神様のヒントでキャラメイク大成功!魔法も生産も頑張ります!

まるぽろ

文字の大きさ
81 / 86
第五章:諸国漫遊Ⅲ

交易都市セルタ到着と再会

しおりを挟む
     ◆

 次の日、朔たちは秋晴れの中、セルタへの道を南下していた。現在はミラが御者を務めており、隣に朔、後ろの席にはヒトミとナタリアが座っている。なお、リトとシンは朔の部屋のベッドを占拠し続けているためここにはいない。

 緩やかに流れていく景色を眺めつつ、朔が何気ない質問を口にする。

「とりあえずセルタに寄って、その後はどうしようか?」

「ドワーフ王国に向かうのであれば少し回り道になるのですが、ヅィーカに参りましょう。質の良い燃石はドワーフの方々にとても喜ばれると思われます」

 既に行程を考えていたナタリアが速やかに提案した。なお、ヅィーカとはセルタの冒険者であるダンらが街道を調査した交易都市セルタの南西にある鉱山都市である。

「燃石って何だっけ?」

「ハニー、石炭のことだよー。貴族なんだからこの国の輸出資源くらい勉強しときなよ」

「小市民の俺に貴族だ男爵だって言われてもなあ……」

 今更なことを言っている朔に、ミラが無表情に抑揚のない声でつぶやく。

「平民でも勉強は大事」

「ぐっ、じゃあヒトミはどうだった?」

 朔は口ごもった後、若干早口になりながらヒトミに尋ねると、彼女は胸を張った。

「混乱期はあっちこっちで戦ってただけだし、統治はアイデアを出すだけで丸投げに決まってるじゃん! 普通の女子高生に政治とか求められても困るよ!」

「ヒトミは政治の中身は知らないのに元の世界での様々な知識を知っていて、しかもリーダーシップには優れていましたので……色々と大変でした」

 ヒトミは、当時のことを思い出して遠くを見つめるナタリアの頭をよしよしと撫でつつ、朔の後頭部に指を突き付ける。

「知識のない王様は旗だけ振ってればいいのだ!」

「……俺は真面目に勉強することにするよ」

「サクさんなら、きっと良い領主になれますよ」

「よき」

 朔が自らが領主として忙しく過ごす想像をしてため息をつく中、ナタリアが話を続ける。

「さて話を戻しますが、ヅィーカにはもう一つ【愚者の鉄】と呼ばれる特産品がありますので、それも仕入れましょう」

「おっ! あれはハニーの為にあるような金属だからね! さすが、ナタリー♪」

 ナタリアの言葉にヒトミが盛り上がっていると、朔は少し顔を傾げた。

「……愚者の鉄って何? 金属関係はあらかた老師の家で見せてもらった気がするんだけど聞き覚えがないような?」

「正式名称はアダマンドと言うのですが、【愚者の鉄 魔術師の銀 賢者の金 錬金術師には炭鉱のボタ】というアダマンドの性質を揶揄された詩の方が有名なので、【愚者の鉄】と呼ぶことが多いのですよ」

 ナタリアの説明に、朔は何かを思い出したように手を打った。

「ああ、あの錬金術殺しのか! 魔法付与してもその魔力を吸収してしまう不思議金属だよね」

「はい。魔力を吸収するほど、硬度と粘り、密度、さらには魔法に対する抵抗力が強くなります。込められる魔力の量はMATや魔力操作関係のスキルレベルに依存するので、サクさんならかなりのものが作れるのではないでしょうか。魔鉄製のバトルスタッフはそろそろ寿命ですし、アダマンド製に装備を新調しましょう」

「そうそう、魔法付与は無理でも、鍛冶魔法で無理やり変形させると良いよ。もちろん私の刀にも使ってね!」

 ヒトミがすかさずおねだりし、ほんの少しだけ間をおいてナタリアとミラも続く。

「では、私は矢じりをお願いします」

「私は包丁」

「包丁?」

「ん。仲間外れは嫌」

「りょーかい。もちろんミラの分も作るから。あ、セルタが見えてきたね」

 朔が隣にいるミラの頭をぽんぽんとしながら視線を先に向けると、交易都市セルタの高い城壁が見え始めていた。



 セルタの城門を問題なく通過し、宿をとった朔たちは、護衛たちに休暇を告げて市場へと赴いた。市場である人物を探していたのだが、小一時間ほど探しても彼のことを見つけられなかった。

「あちゃー、マルコさんはもうソジャ地方に行っちゃったのかな」

 朔たちが探していたのは、味噌や醤油等の御用商人候補であるマルコであった。朔が肩を落としながらも、マルコを探してる際に目を付けていた調味料の店に入っていくのを、ナタリアが呼び止める。

「そのようですね。サクさん、これから南に向かいますので香辛料はそちらで購入しましょう。輸入元ですので、質が良いものが安く買えます」

「あ……。でもなんか悪いから、これだけください」

 しかし、朔はすでに桃色がかった岩塩を手に取ってしまっていた。店主は苦笑いを浮かべつつも、朔から手早く代価を受け取る。

「ったく、獣人国に行くならしゃあねえな。岩塩は挽いとくか?」

「そのままで大丈夫です」
 
「分かった。パンとソーセージはこっちの方が美味いから行く前に食っとけよ。最近、スタットから流れて来たやつが出した店の……あ~、なんて名前か忘れたが、その店が出してるパンにソーセージを挟んだ料理の評判がいいみたいだぞ」

(スタットから来たパンにソーセージを挟んだ料理ってホットドッグかな? シドさんが気に入ってくれてたし、広めてくれたとか? この世界でどんなアレンジがされてるのか気になる)
「ありがとうございます。食べてみますね」

 店主は「ああ」と応えつつ岩塩の入った布袋を差し出し、朔は笑顔でそれを受け取った。その後、店主に教えてもらった方角へと進むと、すぐに人だかりが見えてくる。

(日本じゃあるまいし、綺麗に一列に並ぶなんてことはないか)
「どうしよっか?」

 行列を見た朔は立ち止まり、一緒にいた皆に尋ねた。

「高校の昼休みを思い出すね。ホットドッグより、焼きそばパンが食べたいなあ」

「焼きそばパンとはなんでしょう?」

「ん」

 ナタリアとミラが聞きなれない言葉に素早く反応した。ヒトミはソースの説明が上手く思い浮かばず、首を捻って思案する。

「んー……美味しいソースを絡ませた麺をパンに挟んだやつ? けど、肝心のソースがないんだよねー。ちらっ」

 朔はあざとすぎる上目遣いを向けてくるヒトミに軽く手刀を落とし、何でもないことのようにあっさりと告げる。

「ちらっじゃねえよ。簡単なやつなら作れるぞ?」

「え!? 一からお好み焼きソースなんて作れるの!?」

「かなり簡略化したやつならね。それでも熟成させるのに最低一週間くらいはかかるけど」

「ほんとにほんとに作れるの!?」

 ヒトミは朔に詰め寄り、きらきらした瞳を向けた。孫馬鹿のアルスと違い、下手に出るような上目遣いよりも、ヒトミのこういう真っすぐな視線に朔は弱かった。

「あ、ああ、でもあんまり期待するなよ?」

「やったああああああ!! ありがとハニー! 大好き!」

 ヒトミは賑わう市場内で朔に抱き着いた。朔は様々な視線を向けられて焦り、彼女を振りほどこうとするが、興奮して強く抱きつくヒトミを中々引き剥がせないでいた。

 ナタリアが微笑みながら見守り、ヒトミに引っ張られたミラも加わってわちゃわちゃしていると、朔の頭の中にいつもの声が聞こえる。

『私の分も頼むぞ』

『儂のもじゃ』

 朔はやれやれと思いつつも、ミコトとアルスに了承の意を伝えた。さらに、どこかで聞いたことがある可愛らしい声が背後からかけられる。

「サク様ー!」
しおりを挟む
感想 231

あなたにおすすめの小説

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。