柔よく剛を制す

薬袋 藍(ミナイ ラン)

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第2章 北楊村編

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そして恐る恐るという感じで丹良の仲間の男が口を開いた。

「それで、本当にうまくいくのか…?」
「さぁ」

晏寿が曖昧な答えを即答する。
するとすぐに男達は疑心の目を晏寿へ向けた。
でも晏寿はそれに臆することなかった。

「まだやってないのに、うまくいくなんて断言はできない。けど可能性がないわけじゃないんだから」
「それもそうだな。丹良、俺はやってみる価値はあると思うぞ」
「景雲…」

景雲にまで背を押され、結局折れたのは丹良達だった。




そのあと。
晏寿達と丹良とその仲間は村人達に謝ってまわり、これからは村の手伝いをすることを約束していった。
もちろん村の人々は信じてはいなかったが、毎日頭を下げて手伝っていればだんだんと馴染めていっているようだった。

また、秀英の家とも連絡がつき、丹良達は晴れて仕事を手にすることができたのだった。
男達が村で力仕事をずっとしていたので、だいぶ畑も耕され、壊れた家屋の修復も進んだ。

氾大臣のところの職務怠慢はすぐに問題視され、今までの仕事の手抜き具合も相まって氾大臣らは無期限の謹慎となった。

そして北楊村の晏寿達はというと、村で畑仕事を手伝い、三人のうち手の空いた者が子供達に勉強を教えるという毎日を送っていた。

その年の春に赴任した三人であったが、いつしか秋となっていた。
半年のうちに村人達とも関係を築け、天候に恵まれたので豊作となった。

その収穫高を見て、景雲がむぅ…と首を傾げた。

「どうした」

その場にいた秀英が異変に気付く。

「…いや、今年は良作に恵まれてこれだけの収穫になっただろう?
でも、ここの村の人数から考えても全体の三分の二もあれば十二分に食べていける。
だから、余った分で何か作れないかとな」
「例えば?」
「まずは米で酒が作れるな…と。
これから冬になればなかなか田畑で作れるものも限られる。その間暇する者もいるわけだから、冬の間の仕事として酒を作ってみてはどうかとな。
うまくいけば特産になるかもしれん」
「だが、酒を作るには一定の温度に保つ必要があるだろう。寒ければ作るのが難しい」
「そこなんだよなぁ…」

再び唸る景雲。そこに秀英まで加わって考え始めた。

「何してるの?」

二人がうんうん悩んでいるところにひょっこりと現れた晏寿。
今日は晏寿が勉強の指南役で、晏寿の横には数名の子供達がいた。

「晏寿か。豊作だから、何かこれらを使って作れないものかと考えていたところだ」
「何かを?そうねぇ…甘味は他の材料がなかなか手に入らないし、やっぱりお酒とかかしら?」
「俺達もそれを考えていたんだが、やはり温度管理が引っかかってな」
「確かにそうね…」

三人で難しい顔をしていると、晏寿と一緒に入ってきた子の一人が晏寿の服の裾を引っ張った。
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