよね」
男の子は申し訳なさそうに笑った。
「あの先輩たち、音楽に真剣じゃないんだ。先輩たちの適当なノリに巻き込まれたら……キミまで、いなくなっちゃうかもって思って」
「どういうこと?」
「ボクと一緒にバンドをやってほしいんだ! ボクはリディ。ギター&ボーカル希望なんだ!」
「私はクレアです。ドラムをやってみたいのですが、初めてで……迷惑じゃないですか?」
「全然、迷惑なんかじゃない!」
リディは力強く言った。
「それと、同い年なんだから敬語は要らないよ! ボクもドラムはまだ詳しくないけど、一緒に練習頑張ろう!」
胸の奥が熱くなった。
「……ありがとう、リディ! 私、頑張るね!」
リディは少し照れくさそうに笑った。
「ねぇ、クレアはどうしてドラムをやりたいと思ったの?」
「あ、えっと……」
私は少し恥ずかしくなった。
「小さい頃、テレビで音楽番組を見てたんだ。そのバンドの女性ドラマーの演奏が印象的で――」
「うん」
「すっごくかっこよくて! リズムを刻む姿が、バンド全体を支えてるように見えて……私もあんなふうになりたいって思ったの」
リディの目が輝いた。
「わかる! ドラムってバンドの心臓みたいだよね!」
「そうなの! それからずっと見よう見まねで、家で動画を見ながら練習してたんだけどね」
「練習してたの!?」
「う、うん。スティックだけ買って、クッションとかいろんなもの叩いて……」
私は恥ずかしくて顔が熱くなった。
「でも、本物のドラムは一度も触ったことなくて。だから、迷惑かけないか心配で……」
リディは首を横に振った。
「迷惑なんかじゃないよ。むしろ、すごく嬉しい」
「え?」
「ボクも、本気でバンドがやりたくて。でも、一人じゃできないから……」
リディは彼の瞳と同じ色の空を見上げた。
「クレアみたいに、本当にやりたいって思ってる人と一緒にバンドを組みたかったんだ」
私は胸がいっぱいになった。
「……リディも、音楽が本当に好きなんだね」
「うん。ボクにとって、音楽は――」
リディが何か言いかけた時——
どこからか美しいピアノの旋律が春風と共に流れてきた。
どこか儚くて、心が綺麗に澄み渡っていく。
「ねえ、このピアノの音の主を探そう!」
リディがすぐさまピアノの旋律の方向へ駆け出した。
「ちょっと待ってよ!」
私はその後を必死で追いかけた。
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