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さあ、気を取り直して!
集まってくれた妖精さんたちと、美味しいごはんを作りましょう!!

朝。まだ朝焼けが始まったばかりで薄暗い頃。私はなんと、自分のお腹の音で目が覚めた。気持ちの切り替えが早いのは、きっと年の功ね。それに、落ち着いてきたのは、私を心配して、側にいてくれた、妖精さんたちのおかげだね。

それに、してもお腹空いたなぁ

屋敷の厨房に。妖精さんが案内してくれると、そこには屋敷の執事、ミラさんがいた。

「おはようございます!厨房をお借りしてもよろしいでしょうか」

「・・・・・・」

「えっと・・」

「おはようございます、リズ様。どうぞ、いつでもご自由におつかいいただいてかまいませんよ。」

無表情で淡々とした返事が返ってくる。

「ありがとうございます。」

「何か足りないものや、お困りのことがありましたら、いつでも、お声がけくださいませ」

そう言って彼は音もなく去っていった。

ミラさんは、何というか謎な人だな。美青年という言葉が似合う彼は不思議な空気を纏う人だった。

「さあて、まずは火ね。炎の妖精さん!よろしく!」
火を起こしてもらいつつ、キッチンにある食材を、妖精さんたちに集めてもらう。妖精さんが見えない人にとって、今のキッチンは食材や道具が宙に浮き、移動していて、楽しいことになっているようにみえる。

「あぁ!玉子がある!おっ梅干しもある!!あっそれは焼き海苔かな?」

不思議とおにぎりになりそうな物が揃ってる!ああ、楽しくなってきた。

「よーーし!張り切ってやるぞーー!!!」

妖精さんたちと、こぶしをあげて、調理スタートです。


ーーー夜明け前。執事のミラは、主人の部屋へ向かっていた。夜通しで結界を強化していた彼の目にはうっすらクマが出来ている。しかし、それは、彼の主人も同じだろう。
軽くノックをして部屋へ入ると、部屋に魔法陣が現れていた。

「ライト様」

声をかけると、魔法陣が消えて主人が振り返る。
虹色だった瞳が元の色へ戻っていることを確認し、魔力回復薬を差し出す。受け取り薬、を飲もうとした、その時だった。

屋敷の中から、不思議な叫び声が聞こえたのは。

「・・・只今、リズ様がキッチンにて、食事を作られております」

淡々と告げるミラに、ライトはぽかんとしながらも、先程の叫び声がリズのものと認識する。そして短いため息をつくのだった。



ーー時は、少し遡り、キッチンにて。

私は歓喜の叫びを上げていた。
うっそぉ~~だって、目の前に、めちゃくちゃ可愛い男の子が現れて、探し求めていた食材をくれるっていうんですよ!
その食材は、魚。マグロに似て、赤身。そう。私は、アレが食べたいの。アレですよ!おにぎりと言えば!

「シーチキン!!作るぞー!」
妖精さんたちときゃっきゃっしながら、どう、さばこうかと、相談する。何せ、私は魚をおろしたことが、ありません!笑

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