4 / 9
1章
1.
しおりを挟む
『時計の魔女ルー・ルー』である私の一番初めは、山の中で一人おいていかれる記憶だった。
その年は、雨が降らなかった。
稀なる凶作で、飢饉だった。
それなのだから、仕方のないことで当時は、別段珍しいものでもなかった。
私は、別に怒ってはいないし恨んでもいなかった。
幼くも早熟だった私には、当時から仕方のないことだとわかっていたから。
小さい体の小さな心のどこかがチクリといたんだのを、気付かないふりをした。
幾たびも、幾たびも私の向かって泣きながら謝り続ける男女の姿。
きっとあれが私の両親だったのだろう。
もう顔も覚えていない人たち。
その人たちがいなくなってから私はほてほてと歩き出した。
その人たちとは、逆の方へ。
行く当てはなかった。
目指す場所もなかった。
ただ、もう帰れないと知っていたから、違うところへ行きたかったのだ。
そうして、幾日か私は山の中を彷徨った。
そうして、出会ったのだ。
大切な、大切なひとたちに。
「おや。子供がこんな所でなにしてるんです?親御さんは?」
ほてほてと一人歩いていた#ルリ__・_は、声をかけてきた真っ暗のマントを切ってフードをかぶっているその人を見上げた。
はらりと落ちた髪は艶やかな漆黒。
ルリは、まるで夜みたいな髪の毛の人だと思った。
「わかんない。とうさんとかあさんはいないよ。」
「……いない?」
「あんね、ことしはきょーさくでね、だからね、いちゃだめなんだって。くちべらし?なの。」
「凶作に口減らしですか…。難しい言葉をよく知っていましたね。ああ、だからこんなところに一人でいるのですか…。君はもう、帰れないのですね。行く当てはありますか?」
「なーよ」
「ないのですね、さてどうしますか。見殺しはちょっとアレですし…。」
きれいなその人は困ってたようにルリを見る。
だから、ルリもその人の目を見返した。
その人の目は森の色だった。
深い深い緑色。
でも、光に当たるとちょっとだけ明るい緑になる。
後のルリならこういっただろう。
”エメラルドの目”と。
「おや。随分と魔力の多い…。なら…。」
その人は、そういうと少し考え込んでいった。
「君、私の弟子になりませんか?」
「でし?」
「はい。君に魔法を教えましょう。」
「魔法…!」
ルリはキラキラと目を輝かせた。
魔力はほとんどの人が持っている。
しかし、魔法に変換できるほど魔力を持つ者は少ない。
平民ともなれば、なおさらだ。
だから、ルリにとって魔法は特別で憧れだった。
「ルリ、でしなるっ!」
「でよろしくお願いしますね。私は、『宝石の魔法使いシュム・クー』君を私の弟子と認めましょう。」
では、帰りましょうか。とそのひとー『宝石の魔法使いシュム・クー』はいって、ルリに手を差し伸べた。
ルリはその手を取って『宝石の魔法使いクレイ・スー』に手を引かれながら歩き出した。
ゆっくりと、日は傾いてそろそろ地平線に、沈むころ合いになってきた。
ほてほてとルリが手を引かれながら歩いていると、前に塔が見えてきた。
それは、山の中腹におびえ立つ高い塔があった。
コツコツととをたたいて、『宝石の魔法使いシュム・クー』は扉を開けた。
「ただいま帰りました。」
すると奥から、金の髪に真紅の目の人が出てきた。
ー後のルリは”ガーネットの目”といった。
「先生ずいぶんとおそかったですね。で、どこで何してたんですか。あと、そこの子だれですか。」
「さっき拾った子です。弟子にします。というかもうしてますね。」
「……はい?」
その人は理解不能といった様子で固まった。
「先生。すみませんがもう一度いってもらえますか?」
「さっき拾って弟子にしました。」
「わけわかりません。」
「今年は、凶作だったでしょう。それで、口減らしで捨てられたらしいです。なので、魔力が結構あったので弟子にしました。」
「なるほど…?」
ルリはうとうとし始めていた。
今までほとんど寝ずに彷徨っていたのだから無理もないことだった。
ずるり
ルリの体から力が抜けてへたり込んでしまった。
「「え…」」
慌てて2人が確認すると寝落ちているだけだった。
「まあ。無理もないことですね。私で出会う前から彷徨っていたみたいですし…。」
「その子、怪我とかはないですか?」
「かすり傷くらいだと思いますよ。」
「では、このまま寝かせますか。詳しいことは明日聞きます。もう、遅いですし。」
その年は、雨が降らなかった。
稀なる凶作で、飢饉だった。
それなのだから、仕方のないことで当時は、別段珍しいものでもなかった。
私は、別に怒ってはいないし恨んでもいなかった。
幼くも早熟だった私には、当時から仕方のないことだとわかっていたから。
小さい体の小さな心のどこかがチクリといたんだのを、気付かないふりをした。
幾たびも、幾たびも私の向かって泣きながら謝り続ける男女の姿。
きっとあれが私の両親だったのだろう。
もう顔も覚えていない人たち。
その人たちがいなくなってから私はほてほてと歩き出した。
その人たちとは、逆の方へ。
行く当てはなかった。
目指す場所もなかった。
ただ、もう帰れないと知っていたから、違うところへ行きたかったのだ。
そうして、幾日か私は山の中を彷徨った。
そうして、出会ったのだ。
大切な、大切なひとたちに。
「おや。子供がこんな所でなにしてるんです?親御さんは?」
ほてほてと一人歩いていた#ルリ__・_は、声をかけてきた真っ暗のマントを切ってフードをかぶっているその人を見上げた。
はらりと落ちた髪は艶やかな漆黒。
ルリは、まるで夜みたいな髪の毛の人だと思った。
「わかんない。とうさんとかあさんはいないよ。」
「……いない?」
「あんね、ことしはきょーさくでね、だからね、いちゃだめなんだって。くちべらし?なの。」
「凶作に口減らしですか…。難しい言葉をよく知っていましたね。ああ、だからこんなところに一人でいるのですか…。君はもう、帰れないのですね。行く当てはありますか?」
「なーよ」
「ないのですね、さてどうしますか。見殺しはちょっとアレですし…。」
きれいなその人は困ってたようにルリを見る。
だから、ルリもその人の目を見返した。
その人の目は森の色だった。
深い深い緑色。
でも、光に当たるとちょっとだけ明るい緑になる。
後のルリならこういっただろう。
”エメラルドの目”と。
「おや。随分と魔力の多い…。なら…。」
その人は、そういうと少し考え込んでいった。
「君、私の弟子になりませんか?」
「でし?」
「はい。君に魔法を教えましょう。」
「魔法…!」
ルリはキラキラと目を輝かせた。
魔力はほとんどの人が持っている。
しかし、魔法に変換できるほど魔力を持つ者は少ない。
平民ともなれば、なおさらだ。
だから、ルリにとって魔法は特別で憧れだった。
「ルリ、でしなるっ!」
「でよろしくお願いしますね。私は、『宝石の魔法使いシュム・クー』君を私の弟子と認めましょう。」
では、帰りましょうか。とそのひとー『宝石の魔法使いシュム・クー』はいって、ルリに手を差し伸べた。
ルリはその手を取って『宝石の魔法使いクレイ・スー』に手を引かれながら歩き出した。
ゆっくりと、日は傾いてそろそろ地平線に、沈むころ合いになってきた。
ほてほてとルリが手を引かれながら歩いていると、前に塔が見えてきた。
それは、山の中腹におびえ立つ高い塔があった。
コツコツととをたたいて、『宝石の魔法使いシュム・クー』は扉を開けた。
「ただいま帰りました。」
すると奥から、金の髪に真紅の目の人が出てきた。
ー後のルリは”ガーネットの目”といった。
「先生ずいぶんとおそかったですね。で、どこで何してたんですか。あと、そこの子だれですか。」
「さっき拾った子です。弟子にします。というかもうしてますね。」
「……はい?」
その人は理解不能といった様子で固まった。
「先生。すみませんがもう一度いってもらえますか?」
「さっき拾って弟子にしました。」
「わけわかりません。」
「今年は、凶作だったでしょう。それで、口減らしで捨てられたらしいです。なので、魔力が結構あったので弟子にしました。」
「なるほど…?」
ルリはうとうとし始めていた。
今までほとんど寝ずに彷徨っていたのだから無理もないことだった。
ずるり
ルリの体から力が抜けてへたり込んでしまった。
「「え…」」
慌てて2人が確認すると寝落ちているだけだった。
「まあ。無理もないことですね。私で出会う前から彷徨っていたみたいですし…。」
「その子、怪我とかはないですか?」
「かすり傷くらいだと思いますよ。」
「では、このまま寝かせますか。詳しいことは明日聞きます。もう、遅いですし。」
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる