恋も愛も知りはしないっ!!

結月彩夜

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天才となんちゃらは…!

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若干いまさらな気もするけど、あたしが引き取られた家、つまりはクラウト子爵家について少しだけ話していこうと思う。

クラウト子爵家を一言でいうなら『天才となんちゃらは紙一重』なんだよね……
何をもって普通というかって結構人によって違うと思うよ?でもね?でもね?!
クラウト子爵家コレと思うの……!
なんつーかね?クラウト子爵家はね、魔術師を多く輩出するいちようは名家なんだけどね?
数々の天才を世に送り出す傍らでヤバいやつも世に送り出しちゃってるんだよ……
褒美で爵位が上がったかと思えば不祥事で下がる。これの繰り返しをし続けて現在は子爵家なのだ。

引き取られたときにちょっと気になって調べてみたらこれだから本当にびっくりしたの、なんの。
……正直夜逃げしたろうかと思った瞬間あったよね………。

当代当主はあたしの父に当たる人。
例にもれず魔術師だけど、クラウト子爵家にしては比較的ましといわれているひとである。
詳しく調べてないんだけどさ、比較的って何だろうね……?怖すぎるよね……?

初対面がなあー……。もうこの時点で「だいじょうぶなんか?コイツ」ととっさに思ったくらいは、何というか……オブラートに包みこんで言うなら愉快な人だったんだよねえ。



「あっはは。はじめまして。私は君の”父親”です。君のお母さんはここにいるかな?」
何コイツ。
「いたらなにか?」
「んー?迎えに来ただけだよ?おとなしく一緒に出てきてほしいな?………じゃないと私が何をするのかわからないから、ね?」
何言ってんだこいつ。私は心から思った。
「お兄さん誰だか知らないんだけど。つーか今になって??おととい出直してから来い?」
私は思わずそう言ったあと、一昨日でもきて欲しくねーな…?とおもった。
まぁ、一昨日来るなんて無理の話だけど。
出来たら呪いかナニかだろうね。
呪いの力なんてものはないのであったらびっくりだけど。
「……うーん、流石に一昨日くるのはムリかなぁ」
「そーじゃねえよ……こういうのはそういう文句だろうが」
「なるほどねぇ…?」
こいついまいちわかってないなぁ…?
そして、それをどうでも良いと思っている。そんな風に思った。
いっそのこと面白い。
「うーん。やっぱり場所が変わると常識って変わるねぇ…」
こいつホントに大丈夫なんだろーか…?
「これでも一応天才って言われてるんだけど。まあいいや、君が最初に出てきてよかったよ」
そっちの方がずっとらくだからね。
自称父親はそういって微笑んだ。……うさんくさいな、ホントに!?
「いろいろあって君の状況を知りまして。引き取ることに決めたので、一緒にきて欲しいのですよ」

は…?

あたしはこいつホントに本気で言ってる…?と思ったのだった……
 
まあこれが初対面だったのだ……



──
今更ですが修正しました。9/19
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