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第1章 官吏試験編
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しかし、いつまでたっても衝撃がこない。
ゆっくり顔を上げれば、振り上げた男の腕を握っている青年がいた。
「こんな処で事を起こせば、官吏試験を受けられなくなってしまうのでは?
それに、女人が試験を受けられるように決めたのは王。
王命に背くようでは、官吏になる資格がないと思われるのですが」
「なっ…、若造が…!」
男は悪態をつくが、青年の言葉が正しいのでぐうの音も出なかった。
そして、青年の手から腕を振りほどき、ガンを飛ばしながらどこかに行ってしまった。
晏寿は青年にお礼を言わなくてはと声をかける。
「あの、ありがとうございました」
正面から青年の顔を見た晏寿だったが、その青年の顔がとても整っていることに驚いた。
けれどそれ以上に驚いたのは、青年の表情がとても冷たいことだった。
「ただでさえ、女ということで邪魔者扱いされるのだから、そのときの対処法くらい用意してはどうだ?」
「な!?」
表情も冷たいが、言葉も冷たい。
晏寿は驚いて言葉もなかった。
青年はそのまま、去っていった。
自分を守ってくれたことは感謝するが、そのあとの台詞が気に食わない。
むしゃくしゃしながら、試験をする部屋に入った。
自分の受験番号の席に行けば、隣の席の人が既に座っていた。
今日は人と話せばロクなことがない。
晏寿は黙って待つことにした。
「なあ、君」
隣の席の青年が声をかけてきた
また馬鹿にされるのかと思えば、相手にしたくないが、邪険にもできない。
「なんですか?」
「今年から女人も受けられるようになったからよかったな」
にこっと笑う。
晏寿は胡散臭さを感じつつも適当に頷いた。
青年は話すのをやめようとはしないで、言葉を更に続ける。
「そういえば、先程伯秀英と話してたよな」
「伯秀英?」
「なんだ?知らないで話してたのか?
彼は眉目秀麗・頭脳明晰で、官僚の父を持つ秀才。
だが性格が堅物だから、近寄る人もいないんだ」
べらべらとしゃべる様子を見て、晏寿は呆れかえっていた。
試験前に良くそんなに口が回るものだ。
「随分お詳しいんですね」
「俺の情報網をなめてもらっちゃあね。
君のことももちろん知っている。
柳晏寿ちゃん」
いきなり名前を呼ばれてびくっとなる。
文机の上に身元が分かる物を出していたのかと思って辺りを見渡せば、机には受験番号の書かれた紙が貼っているだけだった。
「ある意味君も有名なんだよ。
落ちぶれてしまった良家の娘。
器量良しで、見てくれも良し。
本来なら嫁に欲しいくらいだが、悪名高い糸家がもれなく付いてくる可能性がある。
だから皆なかなか手が出せなかった。
しかしそんな姫君がまさか官吏試験にくるなんてな。
兄の代わりか?」
ゆっくり顔を上げれば、振り上げた男の腕を握っている青年がいた。
「こんな処で事を起こせば、官吏試験を受けられなくなってしまうのでは?
それに、女人が試験を受けられるように決めたのは王。
王命に背くようでは、官吏になる資格がないと思われるのですが」
「なっ…、若造が…!」
男は悪態をつくが、青年の言葉が正しいのでぐうの音も出なかった。
そして、青年の手から腕を振りほどき、ガンを飛ばしながらどこかに行ってしまった。
晏寿は青年にお礼を言わなくてはと声をかける。
「あの、ありがとうございました」
正面から青年の顔を見た晏寿だったが、その青年の顔がとても整っていることに驚いた。
けれどそれ以上に驚いたのは、青年の表情がとても冷たいことだった。
「ただでさえ、女ということで邪魔者扱いされるのだから、そのときの対処法くらい用意してはどうだ?」
「な!?」
表情も冷たいが、言葉も冷たい。
晏寿は驚いて言葉もなかった。
青年はそのまま、去っていった。
自分を守ってくれたことは感謝するが、そのあとの台詞が気に食わない。
むしゃくしゃしながら、試験をする部屋に入った。
自分の受験番号の席に行けば、隣の席の人が既に座っていた。
今日は人と話せばロクなことがない。
晏寿は黙って待つことにした。
「なあ、君」
隣の席の青年が声をかけてきた
また馬鹿にされるのかと思えば、相手にしたくないが、邪険にもできない。
「なんですか?」
「今年から女人も受けられるようになったからよかったな」
にこっと笑う。
晏寿は胡散臭さを感じつつも適当に頷いた。
青年は話すのをやめようとはしないで、言葉を更に続ける。
「そういえば、先程伯秀英と話してたよな」
「伯秀英?」
「なんだ?知らないで話してたのか?
彼は眉目秀麗・頭脳明晰で、官僚の父を持つ秀才。
だが性格が堅物だから、近寄る人もいないんだ」
べらべらとしゃべる様子を見て、晏寿は呆れかえっていた。
試験前に良くそんなに口が回るものだ。
「随分お詳しいんですね」
「俺の情報網をなめてもらっちゃあね。
君のことももちろん知っている。
柳晏寿ちゃん」
いきなり名前を呼ばれてびくっとなる。
文机の上に身元が分かる物を出していたのかと思って辺りを見渡せば、机には受験番号の書かれた紙が貼っているだけだった。
「ある意味君も有名なんだよ。
落ちぶれてしまった良家の娘。
器量良しで、見てくれも良し。
本来なら嫁に欲しいくらいだが、悪名高い糸家がもれなく付いてくる可能性がある。
だから皆なかなか手が出せなかった。
しかしそんな姫君がまさか官吏試験にくるなんてな。
兄の代わりか?」
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