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ライト
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ーーうん、よく知る顔ですよ。
だって、人気no.2の宮廷魔道士様じゃあないですか!!
アッシュグレーの長身、爽やかなピュアな青年の瞳はエメラルド!!
「・・・あ。ごめん、外れた。」
「え?」
「アレクかと思った」
「・・・!!えぇっっ」
赤面して顔を外らすライトも可愛い!!
そんな私たちのやりとりを聞いて、宮廷魔道士様はため息をついた。
「夜分に申し訳ありません、その様子だと、陛下はこちらにいらっしゃらないんですね」
柔らかい物腰で、柔らかい声で語るその姿。
イメージ通りです!ありがとうございます!!!
はわぁ~ってなっているところで、ライトに両手で頬を挟まれる。
「にゃあにかな???」
頬を挟まれて上手く話せませんよ?
ライトは不服そうな顔をしつつ、宮廷魔道士様に向き合った。
「陛下とは?何のことでしょうか」
「あぁ・・・大丈夫ですよ、陛下の通い婚のことは、存じ上げておりますから」
そして深く腰を曲げてお辞儀をされた。
「始めまして、リズ様。私は宮廷につかえております、エメロスと申します。そして、お久しぶりです、ライト様。」
爽やかな笑顔で、ゆっくりと告げる。
いやいやいや、つい見惚れてしまいましたが、“通い婚”とは!!
口をパクパクしつつ反論出来ずにいると、ムッとしたライトが応えてくれた。
「それは、ストーカーの違いでは?」
「いえ、正式な婚礼儀はまだですが、リズ様は確かに妃になっていただく予定でございます」
「本人の意思って大切だよね」
「陛下に落ちない相手が居るはずありませんので、その辺は安心していただけると思います」
ーーすごい、何か、2人の空気が怖い。見た目は笑顔で穏やかな挨拶を交わしてるようにみえるのに。
「・・・お話の途中で申し訳ありませんが、本題へ移らせていただきます」
エメロスの手に小さな杖が現れて、宙に浮き、青く淡い光を放つ。
「陛下が、予定の時刻になってもお戻りにならないので、捜索をしております。」
そうしたら、この店にたどり着いたという。確かに陛下の意思は、この店に帰ってきているのだと。
姿が見えないのは、身体は別のところにある可能性が高く、非常に危険な状態かもしれない。
らしいのだが、全く意味がわからない。知っているゲームと似てるようで違う。陛下が失踪するルートって・・・
=オマエガイルトアノヒトガイナクナル=
!!頭の中に響く声は、神様のものだ。どういうこと?
エメロスの杖が光の粒となり、パンっと弾ける。
一瞬あたりが暗くなり、緑色の光に包まれて、映像が見える。
ーートクン
何だか嫌な予感がする。
ーートクン
右足が冷たくなって感覚が無くなる気がした
ーートクン
エメロスがはっと何かに気づく
2人が何か、自分に話しかけているようだけれども、どうしよう、何も聞こえない
ーートクン
自分の心臓の音がやけに大きく聴こえる
白い世界に包まれる感覚があって、気がついたら知らない部屋にいた。ここはどこ?
木で出来た床に壁。薄暗くてよく見えない。ぼんやりとした灯りに導かれて戸を開けると、森が見える。随分と高い位置にあるのか、月明かりに照らされた景色がとても綺麗だ。
戸はよく見ると襖だし、昔の日本の城のような作りなのかも知れない。
何だか、RPGをしている気分になってきたよ。
どうしようか、と思っていると、人の気配がして、目の前に1人の女の人が立っている。直感で危険を感じてあとずさる。
「見つけた」
女の人は、学園の制服を着ている。
にっこりと、微笑んだのかもしれませんが、私には、にやりとした顔にみえて、背筋がぞわっとする。
ーホラー系は苦手ですよっと。
あくまで冷静でいられるのは、前世とゲームの記憶があるからだと思う。良くある転生ものって、転生者は素晴らしくチートキャラだったりするじゃない?私も、今までは魔法使えなかったけれど、今なら・・・
女の人が私に手をかざして氷の矢を放つ
私も手をかざして、炎をイメージしてみるけれどもー
・・・何も出ないじゃん!
目の前に迫る氷の矢をギリギリで避けるけれど、腕をかすめて、血が滲む
ー痛いんですけど!!ホラー無理なんですけど!?
「あ。避けた。」
部屋を飛び出して廊下に出る、暗い廊下をひたすら走る。建物の外へ、せめて
「待ってよー」
女の人が追いかけてくるのがわかる
ー振り向いちゃダメ、足を動かして、走れ!!
必死に走ってひとつ、灯りの漏れるところを見つけて手をかける
「私、貴女を消さないと、幸せになれないのに」
すぐ後ろで声がしたと思うと、背中に熱い衝撃が走り、倒れてしまう。倒れた先、さっき手をかけた襖の向こうは、もやがかかっていて、甘く香るそれから、モヤはお香の煙だと認識する。
しゃらん
清らかな鈴の音と共に静かな声がした
「招かれざる客が2人、だけど、興味深い2人だね」
黒髪のサラサラヘアに金色の瞳。誰だろうか。
しゃらん・・
鈴の音はブレスレット。
「隣国の王子様っ」
女の人の声がする、朦朧とする意識の中で考える。
ー駄目、ここで意識を手放しては、戻れなくなりそう。あの、穏やかな日常に。がんばれ、私!がんばれ!!
だって、人気no.2の宮廷魔道士様じゃあないですか!!
アッシュグレーの長身、爽やかなピュアな青年の瞳はエメラルド!!
「・・・あ。ごめん、外れた。」
「え?」
「アレクかと思った」
「・・・!!えぇっっ」
赤面して顔を外らすライトも可愛い!!
そんな私たちのやりとりを聞いて、宮廷魔道士様はため息をついた。
「夜分に申し訳ありません、その様子だと、陛下はこちらにいらっしゃらないんですね」
柔らかい物腰で、柔らかい声で語るその姿。
イメージ通りです!ありがとうございます!!!
はわぁ~ってなっているところで、ライトに両手で頬を挟まれる。
「にゃあにかな???」
頬を挟まれて上手く話せませんよ?
ライトは不服そうな顔をしつつ、宮廷魔道士様に向き合った。
「陛下とは?何のことでしょうか」
「あぁ・・・大丈夫ですよ、陛下の通い婚のことは、存じ上げておりますから」
そして深く腰を曲げてお辞儀をされた。
「始めまして、リズ様。私は宮廷につかえております、エメロスと申します。そして、お久しぶりです、ライト様。」
爽やかな笑顔で、ゆっくりと告げる。
いやいやいや、つい見惚れてしまいましたが、“通い婚”とは!!
口をパクパクしつつ反論出来ずにいると、ムッとしたライトが応えてくれた。
「それは、ストーカーの違いでは?」
「いえ、正式な婚礼儀はまだですが、リズ様は確かに妃になっていただく予定でございます」
「本人の意思って大切だよね」
「陛下に落ちない相手が居るはずありませんので、その辺は安心していただけると思います」
ーーすごい、何か、2人の空気が怖い。見た目は笑顔で穏やかな挨拶を交わしてるようにみえるのに。
「・・・お話の途中で申し訳ありませんが、本題へ移らせていただきます」
エメロスの手に小さな杖が現れて、宙に浮き、青く淡い光を放つ。
「陛下が、予定の時刻になってもお戻りにならないので、捜索をしております。」
そうしたら、この店にたどり着いたという。確かに陛下の意思は、この店に帰ってきているのだと。
姿が見えないのは、身体は別のところにある可能性が高く、非常に危険な状態かもしれない。
らしいのだが、全く意味がわからない。知っているゲームと似てるようで違う。陛下が失踪するルートって・・・
=オマエガイルトアノヒトガイナクナル=
!!頭の中に響く声は、神様のものだ。どういうこと?
エメロスの杖が光の粒となり、パンっと弾ける。
一瞬あたりが暗くなり、緑色の光に包まれて、映像が見える。
ーートクン
何だか嫌な予感がする。
ーートクン
右足が冷たくなって感覚が無くなる気がした
ーートクン
エメロスがはっと何かに気づく
2人が何か、自分に話しかけているようだけれども、どうしよう、何も聞こえない
ーートクン
自分の心臓の音がやけに大きく聴こえる
白い世界に包まれる感覚があって、気がついたら知らない部屋にいた。ここはどこ?
木で出来た床に壁。薄暗くてよく見えない。ぼんやりとした灯りに導かれて戸を開けると、森が見える。随分と高い位置にあるのか、月明かりに照らされた景色がとても綺麗だ。
戸はよく見ると襖だし、昔の日本の城のような作りなのかも知れない。
何だか、RPGをしている気分になってきたよ。
どうしようか、と思っていると、人の気配がして、目の前に1人の女の人が立っている。直感で危険を感じてあとずさる。
「見つけた」
女の人は、学園の制服を着ている。
にっこりと、微笑んだのかもしれませんが、私には、にやりとした顔にみえて、背筋がぞわっとする。
ーホラー系は苦手ですよっと。
あくまで冷静でいられるのは、前世とゲームの記憶があるからだと思う。良くある転生ものって、転生者は素晴らしくチートキャラだったりするじゃない?私も、今までは魔法使えなかったけれど、今なら・・・
女の人が私に手をかざして氷の矢を放つ
私も手をかざして、炎をイメージしてみるけれどもー
・・・何も出ないじゃん!
目の前に迫る氷の矢をギリギリで避けるけれど、腕をかすめて、血が滲む
ー痛いんですけど!!ホラー無理なんですけど!?
「あ。避けた。」
部屋を飛び出して廊下に出る、暗い廊下をひたすら走る。建物の外へ、せめて
「待ってよー」
女の人が追いかけてくるのがわかる
ー振り向いちゃダメ、足を動かして、走れ!!
必死に走ってひとつ、灯りの漏れるところを見つけて手をかける
「私、貴女を消さないと、幸せになれないのに」
すぐ後ろで声がしたと思うと、背中に熱い衝撃が走り、倒れてしまう。倒れた先、さっき手をかけた襖の向こうは、もやがかかっていて、甘く香るそれから、モヤはお香の煙だと認識する。
しゃらん
清らかな鈴の音と共に静かな声がした
「招かれざる客が2人、だけど、興味深い2人だね」
黒髪のサラサラヘアに金色の瞳。誰だろうか。
しゃらん・・
鈴の音はブレスレット。
「隣国の王子様っ」
女の人の声がする、朦朧とする意識の中で考える。
ー駄目、ここで意識を手放しては、戻れなくなりそう。あの、穏やかな日常に。がんばれ、私!がんばれ!!
応援ありがとうございます!
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