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冒険者
孤児院の持ち主
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「いやー、うちの巫女がお世話になったねぇ」
今現在、赤髪の女性が泣く寸前の子供を引き連れ、この客間に入ってきたため、席順がおかしいことになっている。
まず、ソファは2つで多分3人用。そこに右から俺、赤髪、ソファの裏に隠れていた白い羽の生えた金髪碧眼の少女。
向かい側は、俺から見て右から魔族の女性、涙目の10歳青髪少年、泣く寸前の8歳緑髪少年、すでに涙で前が見えていないであろう5歳紫髪少女。
はっきり言おう。
異世界に来たにも関わらず、人は違えど俺の周りにいる奴らはキャラが濃すぎる。
赤髪の女性は、俺が作った『異世界に行ったら見てみたい防具(嘘)』の中で第2位の、いわゆるビキニアーマーを装備していた。が、なんとなく違和感を感じた。
「ああ、なるほど。納得した」
「んー?何を納得したのか教えてくれないかな?」
口に出して答えると、何やら命が危なさそうなので控えるが、女性がビキニアーマーをつけていても違和感しか感じない理由はその胸にあった。
座高が俺より数センチ高いため、俺より背が高く年齢も上だと思っていたが、その絶壁を思わせる残念な胸によってビキニアーマーを装備していても違和感が仕事をしているのだ。
すごいな。ここまで違和感が仕事をしているのは初めてかもしれない。
どんな感じか具体的に説明すると、真っ白なビキニアーマーを装備しているためおへそは出ている状態だ。しかし、ビキニアーマーといえば水着であるビキニのように胸と股しか隠していない、本当にこれで戦えるのか?という装備だ。さらに、たいていのビキニアーマーは胸のあたりが膨らんでいて、それぞれの女性の胸に合った形をしている。
にも関わらず、この女性の胸当ては真っ平らだ。先ほども説明したが、胸のあたりは普通、どんなに貧乳であっても少し膨らんでいるものだが、この胸当ては真っ平らなのだ。
横から見ている俺が言うんだから間違いではない。
「キミキミ、何かワタシに対してものすごく失礼なことを考えていないかい?」
「いえ全く」
「いや、嘘だよね?」
「気のせいだと思います」
「気のせい……ふむ、そうか……気のせいか」
実際に考えていても、気のせいだと言われれば納得せずとも、その話題から離れてくれるのが人間というものだ。
少なくとも俺の周りの人間はそうだった。
「ところで、これはどういう状況で?」
話すときは笑顔を忘れずに。そうすれば、相手に良い印象を持たせることができる。
え、さっき気持ち悪いって言われなかったかって?
おじさん、知らないなあ。
俺の質問に、赤髪の女性はこう答えた。
「そりゃもちろん。ワタシのいない間に、キミというお客さんに失礼な態度をとった、この巫女と子供達に説教をするためさ」
俺、いらなくない?
なーんて、腐っても俺は成人した人間だからな。そんな空気を読まない発言はしないつもりだよ。
「俺、いらなくない?」
「お客さんで当事者だってこと、自覚してる?」
ええ、自覚していますとも。
え、なに?空気を読まない発言はしないって言った?
しないつもりとは言ったけど、しないなんて一言も言ってないぜ。
性格が悪い?照れるだろ。
「あ、そうだ。謝る前に自己紹介をしようかな」
できれば扉を開けた瞬間にしてほしかった。
「ワタシの名前はアルル。世界で数人しかいないと言われているS級冒険者だ」
「レスキュー冒険者?」
「S級冒険者!確かに必要であれば、救助活動にも参加するけども!」
気にするな。ただの聞き間違いだ。
こうして俺は、S級冒険者であるアルルと呼ばれる女性に出会ったのである。
……叶うなら、物理的なツッコミをしない人でありますように。
今現在、赤髪の女性が泣く寸前の子供を引き連れ、この客間に入ってきたため、席順がおかしいことになっている。
まず、ソファは2つで多分3人用。そこに右から俺、赤髪、ソファの裏に隠れていた白い羽の生えた金髪碧眼の少女。
向かい側は、俺から見て右から魔族の女性、涙目の10歳青髪少年、泣く寸前の8歳緑髪少年、すでに涙で前が見えていないであろう5歳紫髪少女。
はっきり言おう。
異世界に来たにも関わらず、人は違えど俺の周りにいる奴らはキャラが濃すぎる。
赤髪の女性は、俺が作った『異世界に行ったら見てみたい防具(嘘)』の中で第2位の、いわゆるビキニアーマーを装備していた。が、なんとなく違和感を感じた。
「ああ、なるほど。納得した」
「んー?何を納得したのか教えてくれないかな?」
口に出して答えると、何やら命が危なさそうなので控えるが、女性がビキニアーマーをつけていても違和感しか感じない理由はその胸にあった。
座高が俺より数センチ高いため、俺より背が高く年齢も上だと思っていたが、その絶壁を思わせる残念な胸によってビキニアーマーを装備していても違和感が仕事をしているのだ。
すごいな。ここまで違和感が仕事をしているのは初めてかもしれない。
どんな感じか具体的に説明すると、真っ白なビキニアーマーを装備しているためおへそは出ている状態だ。しかし、ビキニアーマーといえば水着であるビキニのように胸と股しか隠していない、本当にこれで戦えるのか?という装備だ。さらに、たいていのビキニアーマーは胸のあたりが膨らんでいて、それぞれの女性の胸に合った形をしている。
にも関わらず、この女性の胸当ては真っ平らだ。先ほども説明したが、胸のあたりは普通、どんなに貧乳であっても少し膨らんでいるものだが、この胸当ては真っ平らなのだ。
横から見ている俺が言うんだから間違いではない。
「キミキミ、何かワタシに対してものすごく失礼なことを考えていないかい?」
「いえ全く」
「いや、嘘だよね?」
「気のせいだと思います」
「気のせい……ふむ、そうか……気のせいか」
実際に考えていても、気のせいだと言われれば納得せずとも、その話題から離れてくれるのが人間というものだ。
少なくとも俺の周りの人間はそうだった。
「ところで、これはどういう状況で?」
話すときは笑顔を忘れずに。そうすれば、相手に良い印象を持たせることができる。
え、さっき気持ち悪いって言われなかったかって?
おじさん、知らないなあ。
俺の質問に、赤髪の女性はこう答えた。
「そりゃもちろん。ワタシのいない間に、キミというお客さんに失礼な態度をとった、この巫女と子供達に説教をするためさ」
俺、いらなくない?
なーんて、腐っても俺は成人した人間だからな。そんな空気を読まない発言はしないつもりだよ。
「俺、いらなくない?」
「お客さんで当事者だってこと、自覚してる?」
ええ、自覚していますとも。
え、なに?空気を読まない発言はしないって言った?
しないつもりとは言ったけど、しないなんて一言も言ってないぜ。
性格が悪い?照れるだろ。
「あ、そうだ。謝る前に自己紹介をしようかな」
できれば扉を開けた瞬間にしてほしかった。
「ワタシの名前はアルル。世界で数人しかいないと言われているS級冒険者だ」
「レスキュー冒険者?」
「S級冒険者!確かに必要であれば、救助活動にも参加するけども!」
気にするな。ただの聞き間違いだ。
こうして俺は、S級冒険者であるアルルと呼ばれる女性に出会ったのである。
……叶うなら、物理的なツッコミをしない人でありますように。
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