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23. 受賞式
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最後のクラスの発表のあとは、授賞式に切り替わる。結果は、優勝が私たち1年B組、2位がロマンのいる3年B組、3位が3年A組だった。私たちは互いに抱き合って喜びを分かち合った。敗れた3年生の半分は悔しがっていた。
そして、毎年恒例のMVPが発表された。MVPは、何とクレアだった。1年生がMVPに輝くのは、学校の創立60年の歴史の中で初めてだと言う。クレアの名前が呼ばれた時、私は喜びのあまり叫びともつかない声を上げた。クレアは信じられないという顔をしていた。
舞台に登壇し、トロフィーを貰ったクレアはマイクに向かってスピーチを始めた。
『まず、こんな素晴らしい賞をいただけたことを心から光栄に思います。本当は、このトロフィーは、私がもらうべきものではないと思います。私を支えてくれた友人達、先生方、両親……みんなに贈られるべきものだと』
クレアと一瞬視線が合う。頑張れという意味を込めて笑顔を作ると、クレアも微笑んだ。
『私は幼いころから役者として世界を飛び回り、学校にもほとんど行けず、寂しい思いをしてきました。ですが今回、この劇を通じてたくさんの友人たちと心を通わせることができました。ともに泣き、笑い、劇を成功させるために一丸となって努力したことを、絶対に忘れません』
スピーチを終え、大きな拍手に見送られながら席に戻ってきたクレアは、私の手にトロフィーを持たせた。
「重いわね」
「でしょ? これをダンベル代わりにしたら、いい運動になりそう」
ジョークを飛ばした後で、クレアは返されたトロフィーを大切そうに手に持って微笑んだ。
「あなたがいなければ、私はこれをもらうことはできなかった。あなたが相手だから、私はリュカになり切れたのよ。本当にありがとう」
「それはこっちの台詞だわ。あなたにはいつもアドバイスをもらって、たくさん助けて貰った。なんてお礼を言っていいか……」
「お礼なんていらないわ、当たり前のことだもの」
その後、今回芝居以外で優れた功績を残した生徒に贈られる賞が発表された。楽曲賞はソニア、脚本賞はケイティ、監督賞はアレックス、作品賞は斬新なコメディ作品で全校生徒の緊張を緩和させた1年A組、美術賞はロマンたち3年B組。今後の活躍を期待する生徒に送られる特別賞は、何と私だった。スピーチでは緊張しすぎて何を喋ったかほとんど覚えていないが、家族やクラスメイトにひたすら何度もお礼を言っていた気がする。
本来であれば3年生が賞を総なめする状況に、1年生がほとんど成り代わるという前代未聞の下克上が起きた。これには会場中が驚きを隠せない様子だった。
そして、毎年恒例のMVPが発表された。MVPは、何とクレアだった。1年生がMVPに輝くのは、学校の創立60年の歴史の中で初めてだと言う。クレアの名前が呼ばれた時、私は喜びのあまり叫びともつかない声を上げた。クレアは信じられないという顔をしていた。
舞台に登壇し、トロフィーを貰ったクレアはマイクに向かってスピーチを始めた。
『まず、こんな素晴らしい賞をいただけたことを心から光栄に思います。本当は、このトロフィーは、私がもらうべきものではないと思います。私を支えてくれた友人達、先生方、両親……みんなに贈られるべきものだと』
クレアと一瞬視線が合う。頑張れという意味を込めて笑顔を作ると、クレアも微笑んだ。
『私は幼いころから役者として世界を飛び回り、学校にもほとんど行けず、寂しい思いをしてきました。ですが今回、この劇を通じてたくさんの友人たちと心を通わせることができました。ともに泣き、笑い、劇を成功させるために一丸となって努力したことを、絶対に忘れません』
スピーチを終え、大きな拍手に見送られながら席に戻ってきたクレアは、私の手にトロフィーを持たせた。
「重いわね」
「でしょ? これをダンベル代わりにしたら、いい運動になりそう」
ジョークを飛ばした後で、クレアは返されたトロフィーを大切そうに手に持って微笑んだ。
「あなたがいなければ、私はこれをもらうことはできなかった。あなたが相手だから、私はリュカになり切れたのよ。本当にありがとう」
「それはこっちの台詞だわ。あなたにはいつもアドバイスをもらって、たくさん助けて貰った。なんてお礼を言っていいか……」
「お礼なんていらないわ、当たり前のことだもの」
その後、今回芝居以外で優れた功績を残した生徒に贈られる賞が発表された。楽曲賞はソニア、脚本賞はケイティ、監督賞はアレックス、作品賞は斬新なコメディ作品で全校生徒の緊張を緩和させた1年A組、美術賞はロマンたち3年B組。今後の活躍を期待する生徒に送られる特別賞は、何と私だった。スピーチでは緊張しすぎて何を喋ったかほとんど覚えていないが、家族やクラスメイトにひたすら何度もお礼を言っていた気がする。
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