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留学編 3章
第176話 いざ・・・ (ルーベルト視点)
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勝てる勝負だった。
敵方の士気は皆無であり、この学校で生きていくために普通コースの生徒たちはルイには加勢しない。
こちら進学コースの生徒たちは三十人で向こうは、たったの四人。
どんな戦も基本的に兵の数が多いほど強い。
それは、古今東西で絶対。
あの傲慢な貴族は強くないし、むしろ警戒すべきは従者のアルスとレーナたちだと確信していた。
とはいえ、あの二人の実力も僕の足元には及ばないだろうと踏んでいた。
アルスもレーナも授業時の成績は優秀と聞いているが、それも単にクラスで上位なだけ。
学年一位の僕には遠く及ばない。
左右両翼の数人でアルスとレーナの対応に当たらせ、その他の生徒たちと僕は正面からルイとルルドを潰す。
シンプルだが完璧な作戦だ。
いざ・・・
始めの合図とともに僕らは一斉に駆け出そうとした。
だがその瞬間、一瞬で目の前が真っ赤に染まる。
何が起きたのかすぐには分からず、かと言って燃え盛る炎に突っ込むこともできず、その場で全員が立ち尽くした。
そして炎が全てを燃やし尽くしたところで、目の前にこちらをニヤニヤと見ているルイの姿があった。
「な、何があったんだ!」
「まさか、あいつが!」
「いや、そんなはずは・・・」
口々に周囲がこぼす。
皆が目の前で突如起きたことに唖然とした。
ただ、魔法をある程度使える者なら状況を理解できる。
あの燃え方は魔法であることを。
その魔法が始めの合図とともに一瞬で発動されていたことを。
そして、それが・・・上級以上の魔法であることを。
いや、規模で言えばおそらく聖級相当。
いったい、誰がそんな魔法を???
アルス?レーナ?ルルド?
いや、あの反応は明らかに正面からあった。
つまり、ルイがやった、ということになる。
突然の出来事に全員が怯える中、僕は大きな声で仲間を奮起させる。
「狼狽えるな!どうせ金で買った魔法陣を使っただけだ!それを発動させて、あたかも自分が放ったように見せただけだ!怖がるな!!」
僕の檄が効いたのか、徐々に全員の目から恐怖の色が消えていく。
「よし、僕について来い!」
僕は誰よりも先に先頭に立つ。
そう。古来、英雄というのは自ら戦って勝利を手にしてきたのだ。
この僕なら、そんなことだって出来る!
焼けて焦臭くなった地面を猛スピードで駈け抜けて行く。
その僕に続くように、左右両翼、後衛の生徒たちも一気呵成に走り出す。
それを確認して目の前を見た瞬間、ある違和感に気づいた。
ルイの左右に誰もいない。
アルスとレーナの姿が見当たらない。
「どこに?―――」
「ルーベルト君!左右が!」
隣を走る仲間の言葉で左右を見る。
すると、左右どちらも数人に囲まれながら、いとも簡単に倒していくアルスとレーナの姿が見えた。
おかしかったのはそのスピード。
アルスの方は明らかに自分よりも速いスピードと剣捌きで生徒たちを無力化していく。
レーナの方は高度な魔法を詠唱なしでポンポンと打つ。
・・・詠唱をしてないだと!!!
そして気付いたら、ルイとの距離はそこまでに迫っていた。
相変わらずニヤニヤとした表情を浮かべている。
「あ、あいつらは何なんだよ!さっきの爆発といい、意味が分からない!」
僕の叫びに答えるルイ。
「ククク、馬鹿だな本当に。いつから自分のほうが強いと思ったんだ?こっちは全く実力を見せていないというのに」
・・・確かに僕はアルスとレーナの実力を人伝でしか聞いていなかった。
ルイに関しては、護衛たちに授業を受けさせているから実力なんて分からなかった。
「一つ戦いにおいて大事なことを教えてやろう」
「何だと!」
「数や知略は大事かもしれない。だが、それを一瞬で凌駕することが出来るのが並外れた強い力なんだよ!」
並外れた強い力、だと!
「結局、力に選ばれた存在の方が強い。つまり、僕の方がお前よりも強いというわけだ!」
胸を反らして大きな声で笑う。
「お前がその存在であると?」
「そうだよ。レーナが使っている無詠唱魔法。あれを考えたの僕だ!」
な、何だと!!
「お喋りはここまでだ。ここは大将同士のタイマン、一騎打ちと行こうか」
「ふん、そんな卑怯な手には乗るかよ!」
どうせそうやって僕を煽り、罠をしかけて倒しにかかるに違いない。
無詠唱魔法も嘘だ。
「全員かかれ!」
僕についてきた数人に号令をかける。
「はぁ~~めんどくさいけど、お邪魔虫さんたちにはどっかに行ってもらうよ」
そうルイが言うと同時に一瞬で僕以外の仲間の足元に白い魔法陣が展開され、次の瞬間に彼らは消えた。
「こ、これは、」
「なんてことはない、瞬間移動だよ」
・・・・あの設置型の?
しかも今、詠唱が聞こえなかった・・・いやしていなかった。
まさか、こいつ、本当に無詠唱魔法が使えるのか!!!
敵方の士気は皆無であり、この学校で生きていくために普通コースの生徒たちはルイには加勢しない。
こちら進学コースの生徒たちは三十人で向こうは、たったの四人。
どんな戦も基本的に兵の数が多いほど強い。
それは、古今東西で絶対。
あの傲慢な貴族は強くないし、むしろ警戒すべきは従者のアルスとレーナたちだと確信していた。
とはいえ、あの二人の実力も僕の足元には及ばないだろうと踏んでいた。
アルスもレーナも授業時の成績は優秀と聞いているが、それも単にクラスで上位なだけ。
学年一位の僕には遠く及ばない。
左右両翼の数人でアルスとレーナの対応に当たらせ、その他の生徒たちと僕は正面からルイとルルドを潰す。
シンプルだが完璧な作戦だ。
いざ・・・
始めの合図とともに僕らは一斉に駆け出そうとした。
だがその瞬間、一瞬で目の前が真っ赤に染まる。
何が起きたのかすぐには分からず、かと言って燃え盛る炎に突っ込むこともできず、その場で全員が立ち尽くした。
そして炎が全てを燃やし尽くしたところで、目の前にこちらをニヤニヤと見ているルイの姿があった。
「な、何があったんだ!」
「まさか、あいつが!」
「いや、そんなはずは・・・」
口々に周囲がこぼす。
皆が目の前で突如起きたことに唖然とした。
ただ、魔法をある程度使える者なら状況を理解できる。
あの燃え方は魔法であることを。
その魔法が始めの合図とともに一瞬で発動されていたことを。
そして、それが・・・上級以上の魔法であることを。
いや、規模で言えばおそらく聖級相当。
いったい、誰がそんな魔法を???
アルス?レーナ?ルルド?
いや、あの反応は明らかに正面からあった。
つまり、ルイがやった、ということになる。
突然の出来事に全員が怯える中、僕は大きな声で仲間を奮起させる。
「狼狽えるな!どうせ金で買った魔法陣を使っただけだ!それを発動させて、あたかも自分が放ったように見せただけだ!怖がるな!!」
僕の檄が効いたのか、徐々に全員の目から恐怖の色が消えていく。
「よし、僕について来い!」
僕は誰よりも先に先頭に立つ。
そう。古来、英雄というのは自ら戦って勝利を手にしてきたのだ。
この僕なら、そんなことだって出来る!
焼けて焦臭くなった地面を猛スピードで駈け抜けて行く。
その僕に続くように、左右両翼、後衛の生徒たちも一気呵成に走り出す。
それを確認して目の前を見た瞬間、ある違和感に気づいた。
ルイの左右に誰もいない。
アルスとレーナの姿が見当たらない。
「どこに?―――」
「ルーベルト君!左右が!」
隣を走る仲間の言葉で左右を見る。
すると、左右どちらも数人に囲まれながら、いとも簡単に倒していくアルスとレーナの姿が見えた。
おかしかったのはそのスピード。
アルスの方は明らかに自分よりも速いスピードと剣捌きで生徒たちを無力化していく。
レーナの方は高度な魔法を詠唱なしでポンポンと打つ。
・・・詠唱をしてないだと!!!
そして気付いたら、ルイとの距離はそこまでに迫っていた。
相変わらずニヤニヤとした表情を浮かべている。
「あ、あいつらは何なんだよ!さっきの爆発といい、意味が分からない!」
僕の叫びに答えるルイ。
「ククク、馬鹿だな本当に。いつから自分のほうが強いと思ったんだ?こっちは全く実力を見せていないというのに」
・・・確かに僕はアルスとレーナの実力を人伝でしか聞いていなかった。
ルイに関しては、護衛たちに授業を受けさせているから実力なんて分からなかった。
「一つ戦いにおいて大事なことを教えてやろう」
「何だと!」
「数や知略は大事かもしれない。だが、それを一瞬で凌駕することが出来るのが並外れた強い力なんだよ!」
並外れた強い力、だと!
「結局、力に選ばれた存在の方が強い。つまり、僕の方がお前よりも強いというわけだ!」
胸を反らして大きな声で笑う。
「お前がその存在であると?」
「そうだよ。レーナが使っている無詠唱魔法。あれを考えたの僕だ!」
な、何だと!!
「お喋りはここまでだ。ここは大将同士のタイマン、一騎打ちと行こうか」
「ふん、そんな卑怯な手には乗るかよ!」
どうせそうやって僕を煽り、罠をしかけて倒しにかかるに違いない。
無詠唱魔法も嘘だ。
「全員かかれ!」
僕についてきた数人に号令をかける。
「はぁ~~めんどくさいけど、お邪魔虫さんたちにはどっかに行ってもらうよ」
そうルイが言うと同時に一瞬で僕以外の仲間の足元に白い魔法陣が展開され、次の瞬間に彼らは消えた。
「こ、これは、」
「なんてことはない、瞬間移動だよ」
・・・・あの設置型の?
しかも今、詠唱が聞こえなかった・・・いやしていなかった。
まさか、こいつ、本当に無詠唱魔法が使えるのか!!!
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