雨に天国、晴に地獄

月夜猫

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第九話

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「なんなんですかっ!次から次へとあなたたちはっ?!」
もうわけがわからない。
「「昌祁しょうきさんごめんなさーい!」」
「ついうっかりー」
「まったく、どうして玄関から入ってこれないのですか……」
「ついなー落ちちゃってー」
「飛んでたらねー落ちちゃったんだよねー」
飛んでたら落ちたあ?!
は?!
一体どういうことなのだろう……?わけがわからない。
なんというかわかりたくもないけど、あやかしの中では普通なのだろうか……?
昌祁しょうきさんの反応を見てるとなんとなく普通じゃない気もするけど……。
「わーおねーさん、なんか不思議だねー」
「混ざってるー?」
「そういや蒼司そうじは人間と結婚したんだったか?」
「ええ。そうですよ」
「だから混ざってるんだー」
「面白いねー」
双子の少女たちはそういってから顔を見合わせて「「ねー!」」と楽しそうに笑った。
双子の少女たちは本当にそっくりな顔立ちをしている。
二人とも真白の肌に淡い水色の髪をおかっぱにしていて、美しい空色の目を持っていた。
片方は白地に赤い花のかかれた着物を、もう片方は赤地に白い花のかかれた着物をまとっていた。
とても、かわいらしい、お人形のような見た目の子供たちだ。
……今のところ、行動はびっくりするくらい派手だけど。

それにしても、『混ざってる』か。
あやかしの(だったらしい。ホント衝撃の新事実だったよ……まったく)父と人間(あってるよね?あってるよね?!)母の間に生まれたわたしは”混ざりもの”なんだ。わたしは”人間でもあやかし”。
だから、これから先どちらか一方ではあれないのだろうとそう思った。
だって、わたしは人間として人間の社会の中で生きてきた。だけど、これから先わたしが生きていくのはあやかしの社会なのだ。とはいえ、急に在り方を変えるなんて器用なことわたしにはとてもじゃないができない。
だからわたしは、きっと人間とあやかし、そのどちらかではなくてそののだろうと思ったのだ。
「「わー!」」
それが起こったのは、双子たちの楽し気な声が聞こえた直後のことだった
バターンっ
障子がまた倒れてしまった。
「「「「あ」」」」
わたしも、思わず声が出た。
どうやら、追いかけっこをしている最中に転んで倒してしまったらしい。
わたしがやったわけじゃないけど怖くて、昌祁しょうきさんを見ることができない。
ブチッ
昌祁しょうきさんの何かが切れる音が聞こえた。
「……あなたたちは………!」
あっ。これだめだ。うん。絶対にブチぎれていらっしゃる。
いきなり部屋の中で風がごうごうと吹き荒れる。
部屋の中の調度品もその余波をもろに食らってしまっている。
部屋の中は一瞬にしてぐちゃぐちゃになった。
そして……メリメリメキャメキャと音をたて、とうとう
「はあっ!?」
まじかよ、おい……!?


そして、七話冒頭に戻るのだ。

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