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アルフェリア 7
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「クリスさん。お仕事、お疲れ様でした」と、受付嬢のリリは満面の笑みを見せてくれた。
「おっと、報酬を受け取ったらどいてくれよ」
ワイルドボアを肩に抱えたランドが、横から声を掛けて来た。どうやら害獣駆除に行っていたらしい。
「おっさん、邪魔するなよ。それに、獣を抱えて帰って来るか。意味不明だな」
「ガハハハッ、駆除した獣を持って帰って来たんだぞ。うまい肉は食えるし、報酬は貰えるし、嬉しい気持ちを表現して何が悪い」
「喜んでいるのは、おっさんだけだよ。後ろの仲間は、恥ずかしそうにしているぞ」と、クリスは見返りランドの仲間を見た。彼の話す通り、ランドの仲間はギルド会館の隅で恥ずかしそうに集まっていた。
「恥ずかしいものか、仕事には誇りを持たないと」と、ランドはカウンターにワイルドボアをドスンと置いた。
「ちょっと。まだ、リリとの話は終わっていないよ。リリは、これから俺とデートの話をするんだから」
「デートですか?」と、リリはすっかり忘れている様子だった。
「デートだよ、約束しただろ。ほら、この間、疾風の戦団の救出に行く前に」
「リリ嬢は、そんな約束は知らないってよ」
「口を挟むなよ、おっさん。それなら、リリ、俺とおっさんのどっちとデートしたい?」
「変な質問をして、リリ嬢を困らせるな」と、まんざらでもない表情をランドは見せた。
リリは迷う事無く即答で、「二者択一なら、クリスさんとデートします」
「ほら見ろ。いつまでたっても女心の分からない、地味なおっさんは嫌だよな」
「いいえ、そうじゃありません。二者択一の場合ならクリスさんですが、個人的にはしっかりと家庭を大事にしてくれる方が理想ですから。そうなると、二人とも当てはまりませんね」と、リリは屈託ない笑顔で答えた。
「そりゃ無いぜ。せっかくデートの約束を楽しみにしていたのに」と、クリスは少しいじけた。
「見事に振られたな、ウィムジー。俺と一緒じゃないか」
「ああああ、一緒にするな。ランドのおっさん」
頭に来たクリスは、ランドの頭にゲンコツを食らわした。いてぇとランドはクリスの胸ぐらを掴んだ時、奥からスライブが出て来た。
「会館の中でもめ事は、ご法度だぞ。お二人さん。クリス、話があるから私の部屋に来てくれ」
頭を擦りながらランドは、「怒られたじゃないか、早く行けよウィムジー」
「分かったよ、デートの約束が台無しになったから、後で飯奢ってくれよ」と、クリスは足早に会館の奥へと消えた。
館長室に入るとソファに座るスライブは、珍しくお茶と茶菓子を用意して待っていた。
「どうしたんだよ。なんか、気味悪いな」と、クリスは向かい合ってソファに腰を下ろした。
「嫌な相談だ。たまには、俺個人の為に動いてくれないか」
「話す前に言うかな。スライブが、本当に困っているなら助けるけど」
「有り難う。嫌な話と言うのは、勇者が魔獣討伐に来る」
「勇者が? 魔獣討伐? なんだそれ。どこの勇者が来るんだ?」
「グランベルノ王国の勇者らしい」
「待てよ、人間の勇者はまだ生まれていないはずだろ」
「本来ならそうだが、自国の力を高めたいグランベルノ四世は、無理矢理この世界に勇者を呼び寄せた様だ」
「どこから? 生まれていない勇者をどうやって呼ぶんだよ」
「そこだが、違う世界で生まれていた勇者を召喚したようだ」
「何故、そんな無茶苦茶な事をするんだよ」
「己の欲望の為に、更なる領土拡大を狙っているのか。噂では、勇者を引き連れてダンディルグ王国に進軍するつもりらしい」
「また、戦争するのか。しかも、魔族に喧嘩を売るとはね」と、クリスはテーブルの上の茶菓子を取り口に放り込んだ ――― 甘いな。
「まあ、戦争は起こった時に対処するとして。俺の頼みは、魔獣討伐に来る勇者の案内人をお前に引き受けてもらいたいのだ」
「案内だけなら良いけど、違う世界の勇者の見張りとグランベルノの情報収集も兼ねているんだろ?」
「そうだ、異世界から召喚された勇者がどの様な者なのか見極めたい」
「しかし、召喚出来たと言う事は、女神も賛成したと言う事だよな」
クリスには腑に落ちない点があった。
この世界は創造神を頂点とし、四人の女神が居る。
慈愛の女神、ディアナ
武の女神、アテーナ
知性の女神、メーテス
生命の女神、モイラ
勇者の誕生には、この四人の女神が深く関わっている。通常ならこの世界のバランスを保つために、勢力の弱い種族の所に勇者は生まれる。今は、人族が力を持ちすぎているので勇者は誕生しないはず。しかし、人族に崇拝される慈愛の女神ディアナは、勇者の召喚を認めたのだ。このまま、互いに勇者を引き連れ人族と魔族が戦争を始めれば、近隣諸国を巻き込む大きな戦争になりかねない。
「案外、女神も自分勝手なのかも知れないな」と、スライブが呟いた。
「どうして、そう思う?」
「自分達を崇拝する種族に肩入れをして、女神通しでも勢力争いをしている様に感じないか」
自分に力を与えた気まぐれな創造神を思い出したクリスは、「そうなのかも知れないな」
「では、勇者達が来たら、魔獣討伐の案内を頼むな。冗談でも気まぐれで女神に喧嘩売るなよ」
無言で立ち上がったクリスは、口元を上げて見せる。冗談では無く、もし女神が自分勝手な理由で行動しているのなら一発殴ってやろうと考えていた。
「おっと、報酬を受け取ったらどいてくれよ」
ワイルドボアを肩に抱えたランドが、横から声を掛けて来た。どうやら害獣駆除に行っていたらしい。
「おっさん、邪魔するなよ。それに、獣を抱えて帰って来るか。意味不明だな」
「ガハハハッ、駆除した獣を持って帰って来たんだぞ。うまい肉は食えるし、報酬は貰えるし、嬉しい気持ちを表現して何が悪い」
「喜んでいるのは、おっさんだけだよ。後ろの仲間は、恥ずかしそうにしているぞ」と、クリスは見返りランドの仲間を見た。彼の話す通り、ランドの仲間はギルド会館の隅で恥ずかしそうに集まっていた。
「恥ずかしいものか、仕事には誇りを持たないと」と、ランドはカウンターにワイルドボアをドスンと置いた。
「ちょっと。まだ、リリとの話は終わっていないよ。リリは、これから俺とデートの話をするんだから」
「デートですか?」と、リリはすっかり忘れている様子だった。
「デートだよ、約束しただろ。ほら、この間、疾風の戦団の救出に行く前に」
「リリ嬢は、そんな約束は知らないってよ」
「口を挟むなよ、おっさん。それなら、リリ、俺とおっさんのどっちとデートしたい?」
「変な質問をして、リリ嬢を困らせるな」と、まんざらでもない表情をランドは見せた。
リリは迷う事無く即答で、「二者択一なら、クリスさんとデートします」
「ほら見ろ。いつまでたっても女心の分からない、地味なおっさんは嫌だよな」
「いいえ、そうじゃありません。二者択一の場合ならクリスさんですが、個人的にはしっかりと家庭を大事にしてくれる方が理想ですから。そうなると、二人とも当てはまりませんね」と、リリは屈託ない笑顔で答えた。
「そりゃ無いぜ。せっかくデートの約束を楽しみにしていたのに」と、クリスは少しいじけた。
「見事に振られたな、ウィムジー。俺と一緒じゃないか」
「ああああ、一緒にするな。ランドのおっさん」
頭に来たクリスは、ランドの頭にゲンコツを食らわした。いてぇとランドはクリスの胸ぐらを掴んだ時、奥からスライブが出て来た。
「会館の中でもめ事は、ご法度だぞ。お二人さん。クリス、話があるから私の部屋に来てくれ」
頭を擦りながらランドは、「怒られたじゃないか、早く行けよウィムジー」
「分かったよ、デートの約束が台無しになったから、後で飯奢ってくれよ」と、クリスは足早に会館の奥へと消えた。
館長室に入るとソファに座るスライブは、珍しくお茶と茶菓子を用意して待っていた。
「どうしたんだよ。なんか、気味悪いな」と、クリスは向かい合ってソファに腰を下ろした。
「嫌な相談だ。たまには、俺個人の為に動いてくれないか」
「話す前に言うかな。スライブが、本当に困っているなら助けるけど」
「有り難う。嫌な話と言うのは、勇者が魔獣討伐に来る」
「勇者が? 魔獣討伐? なんだそれ。どこの勇者が来るんだ?」
「グランベルノ王国の勇者らしい」
「待てよ、人間の勇者はまだ生まれていないはずだろ」
「本来ならそうだが、自国の力を高めたいグランベルノ四世は、無理矢理この世界に勇者を呼び寄せた様だ」
「どこから? 生まれていない勇者をどうやって呼ぶんだよ」
「そこだが、違う世界で生まれていた勇者を召喚したようだ」
「何故、そんな無茶苦茶な事をするんだよ」
「己の欲望の為に、更なる領土拡大を狙っているのか。噂では、勇者を引き連れてダンディルグ王国に進軍するつもりらしい」
「また、戦争するのか。しかも、魔族に喧嘩を売るとはね」と、クリスはテーブルの上の茶菓子を取り口に放り込んだ ――― 甘いな。
「まあ、戦争は起こった時に対処するとして。俺の頼みは、魔獣討伐に来る勇者の案内人をお前に引き受けてもらいたいのだ」
「案内だけなら良いけど、違う世界の勇者の見張りとグランベルノの情報収集も兼ねているんだろ?」
「そうだ、異世界から召喚された勇者がどの様な者なのか見極めたい」
「しかし、召喚出来たと言う事は、女神も賛成したと言う事だよな」
クリスには腑に落ちない点があった。
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武の女神、アテーナ
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勇者の誕生には、この四人の女神が深く関わっている。通常ならこの世界のバランスを保つために、勢力の弱い種族の所に勇者は生まれる。今は、人族が力を持ちすぎているので勇者は誕生しないはず。しかし、人族に崇拝される慈愛の女神ディアナは、勇者の召喚を認めたのだ。このまま、互いに勇者を引き連れ人族と魔族が戦争を始めれば、近隣諸国を巻き込む大きな戦争になりかねない。
「案外、女神も自分勝手なのかも知れないな」と、スライブが呟いた。
「どうして、そう思う?」
「自分達を崇拝する種族に肩入れをして、女神通しでも勢力争いをしている様に感じないか」
自分に力を与えた気まぐれな創造神を思い出したクリスは、「そうなのかも知れないな」
「では、勇者達が来たら、魔獣討伐の案内を頼むな。冗談でも気まぐれで女神に喧嘩売るなよ」
無言で立ち上がったクリスは、口元を上げて見せる。冗談では無く、もし女神が自分勝手な理由で行動しているのなら一発殴ってやろうと考えていた。
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