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第8章 無駄な経費削減編
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「そういえば私が後宮にいる時、どうしてあんなに頻繁に文を出してきたの?」
赤い頬を誤魔化すかのように、晏寿はここぞとばかりに違う話を振った。
秀英は温くなっている茶を一口飲み、碗を置く。
「景雲と授 安里について晏寿ではないかと疑いをかけていた。そこで文から聞き出せないかと二人で策を投じていた。
出生不明の妃の登場と妃の名前、晏寿の仕事内容に似通った部分が多かったからな。だが実際は核心を得られないまま終わってしまった」
碗の縁を指でなぞりながら、曖昧な笑みを浮かべる秀英。
秀英と景雲がそのようなことを考えていたのかと晏寿は胸中で驚く。
しかし、晏寿には引っかかる部分があった。
「ねえ、それなら紅露が私を追いかけてきたことで、どこに行ったのか探れたはずじゃないの?」
晏寿の言葉に秀英はぴたりと動きを止める。そして表情が無くなり、晏寿はその秀英の挙動にぞくりとする。
元々端正な顔立ちの秀英が無表情になると、突き放すような冷たさを感じる。
「それを俺は聞き出すことができなかったんだ」
静かに秀英が呟く。
「晏寿」
「…何?」
「このことを話すには俺の生い立ちを話さなければならない。求婚をしている身としては、知ってもらいたい気持ちと知られれば離れていってしまうのではないかという不安もある。それでも、」
「教えて」
秀英の発言を遮って晏寿は言う。
「ちょっとやそっとじゃ私は揺るがないし靡かないわ。腹括るわよ」
「流石だな」
表情を少し緩め、先程の冷淡さが緩和される。
晏寿はこれから話される秀英の言葉を一言一句逃すまいと気を引き締めた。
そして秀英が話し始めた。
俺と紅露は兄妹であるが、母親の違う異母兄妹である。
貴族でよくあるのが前妻が何らかの理由でその立ち位置が空席になり、後妻を娶り、それぞれの間に子が生まれるというもの。
しかし伯家は違った。
俺は父が一度だけ犯した過ちから生まれた。
父は紅露の母親と親の決めた縁談で婚姻を結んだ。
その後、数年二人の間には子ができず、周りが焦り始めた。
そんな毎日に嫌気がさしていた父は、たまたま立ち寄った小さな村で俺の本当の母親と出会い、一夜を共にした。
そして、その一年後に俺が生まれた。
父は俺が生まれたことは知らず、村を訪れることもなかった。
俺が五つになる頃にようやく紅露の母が身ごもり、無事紅露が生まれた。
紅露の誕生は伯家にとって喜びと同時に落胆を生んだ。
せっかく生まれてきた子が男ではないことで、跡取り問題が生じ始めた。
再び父は周りから言われることに苛立ち、ふと五年前にもこのようなことがあったことを思い出し、村を訪れた。
そこには一夜の過ちで生まれていた、自分の血を引く五つになる息子がいた。
生母はすでに流行り病で亡くなっており、俺は村の人達によって育てられていた。
父はすぐに俺を引き取り、夫婦の間に生まれたものとして扱い、名も「秀英」と改めさせた。
この事実はほんの一部の人間しか知らず、紅露さえも知らない。
それからというもの俺は伯家の跡取りとして厳しく育てられ、今日にいたる。
赤い頬を誤魔化すかのように、晏寿はここぞとばかりに違う話を振った。
秀英は温くなっている茶を一口飲み、碗を置く。
「景雲と授 安里について晏寿ではないかと疑いをかけていた。そこで文から聞き出せないかと二人で策を投じていた。
出生不明の妃の登場と妃の名前、晏寿の仕事内容に似通った部分が多かったからな。だが実際は核心を得られないまま終わってしまった」
碗の縁を指でなぞりながら、曖昧な笑みを浮かべる秀英。
秀英と景雲がそのようなことを考えていたのかと晏寿は胸中で驚く。
しかし、晏寿には引っかかる部分があった。
「ねえ、それなら紅露が私を追いかけてきたことで、どこに行ったのか探れたはずじゃないの?」
晏寿の言葉に秀英はぴたりと動きを止める。そして表情が無くなり、晏寿はその秀英の挙動にぞくりとする。
元々端正な顔立ちの秀英が無表情になると、突き放すような冷たさを感じる。
「それを俺は聞き出すことができなかったんだ」
静かに秀英が呟く。
「晏寿」
「…何?」
「このことを話すには俺の生い立ちを話さなければならない。求婚をしている身としては、知ってもらいたい気持ちと知られれば離れていってしまうのではないかという不安もある。それでも、」
「教えて」
秀英の発言を遮って晏寿は言う。
「ちょっとやそっとじゃ私は揺るがないし靡かないわ。腹括るわよ」
「流石だな」
表情を少し緩め、先程の冷淡さが緩和される。
晏寿はこれから話される秀英の言葉を一言一句逃すまいと気を引き締めた。
そして秀英が話し始めた。
俺と紅露は兄妹であるが、母親の違う異母兄妹である。
貴族でよくあるのが前妻が何らかの理由でその立ち位置が空席になり、後妻を娶り、それぞれの間に子が生まれるというもの。
しかし伯家は違った。
俺は父が一度だけ犯した過ちから生まれた。
父は紅露の母親と親の決めた縁談で婚姻を結んだ。
その後、数年二人の間には子ができず、周りが焦り始めた。
そんな毎日に嫌気がさしていた父は、たまたま立ち寄った小さな村で俺の本当の母親と出会い、一夜を共にした。
そして、その一年後に俺が生まれた。
父は俺が生まれたことは知らず、村を訪れることもなかった。
俺が五つになる頃にようやく紅露の母が身ごもり、無事紅露が生まれた。
紅露の誕生は伯家にとって喜びと同時に落胆を生んだ。
せっかく生まれてきた子が男ではないことで、跡取り問題が生じ始めた。
再び父は周りから言われることに苛立ち、ふと五年前にもこのようなことがあったことを思い出し、村を訪れた。
そこには一夜の過ちで生まれていた、自分の血を引く五つになる息子がいた。
生母はすでに流行り病で亡くなっており、俺は村の人達によって育てられていた。
父はすぐに俺を引き取り、夫婦の間に生まれたものとして扱い、名も「秀英」と改めさせた。
この事実はほんの一部の人間しか知らず、紅露さえも知らない。
それからというもの俺は伯家の跡取りとして厳しく育てられ、今日にいたる。
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