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第1章 官吏試験編
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「貴兄には関係ない」
「つれないねぇ~。
それに俺は“貴兄”じゃなくて容景雲。
知ってるか?もし官吏試験に合格したらその家に資金援助があるって」
『資金援助』のことを知らなかった晏寿は思わず眉をひそめた。
「ん?俺の話を聞きたいか?
仕方ない。話してやろうじゃないか」
自分に興味を示したことが嬉しかったのか、景雲は嬉々として話しはじめた。
「官吏っていうのはこれからの国のため、王のために働く人材なわけだ。
それはそれは名誉なこと。
それに敬意を払ってその家に資金援助をするんだ。
あとは官吏に受かったとはいえ、ある程度の期間は研修の意味が強くて金にならないから、その間の繋ぎというわけだ」
その事実を知って、晏寿は俄然やる気が出てきた。
今まで家のために何かできないかと考え、どこかで無力を感じていた。
けれど、初めて家のため、母のため、兄のために役に立てる気がした。
すると景雲はふっと笑い、晏寿を見た。
「君の兄はそれを狙っていたりしてな」
「!」
兄のことを侮辱され、頭にかっと血が上る。
しかし、ここで冷静にならなければ景雲の思うツボだ。
晏寿は理性でなんとか押し込んだ。
「兄はそんな人じゃない。それに、貴兄には関係ない」
「そう」
そう言って景雲は含みのある笑みを浮かべて前へ向きかえった。
晏寿は正直精神を乱された感じではあったが、資金援助があるというのは朗報であり、頑張らなければと再び兜の緒を締めるきっかけとなった。
試験が始まり、晏寿は必死に筆を動かした。
わからないことはない。
けれど制限時間的に、間違えて書き直している暇はない。
そしてだいたい書きあげて、ふと横を見れば景雲が居眠りをしているではないか。
晏寿はなんて場違いな…と驚嘆したが、よくよく周りを見れば、問題がわからず諦めている者の姿も少なくなかった。
時間が過ぎ、終わりを知らせる鐘が鳴る。
晏寿は筆記試験が終わり、ほっとする。
しかし、今度は詩の朗詠の試験があるため完全には気は緩められなかった。
今度の朗詠の試験は試験官の前で
出題された詩を何も見ずに朗詠しなければならない。
しかも定型詩ではなく、自由詩を起用することが多いため覚えにくいものばかりなのだ。
晏寿の順番になり、緊張しながら試験官の前に立つ。
お題はやはり自由詩のものだった。
「それでは始め」
そう言われ、晏寿は大きく口を開けて詩を詠みあげていった。
その声は明朗で、まるで歌を聞いているように思えるような朗詠だった。
詩を詠み終わると晏寿は試験官に一礼し、部屋から退出する。
部屋を出て角を曲がるとそこには景雲が壁にもたれて立っていた。
「お疲れ様。出来は?」
「さぁ?貴兄は?」
「これから。大丈夫だとは思うけどな。
じゃあ、一週間後に」
景雲はふらっと歩きだして、消えていった。
一週間後というのは官吏試験の合格発表の日。
まるで、合格して当たり前という感じの言い方だった。
本当にどこから来る余裕なのだろうと晏寿は疑問に思いながら、帰路に着いた。
「つれないねぇ~。
それに俺は“貴兄”じゃなくて容景雲。
知ってるか?もし官吏試験に合格したらその家に資金援助があるって」
『資金援助』のことを知らなかった晏寿は思わず眉をひそめた。
「ん?俺の話を聞きたいか?
仕方ない。話してやろうじゃないか」
自分に興味を示したことが嬉しかったのか、景雲は嬉々として話しはじめた。
「官吏っていうのはこれからの国のため、王のために働く人材なわけだ。
それはそれは名誉なこと。
それに敬意を払ってその家に資金援助をするんだ。
あとは官吏に受かったとはいえ、ある程度の期間は研修の意味が強くて金にならないから、その間の繋ぎというわけだ」
その事実を知って、晏寿は俄然やる気が出てきた。
今まで家のために何かできないかと考え、どこかで無力を感じていた。
けれど、初めて家のため、母のため、兄のために役に立てる気がした。
すると景雲はふっと笑い、晏寿を見た。
「君の兄はそれを狙っていたりしてな」
「!」
兄のことを侮辱され、頭にかっと血が上る。
しかし、ここで冷静にならなければ景雲の思うツボだ。
晏寿は理性でなんとか押し込んだ。
「兄はそんな人じゃない。それに、貴兄には関係ない」
「そう」
そう言って景雲は含みのある笑みを浮かべて前へ向きかえった。
晏寿は正直精神を乱された感じではあったが、資金援助があるというのは朗報であり、頑張らなければと再び兜の緒を締めるきっかけとなった。
試験が始まり、晏寿は必死に筆を動かした。
わからないことはない。
けれど制限時間的に、間違えて書き直している暇はない。
そしてだいたい書きあげて、ふと横を見れば景雲が居眠りをしているではないか。
晏寿はなんて場違いな…と驚嘆したが、よくよく周りを見れば、問題がわからず諦めている者の姿も少なくなかった。
時間が過ぎ、終わりを知らせる鐘が鳴る。
晏寿は筆記試験が終わり、ほっとする。
しかし、今度は詩の朗詠の試験があるため完全には気は緩められなかった。
今度の朗詠の試験は試験官の前で
出題された詩を何も見ずに朗詠しなければならない。
しかも定型詩ではなく、自由詩を起用することが多いため覚えにくいものばかりなのだ。
晏寿の順番になり、緊張しながら試験官の前に立つ。
お題はやはり自由詩のものだった。
「それでは始め」
そう言われ、晏寿は大きく口を開けて詩を詠みあげていった。
その声は明朗で、まるで歌を聞いているように思えるような朗詠だった。
詩を詠み終わると晏寿は試験官に一礼し、部屋から退出する。
部屋を出て角を曲がるとそこには景雲が壁にもたれて立っていた。
「お疲れ様。出来は?」
「さぁ?貴兄は?」
「これから。大丈夫だとは思うけどな。
じゃあ、一週間後に」
景雲はふらっと歩きだして、消えていった。
一週間後というのは官吏試験の合格発表の日。
まるで、合格して当たり前という感じの言い方だった。
本当にどこから来る余裕なのだろうと晏寿は疑問に思いながら、帰路に着いた。
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