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死んでも許されない
しおりを挟む「………………はぁっ!?婚約相手が両親を騙して大金をせしめていたって────────!?」
「………………わたしが、友人の莫大な借金を肩代わりしたって嘘を付いてお金を受け取ってたみたいなの。他にも、借金返済に実の親の金を使ったことを知れば傷付くだろうから自分の金ということにして渡す………………とか。借金については、彼女の前で話に出さないほうがいい………………とか言ってわたしにバレないようになんとか上手く丸め込でたみたい。 ────────結局はバレたけど」
「なにそれ、酷い! あなたを利用するのもだけど、娘を愛する御両親の気持ちも踏み躙るなんて!! どっちにしろ許せない!!」
「重ねて、更に許せないことがあるの」
「もしかしなくても騙し取ったお金の使い道? 」
「………………うん。何に使ったと思う?」
「………………えぇっと………………そうねぇ………………大金を使うんだから………………う~ん………………あっ! 魔法の力が込もった魔法石や魔導書を買いまくった!! ………………とかかしら? 品質が良い物は値段も高いもの」
魔法石に魔導書。
本人の魔力を使わずに魔法が使える便利な魔法の道具。
質の良い物は一番安い物でも一般市民はまず買うことが出来ない代物。
安い物は大抵、偽物か粗悪品のどちらか。
そうして、思い出す。
子供の頃に露店で見つけて購入した魔法石と魔導書のことを。
初めて貰ったお小遣いを使って購入した物が碌でもない代物で、返品しようにも店長は商品が売れてすぐに店を畳んで逃げた後。
お父様に、せっかくのお小遣いを無駄にしてごめんなさいと何度も謝り泣きついたことを思い出す。
────────そして、数時間後。
その露店の店長は牢屋入りとなった。
それは、娘の為にとけっきせまる勢いでお父様が迅速に行動して下さったからだと、後でお母様が教えてくれた。
そのことを聞いて、お父様への尊敬の念がより深まったのだった──────────。
(──────ハッ!? いけないいけない。過去に浸りすぎていたわ。現実に戻りましょう)
「………………それで、あってるのかしら?」
「ううん、違うわ」
「それじゃあ、何に使ったの?」
「………………呆れたことに………………豪邸で酒池肉林。お金を使って侍らせた美女達に金貨をバラまいて拾わせたりもしてたとか………………はぁっ………………もう、最悪最低よ………………」
「………………うわぁっ………………それは………………もう………………。………………それについては本当に『うわぁっ………………』としか感想が出ないわ………………」
「しかも騙して手に入れたお金は、全部使ったから無いって言ったらしいの」
「………………えっ? ………………金貨一枚も?………………」
「銅貨すらないって」
「────────だから、父様と母様は彼を連れて行ってしまったわ」
「………………何処に………………?」
「………………借金を返済させるとしか聞いていないから、分からないわ。………………あっ、でも」
「でも?」
「………………めったに怒らない優しいお父様とお母様の双方がお怒りになっているんだもの。普通の方法じゃないのだけは確かだと言えるわ………………」
(なんとなく分かっていて、その方法を止めなかったってことは………………この子も心底ご立腹だからなのね)
自分が利用された挙げ句、両親に迷惑が掛かってしまったのだ。
自分のこと以上に両親に申し訳ないと思い、同時にその犯人は絶対に許さないのだろう。
娘をだしに大金をせしめた男は、両親の触れてはいけない逆鱗に触れてしまった。
結果、男は大金を稼げるがそれら全てが借金返済にあてられる。死と常に隣り合わせに近い仕事へと強制的に連行された。
仕事の途中で死んでも、そこで終わりではない。
死ねば蘇らせられ。
蘇生の代金が借金に加算される。
呪いによって、借金が無くなるその日まで、逃げることは許されない。
死ぬ度に五体満足で蘇らされる。
生きたまま苦しみ続けなければいけない地獄。
──────借金を全て返し切るには、数年程度では終わることはない。
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