ラスボス推しなので! 魔王の破滅フラグ折って溺愛されます!??

モト

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俺の視界には、汗まみれのレーベンが泣きそうな程安心しているように見える。


<レーベン様……、俺が見えるのですか?>

すると、レーベンは残念そうに首を横に振った。

「残念だが、見えない。この私ですら。だが、近づけば声は聞こえる」


俺を見つける事が出来たのは、人間である時に胸に刻んだ魔法紋のおかげらしい。その魔法紋は魂にまで刻まれており、レーベンの魂と繋がっているらしい。

人間じゃなく透明の生き物なのに、その温かな手は変わらない。


このまま、消えていくだけだと思ったから最後にレーベン様に見つけてもらえて嬉しい。俺が俺だと気付いてくれてよかった。

愛おしい気持ちが込み上げてくる。

元気なら、彼の周りをくるくる飛び回りたい。


だけど、今まで無理した代償として魔力切れ以外にも内部が破れそうになっている気がする。

お別れかな……。

しんみりしていると、レーベンから怒気を感じる……え?


「しかし、どうして、こんなにボロボロなんだい? 魂が消えかかっていて紋章の効果も発揮しなかったじゃないか! 勝手に死にかけるとは許せない」

<……!?>


レーベン様は俺に見せた事のない怖い顔をみせた。

その怖いオーラに今の俺……それだけで消えちゃう……。


すると、レーベンの掌がパァッと光った。俺はその中でキラキラと輝く魔力を感じる。


<……レーベン様、魔力の無駄ですよ……、俺は……、……え?>

「許さない。君をもう二度と失わない」


その力強い言葉と感じた事のない力強い魔力。


有り得ないのに、破れそうな内部が修復されていく。かなり高度な回復魔法。

自分の状態が信じられない……!!


<レーベン……>


思い出した。彼の力は、何かを攻撃するようなものではなく、与えるモノだ。

温かな魔力が急速に流れ込んでくる。自分の身体が驚く速度で回復していくのを感じる。


キラキラと光る中、俺はレーベンを見上げた。真剣にこちらを見ていて、なんだか、目線が合っているような気がし、ドキドキする。


そのキレイな顔をマジマジ見ていると、違和感がある。

なんか、耳が尖っている。目は赤みを増しているし、八重歯が牙みたいに鋭くなっている。


あれ……? この姿———……!!

レーベン、魔王様になっちゃってる!?


<ひょへぇぇ!?!? レ、レーベン様、魔王に!? 闇落ち!? 何が起きたのです!? 魔族に酷い仕打ちをされたのですか!? 許せない!!>

「……」

<大丈夫ですか!? 俺が付いていない時に~!!>


ぷんぷん怒っている様子を見て、レーベンは魔法を解いた。

フッと表情を変え、再び優しい顔を向けてくれる。

————……闇落ちしたとは思えない。


「ホツ。やっぱり、君だ。ありがとう。ずっと傍にいてくれたんだね」

<…………え>


今……、レーベンは何て言った? ずっと傍に……? 透明の俺に気づいて?


そうして、レーベンは、ふぅっと俺に息を吹きかけた。

すると、身体の中がぐぅっと熱くなる。


「ホツの姿が見えないのは、淋しい。もう一度人間の姿におなり」

そうして、もう一度、……何度も息を吹きかけられ魔力を与えられる。


<レ、レーベン、さ、ま……、これ、まりょ……く、俺、こんなに、一度に吸い込めない>


なのに、レーベンはやめない。


「そんな事はない。君は自分で分かっていないだけ。本当の君は大きい。大きくなるイメージを持ちなさい」

言う通りにしろと圧をかけられる。


んっ―……、難しいけど、大きく、大きく……。

レーベン様の魔力が入るように……凄い、苦しい……生ぬるいお湯に溺れているみたいだ。


「もっと入る。溺れるんじゃなくて飲み込むんだ」


ひぃ、なんか、スパルタ!! 物凄い苦しいんだぞ!!

だけど、それでも、レーベンが次から魔力を送ってくるので、すぅすぅっと吸い始める。

すると、レーベンの魔力は今まで吸収してきたどんな魔力よりも美味しい事に気付く。

お腹いっぱいになり張り裂けそうなのに、もっと欲しくなり身体全体でも吸い始める。


——……俺、結構、魔力が合わなくて拒否反応起こすのに……。


「そう。上手。もっと、飲み込んで。それから、手と足が伸びていくイメージ」


上手上手と鞭から飴に切り替えられる。


甘い。上質の甘露のような味……。

苦しみに慣れてきて、今度は脳がジンジンするように熱くなる。心臓が痛く、下腹部が熱を持つ。手足がピンっと引きつるような感覚。


「ホツ、もっとだ」

レーベンの魔力にクラクラしてしまう。もっとと言われるけれど、酔った状態になり飲み込めなくなる。

もう無理だと思っていると、レーベンの口が覆いかぶさってきて、直接流し込まれる。


「ん……はぁ……、んんっ、んっ……ちゅ、ん……」

俺の舌にレーベンの舌が絡んでいるような気分になる。上顎を舌でなぞられるとゾクゾクと快楽が走る。薄目を開けるとレーベンが俺を見ている。

舌が咽頭付近まで入ってくる。苦しい……のに……。魔力が熱くて気持ちいい。


「んぐぅ……んんっふぅう……ん」

うっとりと、俺も彼の舌に舌を絡める。ぬちゅうっとした唾液の音がする。


「んあっ? はぁ、あ、あ、ん……?」

舌が離れてくっつく感触に違和感が……。

んん? 俺、舌?


動きを止めようとした時、レーベンが離さないとばかりに身体を抱きしめ深く口づけを求めてくる。

そのあまりの苦しさにレーベンの胸を押しか……えすって、手! 俺の手がある!!

か、身体を確認したいがレーベンに抱きしめられているし顔を固定されているので見ることが出来ない。


「ひぅうっん、———んはっ!! レーベンさ、ま!」


キスとの合間合間に離してほしくてレーベンを呼ぶ。だが、レーベンはそれを聞き入れず、俺の口を食べるかのようなキスをする。

「ん……ん、ん、んあぁ」


首を左右に振ると、ようやく唇が離れた。

あまりに甘いキスに酸欠になり、ハァハァとレーベンの胸にもたれて息を整わせる。

それでも満足しないのか、強く抱きしめたまま、頭にキスを落としてくる。


「……生還した番の喜びに浸らせてもくれないなど、君はケチだね」

「ん、ケチじゃないですって……、あー……、手も足も身体もある……」


俺の身体がある……。一番初めに人間になった時、何年もかかったのに……!!

もう一度この姿になれるなんて。


「ふわぁあ。凄いです。流石、レーベン様ぁ、嬉しいです……!」

手をぎゅぎゅっとニギニギして、ちゃんと動くことを確認する。


「……あぁ、本当に良かった。君の笑顔が見れた」


今度は魔力なく、レーベンがキスをしてくるので、受け止める。魔力がなくとも身体がジンジンするし、脳みそが溶けそう。

キスをしながらレーベンが俺の身体を確認するように身体をなぞる。その動きがくすぐったくて身動いだ。


「人間そのものだ。君は凄いな」

「ひゃっ」

胸から下腹部を掌が上下する。

「感じやすいね。神経も上手に繋がっている」


レーベンの冷静な台詞とは真逆の熱を持った手。

俺っ!! 裸だった!! ギャ~! チンコがちょっと勃起しちゃっている! 感度とかよく分からないけど、俺の器が人間になったら、この身体なんだから仕方ねぇじゃん。


いたたまれなくて股間を手で隠す。


「う、う。見ないで。だって、気持ちが良かったんです……」

「……」


赤面していると、レーベンが胸を押さえている。どうした?

「……君は、……いや、流石に上に光の玉を放っておいて、この先を進めるのは良くないな」

「光の玉?」


レーベンは上を指した。


空の上にはメラメラと輝く光の玉が。しかも先ほどより、大きくなっているではないか!!


「レレレ、レレレレレレ、レーベン様ぁあああ!? 光の玉がぁ!!」

「そうだね。今から30分くらいで魔界に落ちる予定だから」

「ぎょへへぇえぇぇぇぇ!!」


こんな事している場合じゃ、全然ないじゃん! なんで全然慌ててないの!? 


しかも、魔界に落ちる玉ってゲームのラスト、レーベンが死ぬストーリーだ!! レーベンが危ないじゃないか!

俺はぐいっとレーベンの服を引っ張り彼を見つめる。


「レーベン様の破滅フラグを折ります!! 例え、貴方が死にたがりのレーベンだとしても!」


「……」



俺は、立ち上がろうとした、だけど、足に力が入らない。そのままガクリと地面に倒れそうになるところをレーベンに支えられた。

裸のままの俺の身体にマントをくるりと巻いてくれ抱きかかえられた。


わーん。俺……、やっぱり言うだけ……。


「に、逃げてもらってもいいでしょうか~。出来るだけ遠く、シールドで守れるくらいの距離にぃ」


レーベンの手を引いて逃げたいのだが、今すぐ動かせるレベルの足腰ではじゃない。


「君と一緒に?」

「え……っと、はい。一緒に連れて行ってくれると凄く有難いです」


レーベンが俺を抱き上げたまま、歩き始めてくれる。ホッと一息つく。


「これから、勝手に消えては駄目だよ」

頷く前に、レーベンがもっと強力な番の紋章に変更すればいいか。と独り言をぼやいた。


もっと、強力って何? 

だけど、そんな横暴な言葉とは裏腹に、俺を抱きしめるレーベンの身体が震えているような気がする。顔も実はずっと真っ青だ……。


「…………」


この方は、長く一人で耐えてきたから感情の出し方が分からないのかな。諦めたり与えるばかりで誰かを頼ったりしたことないから……。



「あの、俺は、レーベン様の傍にいます。ずっとそうしてきたので、これからも変わりません。嫌だって言われても傍にいます」


レーベンの目がその瞬間、潤って、眼球がつるりとした。宝石のような赤い目。

なんて———なんて、キレイなんだろう。

見惚れていると、レーベンの吊り上がった眉が下がり、泣き出しそうな顔をした。


「——……絶対、傍にいます。レーベン様」


彼の頬に手を置き、もう一度言った。

すると、嬉しくて勝手に笑顔になった顔を見せた。泣き笑いな下手くそな笑顔。



そうか。

私の破滅フラグは、今、君が折ってくれた。


「……」

どういう意味だろうか。

まだ、俺たちの真上には光の玉が輝いているのに。











ゲームストーリーでは、最終ステージで人間達はラスボスステージである魔王城に上がってきて、レーベンと戦った。

レーベンに止めを刺そうとした時、地面から闇が浮き上がってきた。彼が封じてきた闇が溢れ出したのだ。


その時、敵だと思っていたレーベンが人間も魔族も守る為に光の玉を落としたのだ。


「これらの闇は私と共に消失させよう。お前たちは逃げろ」

そう言い、魔界の空に光の玉を作ったのだ。


人間達は、なぜ、敵である自分達を逃がすのかと聞いた。

レーベンは、人間の暮らしは楽しかった。嫌いではなかったと言った。そうして、明かされる一人の王とレーベンの過去。

そこで、人間は魔族が悪い存在ばかりでない事を知る。過ちを繰り返さない事を誓いながら生き残った魔族を助けながら魔界を去った。


振り返ると、レーベンは酷く空虚な目で「孤独に疲れた」と長く幽閉された事を一言呟いた。


感想 7

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