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愛で十分
しおりを挟む「いつか、いつかアタシにも! この本みたいな神秘的なドラゴンに乗ったイケメンな王子様が迎えに──────────」
「………………そろそろ現実に戻ろっか。わたし達べつに特別な力を目覚めた訳でも、すっごく美人なお姫様って訳でもないんだし」
「──────────うわ~ん! その言葉は酷いよぅ!?」
瞳に星を輝かせ、背後に花畑を展開させながら脳内の妄想を口に出して夢の世界に浸っていた友人を、少女は冷めた言葉で現在へと引き戻した。
「恋愛って、そんな甘くてキラキラしたもの………………もあるかもしれないけど。全部が全部、そうである訳じゃあないんだから」
「………………でもぉ。運命の出会いって、こうなんか………………憧れな~い?」
「いや、まったくもって全然ちっとも。小説は小説だからこそ面白いと思ってるので」
「も~! そんなのっ!! 夢も希望もなくてつまらないじゃ──────ん! !?」
「………………う~ん………………そう………………かなぁ………………?」
「そうだよ! 世界はドキドキでワックワクでミラクルな愛で満ち溢れてるって思わないと! 人生が楽しめないよ~!?」
「………………ん~………………」
父さんと母さんは、なんとなく出会って。
なんとなく気が合って。
それで色々あって、なんとなく結婚した。
互いに愛し合っていないと言えば嘘になるが、ではベタ惚れ同士であるかと言うと途端に首を捻らざるをえないという絶妙なバランスの塩梅の現状となっている。
そんな二人を常日頃から見て育ったのだから、思うのだ。
「………………やっぱり、わたしは恋が特別である必要は………………なくていいかな………………」
「………………え~」
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