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第1章 官吏試験編
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仕事を始めてからひと月ほど経ったころだった。
「そういえば…、ここの大臣はどなたなんですか?」
配属された各部署ごとに大臣がいるはずなのだが、いつも仕事の説明や管理をしているのは大臣補佐だった。
ゆえに三人は大臣自身に会ったことがなかった。
いつものように雑務をこなし、少し空きが出来たときに晏寿がここの部署の役人に尋ねた。
「ここの大臣は李 儀円。
でも大臣はたまにしか来ないよ」
「誰よりも仕事嫌いだからな」
他の役人も会話に参加する。
「でも、誰よりも仕事ができるから大臣なんだけどな」
苦笑しながら役人達は教えてくれた。
一ヶ月経って変わったことといえば、この部署の役人限定だが、晏寿の頑張りを認めてくれて晏寿に優しくなった。
認めざるを得なかったのだ。
仕事は誰よりも丁寧だし、自分の仕事が片付けば、必ず誰かの仕事を手伝っている。
結果この部署で最も働いているのは晏寿だった。
誰よりも働いていながら、文句の一つも言わない。
そういうことろが評価されていた。
配属されたばかりのころは
『女は筆など持つ機会がないから、墨もいい具合には摺れないだろう』
と言われていたが最近では晏寿の摺った墨が使いやすいと、直々に頼む者もいる。
そして何より花があるということで、一部には癒し効果もあったのだった。
そんな話があった数日後。
晏寿が午前の日課となっている厠掃除を終えて雑務に切り替わろうとしているときだった。
部屋に戻ると今までと違う空気が流れている。
「…?」
晏寿は不信に思いながら、書類整理をしようとした。
すると。
「何故ここに女が出入りしてるんだ?」
聞いたことのない鋭い声がした。
久しぶりの部署での差別的な扱いに、晏寿は若干苛立たせながら声の方向を向いた。
そこには、華美な格好をして鋭い目で晏寿を睨んでいる男がいた。
男のあまりにも鋭いまなざしに晏寿は少しひるんでしまった。
が、言われっぱなしも釈然としないので、つかつかと男の前に対峙した。
「今回の官吏試験に次席合格し、こちらの部署に配属されました、柳 晏寿にございます。
以後お見知りおきを」
「…ああ、今年から女人も登用するんだっけか。
女も官吏になれるってなってすぐに受ける変わり者はいないと思ってたが…
いたな」
男の口の悪さに、晏寿は絶句してしまう。
返す言葉もなかった。
「杜補佐ー、今年の名簿はー?」
「こちらです」
「ん」
杜補佐というのは大臣補佐でこの部署では大臣の次に高位の人物である。
その補佐に対してこのような態度をとるということで、晏寿はもしや…とできればそうであってほしくないという思いが脳裏に巡る。
「主席が伯 秀英に、次席がこいつ…
その次が容 景雲…か。
伯家に容家、そして柳家って。
厄介な家ばっかり。
この部署呪われてんのか?」
自分の家が厄介者扱いされることは糸家のせいで度々あったが、秀英や景雲の家までもが厄介者扱いということに晏寿は今度は目を見開く。
この不躾な男が現れてからとにかく落ち着かない。
「まぁ、いいか。
今年の新入り集合ー」
名簿を杜補佐に返し、大きな声で残りの二人を呼ぶ。
秀英と景雲は、何事だという顔をしながらやってきた。
二人は晏寿の横に並ぶ。
「揃ったな。一先ず自己紹介」
呼ばれたかと思ったら、いきなり傲慢な男が命令してくるので二人も呆気にとられる。
きょとんとしている二人をしり目に晏寿が再度自己紹介する。
「今回の官吏試験に次席合格し、こちらの部署に配属されました、柳 晏寿です」
「そういえば…、ここの大臣はどなたなんですか?」
配属された各部署ごとに大臣がいるはずなのだが、いつも仕事の説明や管理をしているのは大臣補佐だった。
ゆえに三人は大臣自身に会ったことがなかった。
いつものように雑務をこなし、少し空きが出来たときに晏寿がここの部署の役人に尋ねた。
「ここの大臣は李 儀円。
でも大臣はたまにしか来ないよ」
「誰よりも仕事嫌いだからな」
他の役人も会話に参加する。
「でも、誰よりも仕事ができるから大臣なんだけどな」
苦笑しながら役人達は教えてくれた。
一ヶ月経って変わったことといえば、この部署の役人限定だが、晏寿の頑張りを認めてくれて晏寿に優しくなった。
認めざるを得なかったのだ。
仕事は誰よりも丁寧だし、自分の仕事が片付けば、必ず誰かの仕事を手伝っている。
結果この部署で最も働いているのは晏寿だった。
誰よりも働いていながら、文句の一つも言わない。
そういうことろが評価されていた。
配属されたばかりのころは
『女は筆など持つ機会がないから、墨もいい具合には摺れないだろう』
と言われていたが最近では晏寿の摺った墨が使いやすいと、直々に頼む者もいる。
そして何より花があるということで、一部には癒し効果もあったのだった。
そんな話があった数日後。
晏寿が午前の日課となっている厠掃除を終えて雑務に切り替わろうとしているときだった。
部屋に戻ると今までと違う空気が流れている。
「…?」
晏寿は不信に思いながら、書類整理をしようとした。
すると。
「何故ここに女が出入りしてるんだ?」
聞いたことのない鋭い声がした。
久しぶりの部署での差別的な扱いに、晏寿は若干苛立たせながら声の方向を向いた。
そこには、華美な格好をして鋭い目で晏寿を睨んでいる男がいた。
男のあまりにも鋭いまなざしに晏寿は少しひるんでしまった。
が、言われっぱなしも釈然としないので、つかつかと男の前に対峙した。
「今回の官吏試験に次席合格し、こちらの部署に配属されました、柳 晏寿にございます。
以後お見知りおきを」
「…ああ、今年から女人も登用するんだっけか。
女も官吏になれるってなってすぐに受ける変わり者はいないと思ってたが…
いたな」
男の口の悪さに、晏寿は絶句してしまう。
返す言葉もなかった。
「杜補佐ー、今年の名簿はー?」
「こちらです」
「ん」
杜補佐というのは大臣補佐でこの部署では大臣の次に高位の人物である。
その補佐に対してこのような態度をとるということで、晏寿はもしや…とできればそうであってほしくないという思いが脳裏に巡る。
「主席が伯 秀英に、次席がこいつ…
その次が容 景雲…か。
伯家に容家、そして柳家って。
厄介な家ばっかり。
この部署呪われてんのか?」
自分の家が厄介者扱いされることは糸家のせいで度々あったが、秀英や景雲の家までもが厄介者扱いということに晏寿は今度は目を見開く。
この不躾な男が現れてからとにかく落ち着かない。
「まぁ、いいか。
今年の新入り集合ー」
名簿を杜補佐に返し、大きな声で残りの二人を呼ぶ。
秀英と景雲は、何事だという顔をしながらやってきた。
二人は晏寿の横に並ぶ。
「揃ったな。一先ず自己紹介」
呼ばれたかと思ったら、いきなり傲慢な男が命令してくるので二人も呆気にとられる。
きょとんとしている二人をしり目に晏寿が再度自己紹介する。
「今回の官吏試験に次席合格し、こちらの部署に配属されました、柳 晏寿です」
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