虹色の約束。時を越えて~

yume

文字の大きさ
77 / 111

最期の想い

しおりを挟む
廉 「光希君。」
光希「ん?」
廉 「もう一人で抱え込むなよ。光希君はすげぇ頑張ったんだよ。」
光希「いや、俺はただ・・・」
結芽「譲さんは光希君がいたからここまで頑張って来れれたと思うの。」
まこ「光希、もっとあたしに頼って。頼り甲斐無いかもしれないけど・・・。」
柚月「光希さん、譲さんにとって光希さんは「家族」だったんですね。」

『ありがとう』
光希さんの声が微かに震えているのが分かる。
きっと、光希さんにとっても譲さんは家族同然だったに違いない。

「血の繋がりだけが家族じゃない」

ここにいる皆が、素直にそう感じ取れた事だとあたしは思った。

光希「最後に、柚月ちゃん。」
柚月「はい。」
光希「一番辛い立場だったよね。まこにも廉にも言えず、陰で柚月を支えてくれたんだもんな。」
柚月「光希さん。あたし、譲さんにメールしたんです。「必ず会いに行きます」って。」
光希「きっと、譲も柚月ちゃんに会いたかったと思う。」
柚月「だから、あたし今から柚月さんの所にっ・・・」

それは、とても嫌な音だった。

光希「・・・譲?」

心電図波形が平坦化していく音・・・。
そして、光希さん達が慌ててナースコールで譲さんの状態を知らせる声が聞こえて来る。

光希「幸恵さん、聞こえますか?」
幸恵「はい。」
光希「俺の携帯は今、譲の耳元にあります。あなたの言葉はきっと・・・想いは必ず譲に届きます!!」
幸恵「でも、あたしはっ・・・」
結芽「幸恵さん。落ち着いて思い出して?譲さんがお腹に宿った時の気持ち、そして産声を聞いた瞬間を。」
幸恵「私が、妊娠した時・・・?」
結芽「我が子を手放してしまった罪悪感は一生消えない。消してはいけない。でも、それと同じ位、消えない想いがあるんじゃないんですか?」
柚月「幸恵さんの今の素直な気持ちを、譲さんに聞かせてあげて下さい。幸恵さんはとても心が綺麗な人です。」

『誰も幸恵さんを責める人なんていません。』

結芽さんに優しく背中を押された幸恵さんは、一瞬躊躇したが大きく深呼吸をした後、手にしていた携帯に口を近づけた。

幸恵「譲・・・聞こえる?あなたは、今更なんだよ?って思うでしょうね。でも、私も譲の父親も譲が生まれて来た事を後悔した事なんて一度も無い。本当に幸せで・・・嬉しかった。それから、どうしても伝えたい事・・・」

『これからも、ずっと譲を想い・・・そして愛し続けるからね』

その直後だった。
『心停止』。
心電図波形が確実に平坦になった音が聞こえた。

光希「譲っ・・・!!」

光希さんの叫び声。そして、養親さん達の泣き声・・・。

幸恵「・・・譲?」

それから間も無くして。看護師や主治医の声が聞こえた後、心電図の音がパタリと途絶えた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

クラスで3番目に可愛い無口なあの子が実は手話で話しているのを俺だけが知っている

夏見ナイ
恋愛
俺のクラスにいる月宮雫は、誰も寄せ付けないクールな美少女。そのミステリアスな雰囲気から『クラスで3番目に可愛い子』と呼ばれているが、いつも一人で、誰とも話さない。 ある放課後、俺は彼女が指先で言葉を紡ぐ――手話で話している姿を目撃してしまう。好奇心から手話を覚えた俺が、勇気を出して話しかけた瞬間、二人だけの秘密の世界が始まった。 無口でクール? とんでもない。本当の彼女は、よく笑い、よく拗ねる、最高に可愛いおしゃべりな女の子だったのだ。 クールな君の本当の姿と甘える仕草は、俺だけが知っている。これは、世界一甘くて尊い、静かな恋の物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...