異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

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留学編 3章

第175話 戦い

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「おい、これはどういう状況だ?」

目の前の少年が僕を、いや僕の後ろを睨む。

「おいおい、僕が相手だぞ。こっちを向け」

そう脅すが、そいつに鼻で笑われる。

「ふっ、家柄しか誇れないような奴が何を偉そうに。ここは帝国ではないんだ。全員が平等に人権が与えられている国なんだ!」

性懲りも無く、またそんな事を言う。

本当にこういう奴らはそう思っているのだろうか?

だとしたら、何も分かっていない。

「ん?何だ?何でニヤけている」
「いや、別に。ただ、可哀想な奴らだなと思って」

えっと、こいつの名前は、

「ルーベルトです」

アルスが教えてくれる。

そうだそうだ、そんな名前だったな。

「ルーベルト、お前を潰すのは僕だ、覚悟しろ。精々足掻いてくれよ」

そう煽ると、掛けていたメガネをクイッと持ち上げる。

「何を言うかと思えば、学年成績・実戦トップのこの僕にむかって、覚悟をしろ!だと?貴族様は、面白いことを言うねぇ。君とは違い、こっちは努力してこのスタンフォルス進学コースに入学したんだよ!実力が違いすぎるだろうよ?」

まあ、優秀であることは認めてやる。

でも、所詮はこいつもどこかの金持ちの息子。

勉強できる環境なんていくらでも揃っていただろう。

これが結局、この国、民主主義・資本主義社会の実情を表している。

同情するとすれば、彼らは営々と努力し続けなければならず、でなければ、その「競争社会」の中では生き残れないことだ。

いや、努力しなくても生き残ることはできるかもしれない。

しかしその場合は、競争社会の落伍者、負け組として、プライドはズタズタにされ、場合によっては家(イエ、家系)の存続さえ保証されない「転落社会」に様変わりする。

僕はこの世界の主人公リリスという存在がいたから努力した。

だが、もし普通に貴族の家に転生していたら気ままに一生を過ごしていたはずだ。

逆にそれ以外することがあるか?

「で、内容はこっちが決めていいんだな?」
「ああ、そうだ。僕は心の広い貴族だからね!」

モブ民たちを分からせてから三日。

背後からモブ民たちを操る黒幕を潰すべく、表に引っ張り出した。

こういう妙に自分に自信がある奴ほど簡単に釣れる。

相手は僕が無謀にも挑んだ、と思っているかもしれない。

だが、残念だったな。

まず僕の実力が相手に知られていない時点で、この勝負は僕の勝ちだ。

お前ら、明らかに僕の調査不足だ。

「よし、じゃあクラス同士のチーム戦にしようじゃないか。それなら公平だ!」

相手はニヤニヤと僕の後ろを見ながら言う。

別に、後ろの奴らを戦力として僕は期待していない。

「いいだろう」
「親に泣きつくんじゃないぞ!」

煽ってくるが怒りを抑える。

「とっとと始めるぞ」

そう言って僕らは運動場へと向かう。

「馬鹿だな。たまたま、こっちの罠を見破ったくらいで大きな顔をしやがって」

そう言われたが無視をする。

僕らが向かったのはスタンフォルスの近くにある大きな運動場。

ここはスタンフォルスの所有地で、実戦訓練を行える広い場所だ。

実戦を想定して木が多く生えていたり、泥沼があったり。

帝国にもない、なかなか立派な訓練施設だ。

それぞれが指定の位置に向かう。

敵は三十人以上。

対するこちらは・・・僕とアルス、そしてレーナ。

ルルドにはあまり期待していないし、モブ民たちも論外。

まあ、余裕だろう。

「そっちの準備は整ったか!?」

遠くの方からルーベルトの声が聞こえる。

それにアルスが答えた。

審判などいない。

どちらかが降参するまでの勝負だ。

今回は正当に手順を踏んで行っているので、だからこそ勝てば官軍だ!

向こうでは、

慌ただしく人が動く音が聞こえる。

おそらく、戦陣を組んでいるのだろうけれど、そんなの僕らに対しては意味が無いのだが。

「それでは始めるぞ!」

向こうからの合図と共に戦いが始まった。

こちらのモブ民は一歩も動かない。

「アルス、レーナ。両翼を頼んだ」
「了解しました」
「ルイ様は?」
「僕は真正面からやる」

僕の返答を聞いて、アルスが厳しい顔で僕に注意する。

「ルイ兄様、お願いですから、あまりやりすぎないでください!」
「分かった、分かった」

適当に答えて、僕は数歩前に出る。

そして手を前にかざし、意識をそこに集中させる。

周囲の魔力を感じ取り吸収していく。

そして魔法のイメージをして、魔法陣を構築する。

そして詠唱する。

「【ドラレスファイヤー】!!!」

そう聖級魔法を放つと一瞬にして目の前が豪火の炎に包まれる。

木々は燃え、泥沼は乾き、視界がどんどん良くなっていく。

黒煙は上へ上へと立ち昇り、外へと出ていく。

気づいたときには、口をアングリと開けてすでに絶望した奴らのアホ面が目の前に広がっていた。

さあ、ショーの開幕だ!
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