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初めての召喚 3
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「大丈夫ですか? 春馬さん」と、リリカが駆け寄って来る。
「ああ、大丈夫だ。それより、さっきの突風は何だ?」、取り返した財布をリリカに手渡しながら聞いた。
「あれは、私の魔法ですよ」
「えっ魔法、あれが?」
「私、半人前だから、風の魔法はさっきの突風ぐらいしか知らないの」
「知らない、どういう事?」
春馬の想像する魔法と、リリカの説明が合致しない。だから、その時の彼は、この世界の魔法が何なのか理解出来なかった。
リリカは、この世界の魔法を知らない春馬を怪訝そうな目で見る。
「魔法は、イメージしたことを具現化させる力なの。だから知らない事は、イメージできないから出せないの」
知ってて当たり前の様に話すリリカに、春馬はどうしても理解出来ない自分が悪いのかと思ってしまう。
知らないことは、具現化出来ない?
どういう事だ、経験なのか、知識なのか。
この世界の魔法とは、一体何だ?
納得しようにもリリカの説明だけでは、原理やら法則などが良く分からない。
もしかしたら彼女が魔法を使う所をじっくり見れば、何か分かるかもしれない。
最初から全てを把握するのは無理だと感じた春馬は、後でゆっくりリリカから話を聞けば良いかと思った。
とりあえず、男から奪い返した財布を女性に返しに行く事にした。
スリとの騒動の後、リリカと春馬は話しながら町の中心部へ移動する。
「ばあさんから詳しい事は、何にも聞いていないから教えてくれるか?」
「はい。知っている事なら教えて上げますよ」
噴水を囲む様に置かれたベンチを見つけた二人は、空いていた場所に並んで座った。そこは、休憩や待ち合わせ場所として利用する人で賑わっていた。
「いつ、元の世界に帰れる?」と、春馬は不安そうな表情で尋ねた。
「元の世界に戻るのは、春馬さん次第です」
「俺次第とは、どう言う事だ?」、想定外の返答に戸惑ってしまう。
「私がネックレスに魔力を込め、来て欲しいと願った様に、春馬さんも自分の世界に戻りたいと、ブレスレットに力と思いを込めれば、きっと戻れますよ」
「そんな簡単な方法で、本当に戻れるのか?」
リリカは、まじまじと春馬を見た、「今日は、思いがけず春馬さんを呼んでしまったけど」と、服の中からペンダントトップを取り出して見つめた。
「そんな簡単に戻れるのか・・・」
「はい、本当です。戻りたいときに戻れますよ」
「呼び出すのは君の意思で、戻るのは俺の意思か?」、半信半疑だが試せば直ぐに分かることだ。
「私のネックレスと春馬さんの身に着けているブレスレットが、私の世界と春馬さんの世界を繋げているのです。そう聞いています」
リリカの話を聞きながら春馬は、ばあさんから無理矢理に渡された右腕のブレスレットを見た。
何の説明も無く、ただ肌身離さず付けておけとだけ命じられていた。
ブレスレットの中心には、小さな黒い石がはめ込まれている。
檳樃子黒《びんろうじぐろ》、黒色なのに下染めされたような紅色を感じる。
不思議な輝きを放つのだから、多分普通の石じゃないな。
「じゃあ、君が呼べばいつでも俺は、この世界に召喚されるのか」
「そうです。嫌ですか?」
「嫌じゃないけど、突然ここに来たからな。まあ、大学生だから自由な時間も多いし。問題無いか」
「大学生?」と、リリカは初めて聞く言葉に反応した。
「そうだ、学生だよ。勉強をするために学校へ通っている。俺の話はいいから、君は一人か? ここで暮らしているのか?」
春馬の質問にリリカは、ためらいながら頷いた。
「おばあちゃんが亡くなって、両親は幼い頃から居ないから一人です」
本当に彼は、パートナーとして私を助けてくれるのだろうか。
リリカは、不安な気持ちに襲われた。そんな彼女に対して春馬は、どうしたものかとこめかみを指で押さえている。
「そうか、じゃあ、これから俺は、君の為に何をしたら良いんだ?」
「一人前の魔法士になるため、アバルディーンに行きたいの。だから旅をする私を助けて欲しいの。おばあちゃんが亡くなる前に、トミさんから、お孫さんが私のパートナーになって助けてくれると聞いていたから」、リリカは胸の前で両手を合わせ必死に訴える。
「トミさん? ばあさん、富子なのにこっちではトミと名乗っていたのか」、思わず春馬は声を出して笑いそうになった。
「君が目的地に着くまで、どれだけの時間が掛かるのか知らないけど、危険な目に合わない様に君を助けてあげるよ」
「じゃあ、これからも呼んで良いのですか?」
「ああ、良いよ。これからよろしくな」
リリカは、嬉しそうに春馬が差し出した手を取った。
「ありがとう、これからよろしくお願いします。あとね、おばあちゃんに聞いたんですが、私が強くなると、春馬さんも強くなると言っていました。どうしてだか分からないけど」
春馬は、この世界に呼ばれてから身のこなしが早くなっていたように感じていた。気のせいかと思っていたが、そうでは無いようだ。
ベンチの前で腕の力を抜いた彼は、軽くジャンプすると、簡単に1メートルの高さまで飛べた。
「強くなるか? 軽く飛んでこれだから、本気で動くと凄い事になりそうだな」
今すぐ、確かめたかったが、はやる気持ちを抑えた。
こんな人の目が多い町中で身体能力を試したら、下手に目立ってしまう。そうなるとリリカに迷惑をかけてしまうかも知れないと思った。
焦らなくても次の機会に自分自身の身体能力が、どれほど上がっているのか試せば良いか。
リリカから、もう少し魔法の事やこの世界の事を聞きたかった。しかし、前触れも無く突然この世界に呼ばれた春馬にとって、今は本当に自分の世界に帰れるのかどうかを確かめるのが最優先だ。
夕暮れ時を頃合いに、春馬は自分の世界へ戻ろうと決めた。
「そろそろ帰るよ、じゃあな。気を付けて旅をしろよ」
春馬は、リリカに言われた通り右腕のブレスレットに意識を集中させた。
さあ、自分の世界に帰るぞ。
目をつぶって集中する春馬の足元に、光で魔法陣が描かれた。
足元から上に向かって光は上昇する。
全身が光に包まれると、今度は足元から光が消えて行った。
光が無くなると、そこに春馬の姿は無かった。
彼は、無事、自分の世界へ帰ったのだった。
「ああ、大丈夫だ。それより、さっきの突風は何だ?」、取り返した財布をリリカに手渡しながら聞いた。
「あれは、私の魔法ですよ」
「えっ魔法、あれが?」
「私、半人前だから、風の魔法はさっきの突風ぐらいしか知らないの」
「知らない、どういう事?」
春馬の想像する魔法と、リリカの説明が合致しない。だから、その時の彼は、この世界の魔法が何なのか理解出来なかった。
リリカは、この世界の魔法を知らない春馬を怪訝そうな目で見る。
「魔法は、イメージしたことを具現化させる力なの。だから知らない事は、イメージできないから出せないの」
知ってて当たり前の様に話すリリカに、春馬はどうしても理解出来ない自分が悪いのかと思ってしまう。
知らないことは、具現化出来ない?
どういう事だ、経験なのか、知識なのか。
この世界の魔法とは、一体何だ?
納得しようにもリリカの説明だけでは、原理やら法則などが良く分からない。
もしかしたら彼女が魔法を使う所をじっくり見れば、何か分かるかもしれない。
最初から全てを把握するのは無理だと感じた春馬は、後でゆっくりリリカから話を聞けば良いかと思った。
とりあえず、男から奪い返した財布を女性に返しに行く事にした。
スリとの騒動の後、リリカと春馬は話しながら町の中心部へ移動する。
「ばあさんから詳しい事は、何にも聞いていないから教えてくれるか?」
「はい。知っている事なら教えて上げますよ」
噴水を囲む様に置かれたベンチを見つけた二人は、空いていた場所に並んで座った。そこは、休憩や待ち合わせ場所として利用する人で賑わっていた。
「いつ、元の世界に帰れる?」と、春馬は不安そうな表情で尋ねた。
「元の世界に戻るのは、春馬さん次第です」
「俺次第とは、どう言う事だ?」、想定外の返答に戸惑ってしまう。
「私がネックレスに魔力を込め、来て欲しいと願った様に、春馬さんも自分の世界に戻りたいと、ブレスレットに力と思いを込めれば、きっと戻れますよ」
「そんな簡単な方法で、本当に戻れるのか?」
リリカは、まじまじと春馬を見た、「今日は、思いがけず春馬さんを呼んでしまったけど」と、服の中からペンダントトップを取り出して見つめた。
「そんな簡単に戻れるのか・・・」
「はい、本当です。戻りたいときに戻れますよ」
「呼び出すのは君の意思で、戻るのは俺の意思か?」、半信半疑だが試せば直ぐに分かることだ。
「私のネックレスと春馬さんの身に着けているブレスレットが、私の世界と春馬さんの世界を繋げているのです。そう聞いています」
リリカの話を聞きながら春馬は、ばあさんから無理矢理に渡された右腕のブレスレットを見た。
何の説明も無く、ただ肌身離さず付けておけとだけ命じられていた。
ブレスレットの中心には、小さな黒い石がはめ込まれている。
檳樃子黒《びんろうじぐろ》、黒色なのに下染めされたような紅色を感じる。
不思議な輝きを放つのだから、多分普通の石じゃないな。
「じゃあ、君が呼べばいつでも俺は、この世界に召喚されるのか」
「そうです。嫌ですか?」
「嫌じゃないけど、突然ここに来たからな。まあ、大学生だから自由な時間も多いし。問題無いか」
「大学生?」と、リリカは初めて聞く言葉に反応した。
「そうだ、学生だよ。勉強をするために学校へ通っている。俺の話はいいから、君は一人か? ここで暮らしているのか?」
春馬の質問にリリカは、ためらいながら頷いた。
「おばあちゃんが亡くなって、両親は幼い頃から居ないから一人です」
本当に彼は、パートナーとして私を助けてくれるのだろうか。
リリカは、不安な気持ちに襲われた。そんな彼女に対して春馬は、どうしたものかとこめかみを指で押さえている。
「そうか、じゃあ、これから俺は、君の為に何をしたら良いんだ?」
「一人前の魔法士になるため、アバルディーンに行きたいの。だから旅をする私を助けて欲しいの。おばあちゃんが亡くなる前に、トミさんから、お孫さんが私のパートナーになって助けてくれると聞いていたから」、リリカは胸の前で両手を合わせ必死に訴える。
「トミさん? ばあさん、富子なのにこっちではトミと名乗っていたのか」、思わず春馬は声を出して笑いそうになった。
「君が目的地に着くまで、どれだけの時間が掛かるのか知らないけど、危険な目に合わない様に君を助けてあげるよ」
「じゃあ、これからも呼んで良いのですか?」
「ああ、良いよ。これからよろしくな」
リリカは、嬉しそうに春馬が差し出した手を取った。
「ありがとう、これからよろしくお願いします。あとね、おばあちゃんに聞いたんですが、私が強くなると、春馬さんも強くなると言っていました。どうしてだか分からないけど」
春馬は、この世界に呼ばれてから身のこなしが早くなっていたように感じていた。気のせいかと思っていたが、そうでは無いようだ。
ベンチの前で腕の力を抜いた彼は、軽くジャンプすると、簡単に1メートルの高さまで飛べた。
「強くなるか? 軽く飛んでこれだから、本気で動くと凄い事になりそうだな」
今すぐ、確かめたかったが、はやる気持ちを抑えた。
こんな人の目が多い町中で身体能力を試したら、下手に目立ってしまう。そうなるとリリカに迷惑をかけてしまうかも知れないと思った。
焦らなくても次の機会に自分自身の身体能力が、どれほど上がっているのか試せば良いか。
リリカから、もう少し魔法の事やこの世界の事を聞きたかった。しかし、前触れも無く突然この世界に呼ばれた春馬にとって、今は本当に自分の世界に帰れるのかどうかを確かめるのが最優先だ。
夕暮れ時を頃合いに、春馬は自分の世界へ戻ろうと決めた。
「そろそろ帰るよ、じゃあな。気を付けて旅をしろよ」
春馬は、リリカに言われた通り右腕のブレスレットに意識を集中させた。
さあ、自分の世界に帰るぞ。
目をつぶって集中する春馬の足元に、光で魔法陣が描かれた。
足元から上に向かって光は上昇する。
全身が光に包まれると、今度は足元から光が消えて行った。
光が無くなると、そこに春馬の姿は無かった。
彼は、無事、自分の世界へ帰ったのだった。
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