わたし好みの自分で

谷川ベルノー

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わたし好みの自分で

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 彼に「君には長い髪が似合うよ」と言われた。
 だから、わたしは髪を伸ばした。
 ────────本当は、短い方が好きだけど。



 彼に「この映画、君も好きでいてほしい」と言われた。
 だから、わたしは「うん、好きだよ」と答えた。
 ────────本当は、好きでも嫌いでもなかったけど。


  彼に「君にはスカートがピッタリだよ」と言われた。
  だから、わたしは「うん、そうだね」と答えた。
 ────────本当は、ズボンを履きたかったけど。



 彼に。
 彼に。
 彼に。


 毎日、毎日。
 無理をして。
 彼好みの自分に、日々変え続けていた。

 でも、ある日のことだった。

 彼は、唐突に別れると言い出した。

 この前、婚約について話し合ったというのに。



 なんで?
 どうして!?


 問い掛ければ、一言。
 「もっと好ましい相手を見つけたんだ。君よりも遥かに僕好みのね」

 そう言って彼は去った。



 …………………………何よ、それ。



 ムカついた。
 腹がたって、しょうがなかった。




  それからは、自分に無理をして変えるのを止めた。



 髪をバッサリ切って短くした。
 好きな映画を見まくった。
 ズボンをよく履くことにした。



 好きなことが出来る日々は、とても最高!

 見えない鎖から、開放された気分!!



 無理を止めたら、心が晴れやかになった。





 その後の彼はというと、好ましいと言った相手がどうもヤンデレであったらしい。
  ────────知り合いの噂では、自由が全くない毎日を過ごしているとか。
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