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第2章 北楊村編

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「伯 秀英、柳 晏寿、容 景雲。
お前らに来週から担当してもらう仕事の話をするから、ちょっとこっち来い」

儀円からいきなり徴集がかかり、三人はすぐさまそちらに向かう。
大臣に呼ばれたから急いだということもあるが、何より、雑用から新しい仕事がもらえるということが急いた理由としては大きかった。

三人が揃うと儀円は前置きなしに話し始める。

「お前らを北楊村に配属する」

三人でではあるが一つの地区を与えられて、晏寿は驚愕する。
自分達だけでできるか不安になっていた。

「北楊村ですか?」

こういう時専ら黙っていることの多い秀英が珍しく発言しおや、という顔をして晏寿と景雲は秀英を見た。
儀円は秀英がそんなふうに言うことを予測していたようで、さして反応は見せなかった。

「お言葉ですが北楊村はこの近辺では一番の貧困地区で、ある意味隔離されているような場所」
「汚い連中とは関わりたくないってか?」
「違います。私達新人に任せられるような仕事なのかと」

秀英の淡々とした物言いに儀円は鼻で笑う。

「新人だろうが、古株だろうが関係ないな。
新人でも才能があれば乗り切れるだろうし、
古株だからといって、ただ時間だけが過ぎていった奴らもわんさかいる。
ここで仕事を続けたければ、村を盛り立ててこい」

言い方は冷たいが、自分達が試されているということを三人はひしひしと感じていた。
そして、なんとしてもやり遂げなければという使命感に燃えていた。



『無期限で村に住み込み。
そのまま定住してもいいぞ。
来週の頭から行って来い』

儀円からそう言われ、
今日の仕事はもういいから来週の準備をしろということで、晏寿達は自室に戻って荷造りを始めていた。

「無期限。住み込み。あわよくば定住って…
俺達はどこに送りこまれるんだよ」

景雲はぼやきも一緒に荷物に詰めていた。
ぼやきを聞きながら、晏寿と秀英も黙々と荷を詰める。

「そうだ、秀英。
北楊村について知ってるみたいだったけど、
どんなところなんだ?」

景雲の質問に晏寿も興味があり、秀英を見る。
秀英は作業を続けながら言った。

「ここの近辺で一番の貧困と言ったが…
恐らくこの国で最も貧しい村だ。
盗難や犯罪は当たり前。
病人、餓死者も少なくない。
そんなところだ」

秀英の言葉に晏寿と景雲は絶句する。
とんでもないことになってしまったことに気付いた瞬間だった。
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