僕が君に伝えたかった事

おしり

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僕が君に伝えたかった事

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僕は、夏休みの期間中だけ親戚の家に行くことになった。
学校の宿泊訓練の時に使った大きなバッグの中に、着替えを詰め込んだ。パンパンになったバッグを肩にかけ家を出た。
「行ってきます。」
憂鬱な声で挨拶をした。
「行ってらっしゃい。おじさんとおばさんによろしくね。」
「分かってるよ。」
ため息をついた。
お母さんが何かをとりにリビングに行った。
「これ。おばさんに渡してね。」
紙袋の中を覗いた。お菓子の箱が入っていた。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」

歩いて駅へ向かった。暑い。汗が頬を伝う。タオルで汗を拭いた。
切符を買い、椅子に座った。暑さで意識が朦朧とする。電車が来た。電車の中は少し涼しかった。
切符を買った際に自販機で買ったペットボトルの水を飲み干した。
電車の揺れが眠気を誘う。変わっていく景色を電車の窓から頬杖をして見ていた。
深い眠りについた。
はっ。今何時だ。
眠りについてから1時間がたっていた。
次の駅で降りないと。

電車から荷物を持ち降りる。大分休憩できた。
暑い。日差しで目が眩む。
親戚の家に向かった。青い空、草の匂い、夏の蒸し暑さ。どこか懐かしい。
家についた。
「こんにちは。お世話になります。」
おじさんと握手を交わした。
「よう来たな。湊くん。」
「短い間だけどよろしくな。」
「よろしくね。」
おじさん、おばさんは僕を歓迎してくれた。僕はおじさんとおばさんとは、あまり話したことがない。
「暑い中来たから、お腹すいたやろ。」
「ちょっと待っててね。」
おばさんは川で冷やしてあった籠を持ってきた。籠の中にはトマトときゅうりが入っていた。
「上がりな。ご飯食べよ。」
靴を脱いで家に上がった。ちゃぶ台の上に皿に乗ったおにぎりがあった。美味しそうだ。
「おにぎり食べてよかよ。」
「ありがとうございます。いただきます。」
おにぎりを手に持つ。おにぎりの中身は梅だった。米の甘味と梅の酸っぱさが合う。お腹が減っていたのですぐにおにぎりはなくなった。
おばさんがきゅうりを僕の頬に当てた。
「冷たっ。」
「良く冷えとるよ。」
頬が冷たい。
「ありがとうございます。」
きゅうりを受け取った。

「ごちそうさまです 。」
「野菜おいしかった?」
「おいしかったです。」
おばさんとおじさんは僕に向かって微笑んだ。
水を一気飲みしたせいで、トイレに行きたくなった。
「トイレ借りてもいいですか。」
「よかよ。場所わかる?」
「大丈夫です。」
僕はトイレに向かった。トイレで用を足した。
「おばちゃんトイレありが…。」
話し声がうっすらと聞こえてきた。
おばさんが何かを話している。声は聞こえるけど何を話しているのかうまく聞き取れない。
「覚えてる?」
「湊を見ると思い出すね。」
「今さらその話をしても意味はないだろ。」
「あの母親が目を離したせいで湊の妹が死んだこと。」
嫌だ。もう聞きたくない。慌てて耳をふさぐ。
「しょうがないだろ。」
「あんな人殺しの顔見たくない。」
「そうカリカリするな。湊の前でその事絶対いうなよ。」
吐き気が込み上げてきた。
「分かってます。」
もう聞きたくない。
玄関にあるサンダルをはいて家を飛び出した。あの家から、一刻も早く離れたい。息が上がる。浜辺についた。
「おぇっ。ゲホッゲホッ。」
喉元まで上がったものを飲み込む。その場にしゃがみこんだ。
そんな話聞きたくなかった。
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