白薔薇の紋章

サクラ

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第一章 血を受け継ぐ者

第2話

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「……!!」


再び瞼を開けると、私はバスの中にいた。
そうか、夢だったんだ。

よく覚えていないけど
苦しくてそしてとても怖い夢だった。

ホッとして窓の外に目をやると
ほんの数時間前バスに乗ったときと全然違う景色に驚いた。




「すごいな…大自然って感じだ」


ボーっと窓から景色を眺める。
私、一之瀬珠姫いちのせたまきは親の都合でお母さんの田舎へ引っ越すことになった。

お父さんが急な海外転勤になってしまったために
私は親戚の家へ預かってもらうことになった。
お母さんの田舎と言っても、お母さんはすでに他界している。
しかも私はお母さんの親戚に会ったこともない。
どんな人かも分からないのに一緒に暮らすのは不安だけど
お父さんと一緒に暮らせない以上、仕方がない。

さすがに高校生の娘を一人にするのはお父さんも気が引けるもんね。







「次は…」と

車内アナウンスが流れ
私はあわてて停車のボタンを押す。

乗客は私しかいない
バスに乗ったときはたくさんいたのに
ほとんどが私が寝ている間に降りてしまったようだ。


目的の場所に着き
私はポケットにしまっておいた地図を取り出す


ずいぶん田舎に来てしまったようだ
バス停の周りは木々で囲まれていて
人の気配がしない。


とりあえず地図を頼りに歩き出すことにした。



林の中を歩く。
季節はもうすぐ夏になると言う頃で暑いはずなのに
木と木の間は涼しくて、心地がいい。
立ち止まってグッと伸びをして、新鮮な空気を存分に吸う。

気持ちがいい!

また歩き出すと風が吹いた
その風に乗って私の耳に声が聞こえた。

『おかえりなさい白薔薇姫』と

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