ラスボス推しなので! 魔王の破滅フラグ折って溺愛されます!??

モト

文字の大きさ
14 / 24

14

※レーベン視点です。



初めての番を持った。


こげ茶色の髪の毛と黒い瞳の人間の男。名前はホツ。


一目見た時から違和感を感じた。


初めてホツと出会った時、彼からは恐怖も嫌悪も感じられなかった。それどころか人間なのに魔獣が好きなようだ。興味本位で近づかれるのは不快だと傷つけ脅した。

だが、彼は私が言葉を理解している事を知っているように私に謝罪した。


彼を傷つけた事に罪悪感が湧き上がった。魔獣の私がだ。


痛いと叫んでいた彼を思い出し、何百年とこの塔から出なかったのに分身を出して、彼の部屋まで様子を見に行った。


昨日の今日なのに彼は怖がっていなかった。

彼の目に恐怖が映っていなくてよかったと柄にもなく思った。


「へへへ」


彼が笑った時、好ましく感じた。胸の中に嬉しさが広がる。

だが、同時に不思議であった。私にもこんな感情があるのかと。そんな感情をもたらす存在は貴重なので、他の者にとられないように私の印を刻んだ。


術印を施し彼の身体に私の魔力が刻まれた瞬間、魔力耐性のない彼は気を失った。


取られないように……? 全く私らしくない。


目を覚ました彼に、再度番にした事を伝える。どんな反応をするのやらと思っていると意表を突かれた。


「喜んでぇ!」

『……』


彼の意志など全く尊重しなかったのに。

ニコニコと私に笑う彼。そんな笑顔を私に向けていいのか?



大昔に、鳥族が番について「とても可愛い」と惚気ているのを聞いた事がある。

何をしていても可愛く見えるし、存在そのものが愛おしいらしい。傍にいないと軽い鬱のような症状になる。

それらを番病と言って、番を持つ生き物にかかりやすい病気の一つだ。



「ふわぁああ! レーベン様の毛並みふわふわぁ♡」

「レーベン様のクソイケメン! うぅ、かっこいい~!!」

「レーベン様の破滅フラグは俺が折る!」


ホツは表情も感情も豊かだ。それに、私に関しては特に表情が目まぐるしくクルクルと変わる。



ふむ。

これは可愛いだろう。

人間はどれも同じように感じる私から見ても、どこをとっても可愛らしい。むしろ、こんなに可愛い生き物が何の印もないままウロついていては危なかっただろう。


やはり、早めに彼に印を刻んだ私の判断は間違いではなかった。



私は、彼がこの世界の住人ではない事を知っている。ある日、突然この世界にホツの存在を感じた。別の世界から現れた存在だとすぐに分かった。

異世界に突然来たのだから、さぞかし淋しかろうと思ったが、彼は悲観的になることはなかった。

他の人間の中でも特別身体が頑丈でも強さがあるわけでもない。そして、決して楽観的でも考えの浅い人間でもない。


アドルフと言う男が、部屋前に訪ねてきた。ホツを元の世界に戻せるかもとホツの弱い所を突いた。そして、ホツを別の部屋へと連れて行ったことがあった。

大方、自分たちの利益の為、ホツに魔族退治を手伝わせたいのだろう。


その証拠にホツは次の日から魔族退治に明け暮れた。ホツもまた、他の人間と変わらないのだと呆れた。

何故かガッカリしている自分が嫌だった。私はホツに知らず何かを期待していたのかもしれない。

つまらん。と切り捨てて、再び塔に閉じこもればいいものを、私は城内のホツの部屋の隣の部屋にいた。



そこにホツがやってきた。

一週間ぶりに話すことへの嬉しさを感じる。

ホツは、私と共に城を出るつもりだと言った。だが、信じられなかった。


もしかして、彼は私だけを城外へ出すつもりではないか?


そんなことを私は望んでいないのに。



私は思った以上にホツの傍にいたいのだと気付いた。

手放すのなら、彼を自身の中に取り入れてしまおうか。

私はそういう生物だ。


「破滅フラグ折らないと!!」

だが、失敗した。

私の催眠を破られた。いや、私の迷いが術を不完全にした。

本当に元の世界より人間より私を優先するつもりなのだろうか。何故? そこまでホツは私を想ってはいないだろう。


「へへ。レーベン様」

そのへにゃりと笑った顔で私を見る。私に何かを求めるわけでもない。

だが、彼は出発を決めている。


また、不思議な感覚に襲われた。番にしたいと思った時のように、彼が欲しくなる。

何千年も生きてきたが、欲しいものなどなかったのに。


猫サイズになった私をひょいと抱き上げる。


優しい目をしている子だ。

ホツの内面には波があるが穏やかで、自分の中で折り合いをつける事が上手なのだ。












城を出て、ホツと二人で暮らし始めて2日目。派手な暮らしはしたくないというので、すぐに入居できる中古物件を購入して住み始めた。



「ん~……眠いぃ」

ベッドの上で眠っているのに、眠いという寝言を言っているホツ。面白い。

彼が入居時、ベッドを二つ購入したため、即刻その一つのベッドを燃やした。そのため、シングルベッドで二人眠っている。ダブルベッドは買い直して後日届く。

ホツは、「レーベン様は買い物好きですよね」と苦笑いした。私がSっけのある生物ならば、ホツの頬をつねっている所だ。


全く、彼は私の番だという事を分かっているのか?


その身体を抱く事を許される唯一の存在。

彼の身体を早急に開かせる事など簡単ではあるが、実のところ、ホツは、どこを舐めても美味しく一つ一つ味わいながら行為を進めるのも楽しい気がするのだ。


「……ん……」


ホツの穏やかな顔に吸い込まれるように唇を落とす。

流石、ホツだ。少し唇を落とすと舌を差し出せというように口を軽く開ける。

誘われるままに舌を挿入し、口腔内を堪能する。


「ん……はぁ……」


彼の吐息が甘い。耳に心地よいその甘い吐息をもっと聞きたくてキスが深まる。

唾液を絡ませ、彼の細い身体を緩やかに抱きしめる。

服越しに彼の股間がやんわりと勃ちあがってくるのが面白い。

先日少ししか触れなかった股間に手をかける。

陰茎は温かく手にしっとり馴染むようだ。


「ふ……ぅん」

まつ毛がフルフルと震えている。キスを止め、まつ毛に唇を落とす。瞼がピクピクと動いている。


「…………ん? きもち、い……なんで? ————って、レーベン様ぁ!? ひょわぁ!!」

「ホツは、朝から元気だね。目覚めで叫べる事は、肺が健康な証拠だ」

「な、な、な、なんで、チンコ掴んでるんですか! ひぅうう……う、う、うぅ」


軽く陰茎を擦っているだけなのに、感度がいいのかビクビクと身体が動く。

止めて、と言うが、ここで止めると辛いのはホツだと伝えると、真っ赤にして顔を腕で隠し抵抗を止めた。


シャツから見え隠れする番である印にキスをする。

「あっ!! うぅんっ!! そこ、ひぃうっ!!」

彼はそのまま射精した。紋章が感じるのか?

私の印で感じるなど、全くホツは面白い。


その精液を後孔に塗り付けると全力で首を横に振られた。


「無理無理無理っす! そこは無理っす!!」

「男同士はこちらで気持ちよくなるのだよ」

「知ってます! 腐男子だから、そういう知識は持ってます! しかし、自分が使うとなると話は別ですよ~!」

「私はもっとホツに触りたい。番に触りたいと思うのは本能だ」

本能だけだろうか? どうしてかずっとホツに触れたい。



無理ですよ。と小声で彼が言う。

彼の言葉で拒絶は正直不快だ。


「———……レーベン様と、エ、エッチしちゃったら、心臓壊れそうです」


トスン。と胸に衝撃が刺さった。

「…………?」

思わず、胸を擦ったが、どこにも外傷はない。


恥ずかしそうに目線を逸らした後、私の反応が気になったのか上目遣いでこちらを見てきた。


これは、わざとだろうか。

人間にはこういうテクニックがある。私も長く生きている。様々な個体にこういう色仕掛けをかけられた事がある。全く何も思わなくて何をやっているのだと呆れたものだ。


だが、ホツのテクニックには衝撃が走った。


「へぇ……、目線一つでこの私を落とす気なのかい?」

「ほへぇ??? 何の事です!?!?!? あぁあ!! そうだ!! お腹減りましたね!! 今から朝食の準備をしてきます!!」



ホツは急いでベッドから出ていってしまった。


全くホツは分かっていない。番とはもっと触れ合うべきものなのに。



「ご馳走さまです」

食べ終わると手を合わせる。彼の世界の文化だろうか。


立ち上がったホツが、外を散策しましょうと声をかけてきた。城以外の世界がまだ見慣れないようで色々見たい様子だ。


何もない丘まで行き、空を見上げながら、サラマンダーの一匹が上空を飛んだのを興奮して見ていた。


茂みにふよふよとスライムがいることに喜ぶ彼。この世界なら珍しくもなんともないモンスターを見て喜んでいる。


それを見て、ふと随分昔の事を思い出した。まだ、魔族と人間が対立する前の事だ。もう何年も思い出す事などなかったのに。



「レーベン様、小さな世界なら俺も作れますよ。世界を変えるなんてしんどいし、無理ですけどね」

「……」

虚を突かれた。


ホツは、いつも私の目を真っすぐ見つめる。

目を見ていられなくなったのは私の方だ。




感想 7

あなたにおすすめの小説

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

俺がイケメン皇子に溺愛されるまでの物語 ~ただし勘違い中~

空兎
BL
大国の第一皇子と結婚する予定だった姉ちゃんが失踪したせいで俺が身代わりに嫁ぐ羽目になった。ええええっ、俺自国でハーレム作るつもりだったのに何でこんな目に!?しかもなんかよくわからんが皇子にめっちゃ嫌われているんですけど!?このままだと自国の存続が危なそうなので仕方なしにチートスキル使いながらラザール帝国で自分の有用性アピールして人間関係を築いているんだけどその度に皇子が不機嫌になります。なにこれめんどい。

不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ
BL
 国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。  フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。  生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!

異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。 そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。 そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。 あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。 自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。 エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。 お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!? 無自覚両片思いのほっこりBL。 前半~当て馬女の出現 後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話 予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。 サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。 アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。 完結保証! このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。 ※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。

【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。

明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。 新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。 しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…? 冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。

執着騎士団長と、筋肉中毒の治癒師

マンスーン
BL
現代日本から異世界へ転生した治癒師のレオには、誰にも言えない秘密がある。 それは「定期的に極上の筋肉に触れて生命力を摂取しないと、魔力欠乏で死んでしまう」という特異体質であること! ​命をつなぐため、そして何より己のフェティシズムを満たすため、レオがターゲットに選んだのは「氷の騎士団長」と恐れられる英雄ガドリエル。 ​「あぁっ、すごい……硬いですガドリエル様ッ!(大胸筋が)」 「……っ、治療中にそんな熱っぽい声を出すなッ」 ​生きるために必死で揉みしだくレオを、ガドリエルは「これほど俺の身を案じてくれるとは」と都合よく勘違い 触られたいムッツリ攻め×触りたい変態受け