私の人生をメチャクチャにした奴等に復讐するために生まれ変わったら、何故か腹黒王子に溺愛されてる件

ケイコム

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唯一の救いすら

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「エリシア。最近元気がないみたいだけど、なにかあったのかい?」

 学院の放課後、エリシアが帰り支度を進めていると、エドモンドが優しく語り掛けてきた。

「いえ、なんでもありません。おきになさらず」

 無表情で冷たく突き放すエリシアは、そのまま席を立って教室を出ようとした。

「待って。なんでもない人はそんな顔しないよ」

 それをエドモンドが引き留める。その心配そうな表情には、純粋なエリシアへの好意があった。

 家族全員を失い、失意の中にあるエリシアの心に染み渡る優しさ。しかしそれにすがり付けば、エドモンドとの仲を深めてしまえば、エリシアは新当主に殺されてしまうかもしれない。

「ごめんなさい。今は、今はっ」

「……そっか」

 エドモンドは哀しそうに笑った。

「じゃあ、話したくなったら言ってよ」

 明るさを無くし、段々と孤立し始めていたエリシア。この日エドモンドを皆の前で突き放したことで、その孤立は徹底的なものとなった。

 


 エリシアが家に帰れば、新当主の正妻、イザベラからの教育という名の体罰が待っていた。

 少しでも作法を間違えば鞭を打たれ、失敗しなくとも罵倒され、水をかけられ、服で隠れる場所はほぼ全てあざで覆われるほどの虐待。

 公爵家の人間たちはそれに気付いていたが、誰も助けには入れなかった。正妻に逆らえばクビにされるからだ。

 さらに、追い討ちを掛けるようにイザベラの娘であるアイリスが、エリシアをいじめ続けた。

 エリシアの私物を勝手に売り払い、エリシアを慕う家人をクビにしてエリシアを家のなかでも孤立させ。

 両親を失い、弟を殺され、心がボロボロになったエリシアは、今度は体をボロボロにされていく。

 エリシアのなかで無表情が演技でなくなっていくのは、時間の問題だった。

 そんな日々のなかで唯一の救いは、エドモンドの存在だった。

 彼だけは日に日に元気を失っていくエリシアを気にかけ続けた。何度エリシアが拒絶しても助けになろうとした。

 エリシアはそれに救われていた。地獄のような日々で、エドモンドだけが支えだった。

 しかし、それすら―――

「エリシア、エドモンド殿下との婚約は解消になったわ」

「え?」

 自分の血筋を当主にすげるため、イザベラが奪い取った。

「エドモンド殿下には代わりにアイリスをお嫁さんにしてもらうことになったわ」

「え、アイリスが?」

「その汚い口で私の娘の名前を呼ばないでちょうだい!」

 鞭で打たれながら、エリシアは足元の地面が崩れていく感覚を覚えた。
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