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第8章 無駄な経費削減編
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「なんだ、騒がしいな」
一人の声が響くと、今まで声をあげて笑っていた武官達がピタリと静まり返った。
声の主は斉将軍こと、斉 蓮徳である。
「娘、来ていたのか」
「はい。斉将軍お早いですね。まだ調理中で食べる物はないのですが…」
「良い。鍛練をしていたが相手がいなくなったから寄ったまでだ」
「そうだったのですね。鍛練ご苦労様です」
自然に晏寿は会話をしていたが斉将軍の「相手がいなくなった」とは、斉将軍が他の武官達を全員足腰が立たないくらいに打ちのめしてしまったことを指す。
そのことを知っている先に休憩所に来ていた武官達は、巻き添えをくわなかったことへの安堵と他の武官達はここに来るのに時間がかかるだろうという憐れみ、そして斉将軍に対しての畏怖を感じて動けなくなっていた。
「して、娘がここにいるということは、今日の飯は娘は作っていないのか?」
「はい。元々臨時で行っていたので、今日が最後でして。新しい者の教育を行っていたのです。本日は新しい者達の最終確認の日です」
「そうか。また顔を出すといい。儂が許す」
「ありがとうございます」
晏寿が頭を下げると、大きなゴツゴツとした手で斉将軍は晏寿の頭をぽんと撫でた。
そして颯爽と斉将軍は部屋を出ていき、武官達はやっと呼吸が出来たとばかりに息を吐いた。
「怖ぇ…」
「生きた心地がしなかった…」
「娘文官、なんで普通に会話してんだよ!」
「俺らちびりそうになったんだぞ!」
次々と晏寿に対しての批判や、斉将軍に対しての恐れを口にする武官達。
「そんなこと言ったって。私にとっては、大きなおじいちゃんって印象だし」
「「「「おじいちゃん!?」」」」
「な、なによぅ、いいじゃない…」
信じられないという視線を受け、晏寿は萎縮してしまうのだった。
そんなこんなしている間に昂全と鈴が指示出ししながら作った料理が運ばれてきた。
それと同時に武官達も休憩にやって来て、一気に人口密度が上がる。
配膳も晏寿は今回は手を出さずに、二人の様子を伺っていた。
あからさまに鈴のほうに列が出来ており、昂全の方に並ぶのは相当空腹の者だけであった。
時々、
「野郎がついだ飯を食えるか!」
「飯の時くらい癒しがほしい!」
などと聞こえてきたが、晏寿は黙っていたのだった。
武官達の昼食がようやく済み、やっと二人は一息ついた。
椅子に座り、ぐったりとしているところに晏寿が茶と饅頭を持って現れる。
「二人ともお疲れ様。休憩にこれ食べて」
昂全は「っす」と小さく謝辞を述べて饅頭に手を伸ばす。
鈴はというと湯のみに手を伸ばしながら、晏寿を見上げる。
「他の調理場の人達には?」
「さっき渡してきたよ。皆大変だったけど、二人のお陰で乗り越えられたって」
「…ふん」
鈴が茶を含むと茉莉花茶の香りが鼻腔を擽る。
「茉莉花茶には気持ちを落ち着かせる効果があるから、ゆっくり飲んだらいいよ。落ち着いたら片付けて、今日は終わりね」
「本当に、今日で終わりなんすか」
晏寿が伸びをしていると、昂全がいつもより大きな声を出して晏寿に尋ねる。
「うん。予定では今日で終わり。明日からは二人で仕切っていくことになるよ。もちろんたまには様子も見に来るけど。」
「本当にできると思ってんすか?」
珍しく饒舌な昂全に目を見張る晏寿。
昂全の瞳には若い熱量と、不安が入り交じっていた。
「誰しもなんでも完璧にこなせるわけじゃない。秀英も景雲も初めてやった厠掃除は悲惨だった。北楊村では鍬も鋤も持ったことないのに、畑の大事な畝まで破壊して怒られた。私はせっかく作ったお酒の味も確かめられずにぶっ倒れた。
でもその失敗があったから、今があると思う」
「失敗しても頭筋肉でできてる人達が半数だもの。多少は許してくれるわ」
と笑う晏寿に、なんとなくではあるが安心感を感じるのだった。
「晏寿」
休憩所の入口のほうから不意に名前を呼ばれ、晏寿が振り向くとそこには秀英と景雲がいた。
昂全と鈴と話している間に迎えが来たようだ。
「今日で終いだな。昂全、明日から頑張るんだぞ」
「うす」
景雲の言葉に昂全は短く返す。
その様子を見ていて、秀英も鈴に声をかける。
「鈴、ここは屋敷とは勝手が違うがお前ならできる。励むように」
「はい!」
昂全とは対照的に、鈴は嬉しいとばかりの返事をする。
晏寿は微笑ましく思いながら、入口の二人に近づいていく。
「それじゃあ、これからよろしくね」
そう言って、晏寿達は出ていった。
三人の後ろ姿を見ていて、鈴は先程とはうって変わって暗い表情になっていた。
「…あの人はずるいわ。何もかも持っていて、お二人から構われて…」
一人の声が響くと、今まで声をあげて笑っていた武官達がピタリと静まり返った。
声の主は斉将軍こと、斉 蓮徳である。
「娘、来ていたのか」
「はい。斉将軍お早いですね。まだ調理中で食べる物はないのですが…」
「良い。鍛練をしていたが相手がいなくなったから寄ったまでだ」
「そうだったのですね。鍛練ご苦労様です」
自然に晏寿は会話をしていたが斉将軍の「相手がいなくなった」とは、斉将軍が他の武官達を全員足腰が立たないくらいに打ちのめしてしまったことを指す。
そのことを知っている先に休憩所に来ていた武官達は、巻き添えをくわなかったことへの安堵と他の武官達はここに来るのに時間がかかるだろうという憐れみ、そして斉将軍に対しての畏怖を感じて動けなくなっていた。
「して、娘がここにいるということは、今日の飯は娘は作っていないのか?」
「はい。元々臨時で行っていたので、今日が最後でして。新しい者の教育を行っていたのです。本日は新しい者達の最終確認の日です」
「そうか。また顔を出すといい。儂が許す」
「ありがとうございます」
晏寿が頭を下げると、大きなゴツゴツとした手で斉将軍は晏寿の頭をぽんと撫でた。
そして颯爽と斉将軍は部屋を出ていき、武官達はやっと呼吸が出来たとばかりに息を吐いた。
「怖ぇ…」
「生きた心地がしなかった…」
「娘文官、なんで普通に会話してんだよ!」
「俺らちびりそうになったんだぞ!」
次々と晏寿に対しての批判や、斉将軍に対しての恐れを口にする武官達。
「そんなこと言ったって。私にとっては、大きなおじいちゃんって印象だし」
「「「「おじいちゃん!?」」」」
「な、なによぅ、いいじゃない…」
信じられないという視線を受け、晏寿は萎縮してしまうのだった。
そんなこんなしている間に昂全と鈴が指示出ししながら作った料理が運ばれてきた。
それと同時に武官達も休憩にやって来て、一気に人口密度が上がる。
配膳も晏寿は今回は手を出さずに、二人の様子を伺っていた。
あからさまに鈴のほうに列が出来ており、昂全の方に並ぶのは相当空腹の者だけであった。
時々、
「野郎がついだ飯を食えるか!」
「飯の時くらい癒しがほしい!」
などと聞こえてきたが、晏寿は黙っていたのだった。
武官達の昼食がようやく済み、やっと二人は一息ついた。
椅子に座り、ぐったりとしているところに晏寿が茶と饅頭を持って現れる。
「二人ともお疲れ様。休憩にこれ食べて」
昂全は「っす」と小さく謝辞を述べて饅頭に手を伸ばす。
鈴はというと湯のみに手を伸ばしながら、晏寿を見上げる。
「他の調理場の人達には?」
「さっき渡してきたよ。皆大変だったけど、二人のお陰で乗り越えられたって」
「…ふん」
鈴が茶を含むと茉莉花茶の香りが鼻腔を擽る。
「茉莉花茶には気持ちを落ち着かせる効果があるから、ゆっくり飲んだらいいよ。落ち着いたら片付けて、今日は終わりね」
「本当に、今日で終わりなんすか」
晏寿が伸びをしていると、昂全がいつもより大きな声を出して晏寿に尋ねる。
「うん。予定では今日で終わり。明日からは二人で仕切っていくことになるよ。もちろんたまには様子も見に来るけど。」
「本当にできると思ってんすか?」
珍しく饒舌な昂全に目を見張る晏寿。
昂全の瞳には若い熱量と、不安が入り交じっていた。
「誰しもなんでも完璧にこなせるわけじゃない。秀英も景雲も初めてやった厠掃除は悲惨だった。北楊村では鍬も鋤も持ったことないのに、畑の大事な畝まで破壊して怒られた。私はせっかく作ったお酒の味も確かめられずにぶっ倒れた。
でもその失敗があったから、今があると思う」
「失敗しても頭筋肉でできてる人達が半数だもの。多少は許してくれるわ」
と笑う晏寿に、なんとなくではあるが安心感を感じるのだった。
「晏寿」
休憩所の入口のほうから不意に名前を呼ばれ、晏寿が振り向くとそこには秀英と景雲がいた。
昂全と鈴と話している間に迎えが来たようだ。
「今日で終いだな。昂全、明日から頑張るんだぞ」
「うす」
景雲の言葉に昂全は短く返す。
その様子を見ていて、秀英も鈴に声をかける。
「鈴、ここは屋敷とは勝手が違うがお前ならできる。励むように」
「はい!」
昂全とは対照的に、鈴は嬉しいとばかりの返事をする。
晏寿は微笑ましく思いながら、入口の二人に近づいていく。
「それじゃあ、これからよろしくね」
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