有限会社DIUD 物の怪退治をする会社でアルバイトをする事になりました!

川村直樹

文字の大きさ
62 / 86

海と磯女と座敷童 ①

しおりを挟む
 日本海が、目の前に広がる。澄み渡る青空の下、朝のビーチでは、早くも場所取りをする人で混み始めていた。隼人は長時間の運転で重くなった腰に手を当てながら、体を反らして自分自身に気合を入れる。
 学生にとって男女一緒に海へ行く事は、色々な期待に胸を躍らせる夏の一大イベントだ。今からが本番、アドレナリンが出ているのか隼人は、眠気や疲れをあまり感じない。それどころか海を見ていると、気持ちが高ぶる。
 隼人と彼の友人達は、桜と彼女の友人達をレンタカーに乗せ夜明け前に京都を出発し若狭湾を目指した。最初の運転を任されたのは、隼人だった。
 彼にとっての誤算は、道中みんな寝てしまった事。運転を交代してもらうタイミングを完全に失ってしまったのだ。寝ている人を無理に起こし運転させるのも怖かったので、途中で諦めた彼は運転に専念した。
 
 車の横では、桜と雨宮朱鷺と新藤歩美の三人が集まり声を弾ませ会話をしている。笑みをこぼしながら談笑する女性達も、このイベントを楽しんでいる。隼人の友人の林と小川は、これから始まる海水浴の準備のために荷物を車から降ろしていた。
「隼人、運転ご苦労様。結局、一人で運転させてしまったな」と、林は伸びをしながら首をグルグル回す隼人の肩を叩いた。
「思ったより時間かかったな。結構、きつかったよ」
「帰りは、無理するなよ。全員車の免許は持っているのだから」
「そうだな。帰りの運転は、林と小川君に任せるよ」
 話をする隼人と林の後ろから両肩にクーラーボックスを抱えた小川が、彼らに声を掛けた。
「重たい荷物は俺が持って行くから。場所は、海の家が近ければどこでも良いよな」
「ああ、お願いします」と、隼人と林は声を揃えた。
 ターミネーターのアーノルド・シュワルツェネッガーを思わせるサングラスをかけた小川は、白いTシャツからたくましく太い腕を出す。その姿に、ギョッとした二人は、吹きだす様に声を出して笑った。
「凄いな。流石、北海道の農家出身だよ」
「そう言う隼人だって、筋肉付いているよな」
「体が資本のアルバイトだから、鍛えられているよ」と、少し誇らしげに上腕二頭筋を林に見せた。
「はあ、細身に見えるのに胸も腹も引き締まっていて良いよな」、ため息をついた林は、情けない表情で自分の柔らかい腕と腹回りを見つめた。肌の露出が多くなるこの季節は、男女ともに後悔の季節でもある。
 男性達が、せっせと準備に取り掛かっていると、今から海の家の更衣室で着替えて来ると、少し離れた所から女性達が手を振った。

 大きなパラソルを二つ砂浜に差して準備は完了した。絶妙なタイミングで、水着に着替えた女性達がやって来る。
 桜は沖縄でお披露目してくれた水着を着ている。やはりピンク色と胸元のリボンが目立つ。彼女は、嬉しそうに隼人の隣にそそくさと座った。
 長い黒髪を後ろに結った雨宮は、控えめだが鮮やかなブルーのワンピースビキニ姿だ。真っ先に林の前に立ち、ハニカミながら水着姿をアピールする。
 くせ毛交じりのミディアムヘアー。前髪をヘアピンで留める新藤は、普段の地味な見た目に反して大胆な黒いビキニを着ている。思わず男性達は、大きな胸に釘付けになる。彼女は、着やせするタイプのようだ。
 女性陣の水着姿は、男性達の目の保養になる。隼人達は、目尻を下げ無意識に口元が緩んだ。
「お待たせ。色々と準備してくれて、有り難う」と、桜は隼人の方を見た。
「色々と有り難うございます」と、照れくさそうに新藤は皆の前でお辞儀した。
 女性に関心が有るのか無いのか、ただ単に無頓着なだけなのか、全員揃ったのを確認すると小川は浮き輪や水鉄砲を両手に持った。このシチュエーションは、彼の童心をくすぐるのだろう。
「せっかくだから、海に入って楽しもうぜ」、小川の提案に桜が目を輝かせた。
「俺と雨宮さんは、ここで荷物番をしているからみんな先に楽しんで来なよ」
「悪いな。じゃあ、お先に楽しませてもらうよ」と、隼人は小川の持つ水鉄砲を取り上げて海へと走って行った。
 桜と新藤が隼人の後を追いかけて行くと、取り残されそうになった小川は慌てて二人を追いかけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】全60話 完結しました。読者の皆様ありがとうございます! 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...