柔よく剛を制す

薬袋 藍(ミナイ ラン)

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第8章 無駄な経費削減編

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「あ!もちろん大臣のことも尊敬してますよ?ただ…機嫌が悪い時には近寄り難いというか、そもそもあまり話したこともないというか」
「大丈夫、李大臣に言ったりしないから。それに大臣がちゃんと仕事しないのが悪いのよ。そうかぁ、凱君達の初仕事は兄様が決めたのね」

慌てて弁解する凱に晏寿は苦笑する。

「晏寿殿達の初仕事は何だったんですか?」
「私達のときは北楊村に無期限の赴任だったわ。一年で帰ってきたけど」
「え、北楊村にですか!?ちょっと前まですごく荒んだ村で有名だったじゃないですか。それを一年で今の状態にしたんですか?」
「最初に行った時は荒れてすごかったけど、村人達は良い人ばかりだったよ。慣れない畑仕事も皆で泥まみれになりながら作業したわ」

懐かしむように晏寿は答える。
その様子を信じられないものを見るかのように、凱は目を丸くしていた。

「俺だったらきっとすぐ心が折れていたと思います。晏寿殿達ってすごい方々だと改めて感じます」
「そんな大したことしてないよ。私も二人に助けられてたから。きっと二人も自分だけではできなかったって言うと思う。だからかな。私には秀英と景雲がかけがえのない存在なの」

言っていて恥ずかしくなり、晏寿ははにかむ。

二人の存在は晏寿にとってとても大きなものになっていた。
官吏試験を受けなければ会うこともなかった二人との出会いは、時にぶつかり、時に励まし、三人の成長にへと繋がっていた。

心のどこかで、秀英と景雲も自分と同じように考えていてくれたら嬉しいと思う晏寿だった。


昴全と鈴が昼食を作り始めて三日目。
この日が晏寿の手伝う最後の日となっていた。

「今日は口を出さないから二人でやってみて。昨日の様子なら大丈夫だから」

晏寿の発言に対して二人は大きく返事をすることはなかったものの、しっかりと頷いた。

二人は手際よく動き、昴全は最初に比べると声が出るようになっていた。
鈴は小さな体を活かし、細かなことの気配りを行っていた。
晏寿はその様子を見ていて二人なら大丈夫だと、調理場を後にして休憩所へと向かった。

そこには早めに鍛錬が終わっていた何名かが座っており、晏寿に気づくと手を振った。

「お!文官娘、今日は鈴ちゃんは一緒じゃないのか?」
「文官娘じゃなくて、私にも晏寿って名前があるわ。今鈴ちゃんと昴全君は支度中よ」

鈴との扱いの差にむくれる表情をすると、「悪い悪い」となんとも心のこもっていない返事だった。
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