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第6章 景雲の姉襲来編
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「この傷は夫によってつけられた傷よ。私は嫁いでからというものいつも見下されながら暮らしていたわ。だんだんと暴力をふるうようになって、とうとう耐えきれなくなって三行半を置いて出てきたの」
「そうだったんですか…」
「ごめんなさいね。こんな話して」
「いえ…此処ではどうぞゆっくりしてください」
「ありがとう」
儚く笑う杏歌が印象的で、晏寿は部屋をあとにした。
部屋を出て、廊下を曲がったところで玲峯が壁にもたれていた。
「悪い。聞くつもりはなかったんだが、晏寿が包帯を持っていったのが気になって…」
「ううん、杏歌殿に黙っててくれたらいいよ。ねぇ兄様、杏歌殿を」
「うちに住んでもらおう。容家にいると離縁した夫が押し掛けてくるかもしれない」
「私もそう思う。母様に頼もう」
今日出会ったばかりの杏歌だが、助けたいという感情が二人には芽生えていた。
杏歌を一時期住まわせたいと頼むと、二つ返事で許可がおりた。
曰く、二人が仕事で不在のときの話し相手ができて嬉しいとのこと。
杏歌に翌日その旨を伝えると、戸惑った様子であったが、どこか嬉しそうであった。
「これから杏歌殿はうちに住むからね」
「いやいやいや、何故だ!」
離縁の理由は省いて結論だけを景雲に伝えると、当たり前だが理由を訊ねられた。
しかし杏歌から口止めされているため適当に景雲をあしらい、仕事に向かったのだった。
杏歌が柳家に住み始めて数日が経った。
杏歌は流石景雲の姉だけあり、人付き合いが上手く、柳家にすぐ馴染んでいた。また、瑚蘭が家事全般ができないため晏寿から少しずつ習い、柳家の大まかな家事を行うようになっていた。
「悪いわねぇ、私が不器用なばっかりに」
「いいんです。ご好意で泊めさせていただいているんですもの。これくらいさせてください」
最初はどこか暗い表情を見せていた杏歌であったが、だんだんと明るさを取り戻していった。
「晏寿、姉上が我儘を言っていないか?理不尽なことをしていないか?」
景雲はというと、晏寿に毎日のようにそう聞いてきた。
それに対して晏寿は呆れながら、
「大丈夫だってば」
と言い返すのだった。
そうして月日が流れ、半月が経とうとしていた。
夕食に久しぶりに玲峯も晏寿も揃ったところで、瑚蘭が提案してきた。
「そろそろ杏歌さんとお買い物に行きたいと思うの。杏歌さんも家の中ばかりじゃ息が詰まってしまうでしょう?」
「それって杏歌殿を理由に母様が行きたいんじゃないの?」
「うふふ~」
瑚蘭は笑って誤魔化す。
杏歌は他の三人の顔色を伺っていた。
「いいんじゃないか。俺が荷物持ち兼護衛でついていくから」
「いいんですか?」
「はい、たまには羽根を伸ばしてください」
「玲峯も仕事ばかりですものね!一緒にお買い物しましょう」
瑚蘭はその日が待ち遠しいとばかりにるんるんで、杏歌もどこか嬉しそうに頬を緩めていた。
日程を決めたところで、晏寿だけがその日仕事であったため、欠席となった。
「次の日だったら休みだったんだけど、仕方ないね」
肩を竦めながら残念がる晏寿。
そこに妙案とばかりに、瑚蘭が言う。
「その日秀英君はお休みじゃないの?せっかくなら秀英君と出かけてらっしゃいな」
「秀英と?」
何故と頭を捻っていると、瑚蘭がもうっと憤慨した。
「お嫁にしたいって言ってくれてるんだから、逢引してらっしゃい!」
「母上、それは俺が黙認できない。大事な妹をどこぞの馬の骨と…」
「どこぞの馬ではなくて、共に仕事をしている秀英君よ!」
それでもまだ何か言いたげな玲峯だったが、瑚蘭には適わないと思ったのかそれ以上何も言わなかった。
「そうだったんですか…」
「ごめんなさいね。こんな話して」
「いえ…此処ではどうぞゆっくりしてください」
「ありがとう」
儚く笑う杏歌が印象的で、晏寿は部屋をあとにした。
部屋を出て、廊下を曲がったところで玲峯が壁にもたれていた。
「悪い。聞くつもりはなかったんだが、晏寿が包帯を持っていったのが気になって…」
「ううん、杏歌殿に黙っててくれたらいいよ。ねぇ兄様、杏歌殿を」
「うちに住んでもらおう。容家にいると離縁した夫が押し掛けてくるかもしれない」
「私もそう思う。母様に頼もう」
今日出会ったばかりの杏歌だが、助けたいという感情が二人には芽生えていた。
杏歌を一時期住まわせたいと頼むと、二つ返事で許可がおりた。
曰く、二人が仕事で不在のときの話し相手ができて嬉しいとのこと。
杏歌に翌日その旨を伝えると、戸惑った様子であったが、どこか嬉しそうであった。
「これから杏歌殿はうちに住むからね」
「いやいやいや、何故だ!」
離縁の理由は省いて結論だけを景雲に伝えると、当たり前だが理由を訊ねられた。
しかし杏歌から口止めされているため適当に景雲をあしらい、仕事に向かったのだった。
杏歌が柳家に住み始めて数日が経った。
杏歌は流石景雲の姉だけあり、人付き合いが上手く、柳家にすぐ馴染んでいた。また、瑚蘭が家事全般ができないため晏寿から少しずつ習い、柳家の大まかな家事を行うようになっていた。
「悪いわねぇ、私が不器用なばっかりに」
「いいんです。ご好意で泊めさせていただいているんですもの。これくらいさせてください」
最初はどこか暗い表情を見せていた杏歌であったが、だんだんと明るさを取り戻していった。
「晏寿、姉上が我儘を言っていないか?理不尽なことをしていないか?」
景雲はというと、晏寿に毎日のようにそう聞いてきた。
それに対して晏寿は呆れながら、
「大丈夫だってば」
と言い返すのだった。
そうして月日が流れ、半月が経とうとしていた。
夕食に久しぶりに玲峯も晏寿も揃ったところで、瑚蘭が提案してきた。
「そろそろ杏歌さんとお買い物に行きたいと思うの。杏歌さんも家の中ばかりじゃ息が詰まってしまうでしょう?」
「それって杏歌殿を理由に母様が行きたいんじゃないの?」
「うふふ~」
瑚蘭は笑って誤魔化す。
杏歌は他の三人の顔色を伺っていた。
「いいんじゃないか。俺が荷物持ち兼護衛でついていくから」
「いいんですか?」
「はい、たまには羽根を伸ばしてください」
「玲峯も仕事ばかりですものね!一緒にお買い物しましょう」
瑚蘭はその日が待ち遠しいとばかりにるんるんで、杏歌もどこか嬉しそうに頬を緩めていた。
日程を決めたところで、晏寿だけがその日仕事であったため、欠席となった。
「次の日だったら休みだったんだけど、仕方ないね」
肩を竦めながら残念がる晏寿。
そこに妙案とばかりに、瑚蘭が言う。
「その日秀英君はお休みじゃないの?せっかくなら秀英君と出かけてらっしゃいな」
「秀英と?」
何故と頭を捻っていると、瑚蘭がもうっと憤慨した。
「お嫁にしたいって言ってくれてるんだから、逢引してらっしゃい!」
「母上、それは俺が黙認できない。大事な妹をどこぞの馬の骨と…」
「どこぞの馬ではなくて、共に仕事をしている秀英君よ!」
それでもまだ何か言いたげな玲峯だったが、瑚蘭には適わないと思ったのかそれ以上何も言わなかった。
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