ネコハラ

たらこ飴

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手術へ②

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 猫たちの入ったキャリーを車に積み込む前に、酒井さんが猫部屋を見学したいと言ったので案内した。トレイラーハウスの外観と、内部の珍しい船の形状の箱の散りばめられたキャットウォークなどを見た酒井さんは感激していた。

「職人の技って感じだね~、ヤバい、素晴らしい!」

 写真を撮っている酒井さんに何か足りないものはないかと訊ねたら、う~ん、と唸りながらもう一度ぐるっと部屋を見渡し、「炬燵かな」と答えた。

「冬はエアコン使うっしょ? でも付けっぱだと電気代パネェから、炬燵があると便利なわけ。炬燵は一度温度を上げておいて切れば保温になって中で猫たちが暖まれるから、電気代の節約にもなるよ」

「なるほど、ありがとうございます」

 真琴さんに相談してよかった。暖房の電気代については内心危惧していた。

 それと私にはもう一つずっと気がかりなことがあった。今まで猫たちは、雨風や雪や夏の暑さにさらされながらも自由きままな暮らしを送っていた。猫ハウスに隔離するということは、彼らのこれまでの生活を一変させることになる。風邪をひいても病気や怪我の危険と隣合わせだったとしても、仲間や家族とのびのびと暮らし、民家の庭や野山を縦横無尽に駆け回っていたていた彼らの慣れ親しんだ生活を奪うことにはなるまいか。

 でも少なくとも彼らはこれから、近隣住民たちから浴びせられる悪口や暴言、石を投げられたり叩かれたり脅かされたりすることはなくなる。病気や怪我のリスクからも100%ではないにしろ逃れられるし、毎日彼らの様子をすぐ近くでチェックできるようになる。食べれているか、水は飲んでいるか、おしっこやうんちがちゃんと出ているか、毛並みはどうか、元気はあるかなどなど、猫たちが外にいるうちは見逃してしまいそうな諸々なことに気を配れるし、少しの変化に早く気づくことができるだろう。

 でも外の暮らしを忘れるくらい、この家で楽しく快適に過ごせたらいい。そしてたくさん愛情を注ぐことで、外では得られなかったようなたっぷりの幸せを感じてくれたらいい。
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