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6 耐え難い悪夢
しおりを挟む「ソンナ! 君との婚約を破棄させてもらおう!!」
「……えっ、突然どうなされたのですかコンヤ様……あれっ?」
あの日に聞いた言葉が、ソックリそのまま同じ言い回しで私に告げられている。
そのことにハッとして感付いて考え込む。
この状況は、どういうことなのだろうかと。
(……というか、そもそもベッドで寝ていた筈の私が起きているのはどうしてなのかしら……?)
自身が、いつの間にか御洒落に着飾っているのは?
真っ暗な夜が太陽の輝く明るい昼になっているのは?
おかしいことだらけで疑問を上げ続ければ、原因を思いつく。
あぁ、そうか。
これは夢だ。
但し、ただの夢じゃあない。
誰かが悪夢として、過去の出来事を再現しているみたいなのだから。
通りで気付き難い筈だ。
夢の中では、異常を異常であると認識しにくいのだから。
だがちゃんと理解してしまえば、優位はもうこちらのもの。
だから、迷うことなく地面を力一杯に殴りつけた。
「うりゃあぁっ!!」
勢いのついた拳を喰らった地面から、ガラスが砕けたような音が響く。
大地はひび割れ、そのまま空にも亀裂が入っていく。
「やっぱり、そうだったのね」
「ギャッ、ギャッ」
今まであった舞台が無くなり真っ白な空間に変わると、子猿と豚と蝙蝠を混ぜたような醜悪な生物が目の前に現れた。
ソレは、如何にも自分が犯人で余計なことをするなと言わんばかりに不満気に鳴いている。
ソイツは下級の悪魔の中でも人間に悪夢を見せ続け、精神的苦痛で弱った魂を喰らう類の存在。
私を標的にしたから、人生で一番精神的衝撃を受けたあの日を再現したのだろう。
「そっくりそのまま同じなんて、随分と芸の無いお馬鹿さんだこと」
「ギャアァ────! ギャアァ────!!」
その言葉に、怒りと威嚇を込めて喚き散らしだす。
餌の癖に煩いとか調子に乗るなとでも言っているのかは分からないが、知能の低い野生動物のような振る舞いだ。
「私を獲物に選んだ時点で貴方は間違っていたってことよ。
だから、たっぷり後悔させてあげるわ。
……あの世でね」
脚に力とスピード。
拳に魔力と怒り。
それぞれを思いっきり込めると、悪魔に向かって襲い掛かった。
婚約破棄?
夢にも現実にもそんなものは微塵も無いっ!!
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