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それぞれアテナイを出発し、目的地へと旅だった。
エメリンとヴェルガはマラガへ、ゲイルとセリナはドマンへと。
友人として困った時は、お互いに助け合う約束をして別れた。
アバルディーンへ向かう定期便があると聞いたので、春馬はリリカと一緒に馬車乗り場に向かった。
馬車を待っていると、エリーがリリカの見送りをしようと待っていた。
「リリカ! 待って」
「あっ、エリー。街に来てたの?」
「そうよ、リリカのお見送りに来たの。アバルディーンに行っても時々で良いから、アテナイに遊びに来てね。私もアバルディーンに行く時には、必ずリリカの所を尋ねるから」
「もちろんよ、エリー。アバルディーンで師が見つかったらお手紙を書くから、元気でいてね」
「うん、待ってるから。私もお手紙書くからね」
女の子同士のやり取りを見る春馬は、どんな風に自分は周りから見られているのだろうかと考えた。まあ、仲の良い兄妹と妹の友達に見えているのかな。
「エリー、リリカの見送りありがとうな」
春馬の方をチラ見したエリーは、恥ずかしそうに下を向いた。
「はい、春馬さんもお気をつけて」
エリーは、春馬を意識していた。
兵隊に囲まれた自分を助けてくれた男性に、恋心を抱き始めていたのだ。しかも、彼女はリリカと春馬は兄妹だと勘違いしていた。
アバルディーンまでは、本当に馬車ですぐの距離だった。
城門をくぐり抜けた馬車は、街の中心部にある停車場で止まった。
馬車から降りると、魔法と科学が混在するこの国独特の雰囲気にリリカも春馬も感心させられていた。
町工場の煙突から上がる白い煙と窓から見える蒸気で動く機械。ここは魔法だけでなく、何やら近代文明的な匂いを感じさせる国だ。
ここなら、様々な知識が得られるだろう。もう帰る場所の無いリリカには、きっとここが新しい故郷になるはずだ。
晴れて目的地に到着したリリカは、大きく深呼吸をした。
目を輝かせる彼女は、希望に満ち溢れる。これから直ぐに師となる魔法士を探すための活動を始めよう、その為に必要な情報を集めようと考えていた。
新しく始まる生活やこれから出会う人々、そして、まだ見ぬ師を思い描くと胸の鼓動が高鳴った。不安より期待の方が、大きくなっていく。
「ねえ、春馬。私、今日で16歳になったの。誕生日と同じ日にアバルディーンに到着出来て、とっても嬉しい!」
リリカ自身の話をあまり聞いていなかった春馬は、今日がリリカの誕生日など知りもしなかった。もっとお互いの身の上話をしておけば良かったと、後悔したが今となってはもう遅かった。
「ごめん、誕生日だったんだ。16歳、おめでとう」
「ありがとう、もう大人でしょ。だから、私一人で頑張ってみたいの」
「それは、俺を呼ばないと言う事か?」
「呼ぶよ、ただし本当に困った時にだけ。魔法士になるのは、私自身の夢だから、一人前になるまで春馬に頼りすぎるのは、駄目だと思うの」
「リリカが一人前になるためには、自分自身で考えて、悩んで、決断する。それに経験も必要になるな」
「そうですよ。私、頑張ります。だから、楽しみにしていてください」
春馬の手を両手で握りしめるリリカの瞳を見つめると、彼女の強い思いが伝わってくる。
「楽しみにしているよ。でも、本当に困った時や危ないときは、必ず俺を呼ぶようにな」
「もちろんです!」
「俺の事は、良いから。行ってこい」
「はい、行ってきます」と、リリカは元気な声で答えた。
新たな目標のためにリリカは、街の中へと走り出して行く。
一人前の魔法士になるまで、果たしてどれくらいの年数が掛かるのか分からないが、今の彼女にそんな事は気にならない。
将来を夢見るリリカに対して、なぜ大学で学んでいるのか、何を目指しているのか、まだぼんやりとして何も定まらない春馬は、少しは彼女を見習おうと思いながら見送っていたのに。
そそっかしいリリカは、石畳の目地に躓き豪快に転んだ。
これは先が思いやられると、春馬は笑い出してしまう。
不意に振り返ったリリカは、照れくさそうに戻って来た。
「何してんだか、忘れものでもしたのか?」
「そうね、忘れものと言えば、当たってるかも」
「はあー、もの凄い転び方をしたけど、怪我してないよな」
「えへへ、うん、大丈夫。それより、届かないよね」と、リリカは腕を伸ばして春馬と自分の背丈を比べる。
「本当に何がしたいんだか」と、春馬は自分の頭を掻いた。
「やっぱり、届かないね。ねえ、ちょっと屈んでよ」
春馬は言われるがままに、膝を曲げ前かがみの姿勢をとった。
「はい、はい。これで良いのか」
「よし! これで、忘れものは無くなったわ」
両手を春馬の頬に当てると、そのままリリカは顔を近づける。
まさかと思った瞬間、春馬の唇にリリカの柔らかい唇が重なり合った。
キスをしている間、二人は時間が止まったように長く感じた。
「お、お前、こんな事をする為に・・・」
「ふふふ、大好きよ! 出来るだけ早く呼ぶから、待っててね」
素直に自分の気持ちを伝えたリリカの顔は、赤く染まっていた。
そんな彼女の姿に照れる春馬は、今まで否定していた彼女への思いを認めた。パートナーだから助けていたのでは無くて、好きになったから助けたかったのだと。
「ああ、もちろん。待っててやるから、早く一人前になれよ」
「絶対! 絶対だよ、約束したからね」
初めて出会った頃は、妹の様な存在だった。それが、時間が経つにつれて春馬の中で彼女は、特別な女性へと変化していった。
今は、リリカを一人の女性として認めている。春馬にとってリリカは、もう妹的な存在では無いのだ。
再び二人で旅をする時は、恋愛というスパイスが加わり、刺激的な冒険になるのだろうが・・・。
リリカが一人前になるまで、暫くお預けだ。
エメリンとヴェルガはマラガへ、ゲイルとセリナはドマンへと。
友人として困った時は、お互いに助け合う約束をして別れた。
アバルディーンへ向かう定期便があると聞いたので、春馬はリリカと一緒に馬車乗り場に向かった。
馬車を待っていると、エリーがリリカの見送りをしようと待っていた。
「リリカ! 待って」
「あっ、エリー。街に来てたの?」
「そうよ、リリカのお見送りに来たの。アバルディーンに行っても時々で良いから、アテナイに遊びに来てね。私もアバルディーンに行く時には、必ずリリカの所を尋ねるから」
「もちろんよ、エリー。アバルディーンで師が見つかったらお手紙を書くから、元気でいてね」
「うん、待ってるから。私もお手紙書くからね」
女の子同士のやり取りを見る春馬は、どんな風に自分は周りから見られているのだろうかと考えた。まあ、仲の良い兄妹と妹の友達に見えているのかな。
「エリー、リリカの見送りありがとうな」
春馬の方をチラ見したエリーは、恥ずかしそうに下を向いた。
「はい、春馬さんもお気をつけて」
エリーは、春馬を意識していた。
兵隊に囲まれた自分を助けてくれた男性に、恋心を抱き始めていたのだ。しかも、彼女はリリカと春馬は兄妹だと勘違いしていた。
アバルディーンまでは、本当に馬車ですぐの距離だった。
城門をくぐり抜けた馬車は、街の中心部にある停車場で止まった。
馬車から降りると、魔法と科学が混在するこの国独特の雰囲気にリリカも春馬も感心させられていた。
町工場の煙突から上がる白い煙と窓から見える蒸気で動く機械。ここは魔法だけでなく、何やら近代文明的な匂いを感じさせる国だ。
ここなら、様々な知識が得られるだろう。もう帰る場所の無いリリカには、きっとここが新しい故郷になるはずだ。
晴れて目的地に到着したリリカは、大きく深呼吸をした。
目を輝かせる彼女は、希望に満ち溢れる。これから直ぐに師となる魔法士を探すための活動を始めよう、その為に必要な情報を集めようと考えていた。
新しく始まる生活やこれから出会う人々、そして、まだ見ぬ師を思い描くと胸の鼓動が高鳴った。不安より期待の方が、大きくなっていく。
「ねえ、春馬。私、今日で16歳になったの。誕生日と同じ日にアバルディーンに到着出来て、とっても嬉しい!」
リリカ自身の話をあまり聞いていなかった春馬は、今日がリリカの誕生日など知りもしなかった。もっとお互いの身の上話をしておけば良かったと、後悔したが今となってはもう遅かった。
「ごめん、誕生日だったんだ。16歳、おめでとう」
「ありがとう、もう大人でしょ。だから、私一人で頑張ってみたいの」
「それは、俺を呼ばないと言う事か?」
「呼ぶよ、ただし本当に困った時にだけ。魔法士になるのは、私自身の夢だから、一人前になるまで春馬に頼りすぎるのは、駄目だと思うの」
「リリカが一人前になるためには、自分自身で考えて、悩んで、決断する。それに経験も必要になるな」
「そうですよ。私、頑張ります。だから、楽しみにしていてください」
春馬の手を両手で握りしめるリリカの瞳を見つめると、彼女の強い思いが伝わってくる。
「楽しみにしているよ。でも、本当に困った時や危ないときは、必ず俺を呼ぶようにな」
「もちろんです!」
「俺の事は、良いから。行ってこい」
「はい、行ってきます」と、リリカは元気な声で答えた。
新たな目標のためにリリカは、街の中へと走り出して行く。
一人前の魔法士になるまで、果たしてどれくらいの年数が掛かるのか分からないが、今の彼女にそんな事は気にならない。
将来を夢見るリリカに対して、なぜ大学で学んでいるのか、何を目指しているのか、まだぼんやりとして何も定まらない春馬は、少しは彼女を見習おうと思いながら見送っていたのに。
そそっかしいリリカは、石畳の目地に躓き豪快に転んだ。
これは先が思いやられると、春馬は笑い出してしまう。
不意に振り返ったリリカは、照れくさそうに戻って来た。
「何してんだか、忘れものでもしたのか?」
「そうね、忘れものと言えば、当たってるかも」
「はあー、もの凄い転び方をしたけど、怪我してないよな」
「えへへ、うん、大丈夫。それより、届かないよね」と、リリカは腕を伸ばして春馬と自分の背丈を比べる。
「本当に何がしたいんだか」と、春馬は自分の頭を掻いた。
「やっぱり、届かないね。ねえ、ちょっと屈んでよ」
春馬は言われるがままに、膝を曲げ前かがみの姿勢をとった。
「はい、はい。これで良いのか」
「よし! これで、忘れものは無くなったわ」
両手を春馬の頬に当てると、そのままリリカは顔を近づける。
まさかと思った瞬間、春馬の唇にリリカの柔らかい唇が重なり合った。
キスをしている間、二人は時間が止まったように長く感じた。
「お、お前、こんな事をする為に・・・」
「ふふふ、大好きよ! 出来るだけ早く呼ぶから、待っててね」
素直に自分の気持ちを伝えたリリカの顔は、赤く染まっていた。
そんな彼女の姿に照れる春馬は、今まで否定していた彼女への思いを認めた。パートナーだから助けていたのでは無くて、好きになったから助けたかったのだと。
「ああ、もちろん。待っててやるから、早く一人前になれよ」
「絶対! 絶対だよ、約束したからね」
初めて出会った頃は、妹の様な存在だった。それが、時間が経つにつれて春馬の中で彼女は、特別な女性へと変化していった。
今は、リリカを一人の女性として認めている。春馬にとってリリカは、もう妹的な存在では無いのだ。
再び二人で旅をする時は、恋愛というスパイスが加わり、刺激的な冒険になるのだろうが・・・。
リリカが一人前になるまで、暫くお預けだ。
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