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番外編
番外編 10歳の彼ら
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※フランとサモンが小学部の頃の話
「──っ!」
授業中、横にいるサモンが僕を見て悔しそうに唇を噛んだ。
「……貴様、その技をどこで習った?」
「技って……誰にも習っていないよ」
「……」
すると、また彼は悔しそうな顔をする。
サモンは勉強、体術、魔法……とにかく何でも一位を取りたがる。レイティアスを名乗るなら何でもトップを取らなければならないのだろうか。
負けず嫌いな彼が、僕を見て屈辱に肩を震わせている。
まぁ、僕でも容姿以外に彼に勝るところはあるのだ。
────美術でね。
今回の授業内容は、ぺアの顔を描き合うこと。
前世、姉の漫画アシスタントをしていたから、完璧に描けて当然。サモンの顔は何度も描いたことがあったため、幼少期の顔だってそっくりと描けるのだ。
元々、絵を描く自体が好きな僕は、水彩画、油絵、なんなりと描ける。
同年代と比べられても困るのだ。ドヤ顔すら出来ないよ。
勝手に敗北を決め込んでいるサモンの手元にある用紙を覗き込む。
「ん~~?」
金色の髪の毛……の──誰?
やたらと大きい目は上下で位置が違うし、鼻は変なところにあって歪だ。おまけに口は真っ赤でお化けみたいだ。
それに、……なんか、全体的に黄色に塗りつぶされている。
……なんで、発光体みたいなことになっているんだろう?
こんなに黄色の人間はいない。
だけど、互いの顔を描く授業なのだから、──これは僕なのだろう。
ふむ、なるほど。
サモンから見ると、僕って化け物みたいに見えるのか。
一番初めに、“気持ち悪い”って言われたのも頷ける。これは確かに気持ち悪い。
まさか、人外に見えていたなんて驚きだ。
こんなバケモノならば彼が僕に惚れることはなく安心だけど、ここまで気持ち悪いと思われているのもちょっと複雑な気分だ。
……まぁ、僕の計画的にはオッケーなのだけど。
喜んでいいのか悪いのか無言でその絵を眺めていると、彼がぐちゃっとその用紙を握りつぶした。
「こんな風に描きたいわけじゃない」
「……」
「上手く描けなかっただけだ」
あれ? これは僕に負けて悔しがっているわけじゃなくて、うまく描けなくて悔しがっているのか。
手を伸ばすと僕の慰めなど不要だというようにキッと睨まれる。
「サモン君。……誰にだって不得意はあるよ。それに一番初めから上手くなんて描けっこないんだから落ち込まないで。まだ10歳なんだから」
「……ろ」
「え?」
「……してみろ」
呟くその言葉が上手く聞き取れなくて、「え? もう一度言って?」と聞き返した。すると、またギロリと睨まれる。
「貴様がそう言うのなら自画像を描いて手本を見せてみろ!」
「僕が?」
「そうだ」
きっと、お手本を見て真似したいってことなのだろう。何に大しても本当に勉強熱心なんだと感心する。
「なんだ、そんなこと。お安い御用だよ」
フランは最も描き慣れたキャラだ。
さらさら~~~~と鏡も見ず難なく描いて、出来上がったフランの絵をサモンに見せる。
「どうかな?」
「……」
すると、彼は僕の手から用紙を奪い取り、鞄に入れた。
「………………もらっておく」
「え? なんで?」
聞き返すと、彼の肩から黒の靄が浮かび上がる。
「もらっておく」
「ひぇえ、……あ、うん。ど、どうぞ?」
圧に押されて、どうぞと言うと、サモンは鞄を持って足早にその場を去っていった。
その絵はどうなっているのか、今も知らない。
「──っ!」
授業中、横にいるサモンが僕を見て悔しそうに唇を噛んだ。
「……貴様、その技をどこで習った?」
「技って……誰にも習っていないよ」
「……」
すると、また彼は悔しそうな顔をする。
サモンは勉強、体術、魔法……とにかく何でも一位を取りたがる。レイティアスを名乗るなら何でもトップを取らなければならないのだろうか。
負けず嫌いな彼が、僕を見て屈辱に肩を震わせている。
まぁ、僕でも容姿以外に彼に勝るところはあるのだ。
────美術でね。
今回の授業内容は、ぺアの顔を描き合うこと。
前世、姉の漫画アシスタントをしていたから、完璧に描けて当然。サモンの顔は何度も描いたことがあったため、幼少期の顔だってそっくりと描けるのだ。
元々、絵を描く自体が好きな僕は、水彩画、油絵、なんなりと描ける。
同年代と比べられても困るのだ。ドヤ顔すら出来ないよ。
勝手に敗北を決め込んでいるサモンの手元にある用紙を覗き込む。
「ん~~?」
金色の髪の毛……の──誰?
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それに、……なんか、全体的に黄色に塗りつぶされている。
……なんで、発光体みたいなことになっているんだろう?
こんなに黄色の人間はいない。
だけど、互いの顔を描く授業なのだから、──これは僕なのだろう。
ふむ、なるほど。
サモンから見ると、僕って化け物みたいに見えるのか。
一番初めに、“気持ち悪い”って言われたのも頷ける。これは確かに気持ち悪い。
まさか、人外に見えていたなんて驚きだ。
こんなバケモノならば彼が僕に惚れることはなく安心だけど、ここまで気持ち悪いと思われているのもちょっと複雑な気分だ。
……まぁ、僕の計画的にはオッケーなのだけど。
喜んでいいのか悪いのか無言でその絵を眺めていると、彼がぐちゃっとその用紙を握りつぶした。
「こんな風に描きたいわけじゃない」
「……」
「上手く描けなかっただけだ」
あれ? これは僕に負けて悔しがっているわけじゃなくて、うまく描けなくて悔しがっているのか。
手を伸ばすと僕の慰めなど不要だというようにキッと睨まれる。
「サモン君。……誰にだって不得意はあるよ。それに一番初めから上手くなんて描けっこないんだから落ち込まないで。まだ10歳なんだから」
「……ろ」
「え?」
「……してみろ」
呟くその言葉が上手く聞き取れなくて、「え? もう一度言って?」と聞き返した。すると、またギロリと睨まれる。
「貴様がそう言うのなら自画像を描いて手本を見せてみろ!」
「僕が?」
「そうだ」
きっと、お手本を見て真似したいってことなのだろう。何に大しても本当に勉強熱心なんだと感心する。
「なんだ、そんなこと。お安い御用だよ」
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さらさら~~~~と鏡も見ず難なく描いて、出来上がったフランの絵をサモンに見せる。
「どうかな?」
「……」
すると、彼は僕の手から用紙を奪い取り、鞄に入れた。
「………………もらっておく」
「え? なんで?」
聞き返すと、彼の肩から黒の靄が浮かび上がる。
「もらっておく」
「ひぇえ、……あ、うん。ど、どうぞ?」
圧に押されて、どうぞと言うと、サモンは鞄を持って足早にその場を去っていった。
その絵はどうなっているのか、今も知らない。
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