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第1章 5歳になりました
死神もどき
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『さて、あなたは晴れて死神の前の段階である、死神もどきになったわけですが……記憶が戻る前、つまり赤ん坊の時は人間だったんですよ?』
なんだと?つまり、赤ん坊から突然変異で死神もどきになったってことか?
『いえ、0歳~2歳が人間で、3歳~4歳が人間もどき、そして今が死神もどきです。』
安心できない説明をどうもありがとう。
確かに赤ん坊の時に人間であれば、もし鑑定のスキルで見られた時でも『人間』と表示されるわけだから、魔物として討伐されずに済むってことか。
『理解してくれて何よりです。
さて、先ほど存在しない呪文を唱えてもらったわけですが、あれはスキルだと思いますか?魔法だと思いますか?』
何を急に……いや、詠唱があったから魔法だと思うけど、あれはどう見てもラノベとかに出てくる『鑑定スキル』のように見えたな……スキルか?
『詠唱があったから魔法に決まってるじゃないですか。何を言っているんでしょうね?』
めっちゃ腹立つ。
『それが『死神もどき魔法』と呼ばれるものですよ。確かに呪文は存在しませんが、キーワードとなる言葉を言えば、魔力を媒体として発動させることができます。それが『死神魔法』と『死神もどき魔法』です。』
魔力を媒体にして発動ねぇ……だったら、自身の魔力はどうなるんだ?魔法ってのは、自分の魔力を媒体にするんだろ?
『いえ、確かに魔力を媒体にしますが、死神自身の魔力は緊急時にしか使えませんよ。例えば、周りに魔力が存在していない場所や、結界や魔道具により魔法が使えない場所などですかね。』
死神長さん、それは世間でチートの部類に入るんですけど、知ってますかね?
むしろ、チートだろ。
『チートが何なのか知りませんが、これは遺伝子みたいなものですよ。
死神として生まれた私たちは、様々な場所に存在する魂を回収してきました。
しかし、普通の人間では辿り着けない場所に対象の魂がいたり、生き物すら立ち入ることができなくなってしまった世界の魂を回収しなければならなくなった時があったりしたため、死神は学習し、進化し続けてきました。
人間にもあるでしょう?最初は猿人類だった彼らは、火を使うことを学習したり、狩りをすること、集団で暮らすこと、恐怖や憎悪、喜怒哀楽、様々なことを学んで進化し続けてきたではないですか。』
……よくよく考えてみれば、人間も同じか……って待てや。死神も猿人類と同じように進化し続けてきたと言ったが、死神の祖先ってなんだよ?
『異世界の死神がどうして生まれたかなんて知るわけないじゃないですか。
あと、先ほどの話はただの想像です。』
想像かよ!信じちゃったじゃん!!
『残念でしたね。まあ、あなたはまだ死神もどきなので、『嘘吐き』を含むすべてのスキルは使用できませんので気をつけてくださいね。
そうそう、これで説明を終わるのですが、この手紙を最後まで読むとですね……』
よくあるものとしては、爆発したり、記憶が消えたり巻き戻されたりするんだよな。いや、記憶が消えたり巻き戻されたりしたら、オレとしても困るんだがな。
『いえ、時間が動き出すのと、手紙が消滅するだけです。
あ、そうそう。成人したら『死神もどき』から『死神』へと自動的に進化しますので、頑張ってくださいね。』
***
廊下からドタドタと、誰かが走ってくる音がする。
そして、ドアがバンッと勢いよく開け放たれると、息を切らせた女性……いや、ライアであるオレの母親が立っていた。
何か物騒なものを持って。
「ママ……それは、なーに……?」
記憶が戻る前のライアを装って、母親のミカ・グレイに話しかける。
さすがに、前世と同じように『母さん』と呼ぶと色々とまずいことになりそうだから、ライアの記憶が残っていてよかったと心の底から思っている。
さて、物騒なものである、自分の背丈より大きな、S字に曲がった鎌のようなものを持つ、自身の母親は満面の笑みでこう言った。
「ライア!お誕生日おめでとう!さっきライアの知り合いって人から、ライアへのプレゼントとしてこんなの貰ったよ!!」
いや、オレに知り合いなんて、死神長と閻魔姫しかいないんだが……。
っていうか、普通に考えたら、5歳の知り合いっておかしくない?オレ、というかライア。一回も外に出てなかったみたいなんだが。
しかもなんだよその鎌は。S字に曲がっているだけではなく、両刃じゃねえか。
物騒なだけじゃなく、取り扱い注意の塊じゃねえか。
「そ、そうなんだ。ところでママ、その知り合いってどんな格好してた?」
「えーっとね……」
オレが聞いた瞬間、母親はしゅんとしおれたようになって、両手を胸に当てて言った。
「私より胸が大きくて、背が高くて、腰がキュッとしてて、いかにも大人って感じがする髑髏の仮面をかぶった女性だった……」
間違いなく死神長だ。
この鎌の色は全体的に灰色で、刃の部分だけ真っ黒な、見るだけで危ない色をしていた。
なんというか、死神らしい色を選んだつもりなのか、死神長が胸を張っている姿が想像できた。表情は見えないけど。
ところで、なんでオレの母親であるミカがこんなにしゅんとして落ち込んでいるのかというと、まず母親は小さい。
身長が155cmあるかないかの高さであり、全体的にスレンダーである。つまり胸がない。少女と言っても違和感がない。
「気のせいか、愛しの息子に失礼なこと言われている気がする」
ええ、考えてますからね。
「ま、それは後で聞くとして、とりあえずパパが朝ごはん食べようって言ってるから、ママと一緒に行きましょうねー」
「うん!」
とりあえず、前のライアのように振舞わないと。
母親にもらった鎌をベッドの脇に置き、オレは母親と手をつないでリビングへと向かうのであった。
なんだと?つまり、赤ん坊から突然変異で死神もどきになったってことか?
『いえ、0歳~2歳が人間で、3歳~4歳が人間もどき、そして今が死神もどきです。』
安心できない説明をどうもありがとう。
確かに赤ん坊の時に人間であれば、もし鑑定のスキルで見られた時でも『人間』と表示されるわけだから、魔物として討伐されずに済むってことか。
『理解してくれて何よりです。
さて、先ほど存在しない呪文を唱えてもらったわけですが、あれはスキルだと思いますか?魔法だと思いますか?』
何を急に……いや、詠唱があったから魔法だと思うけど、あれはどう見てもラノベとかに出てくる『鑑定スキル』のように見えたな……スキルか?
『詠唱があったから魔法に決まってるじゃないですか。何を言っているんでしょうね?』
めっちゃ腹立つ。
『それが『死神もどき魔法』と呼ばれるものですよ。確かに呪文は存在しませんが、キーワードとなる言葉を言えば、魔力を媒体として発動させることができます。それが『死神魔法』と『死神もどき魔法』です。』
魔力を媒体にして発動ねぇ……だったら、自身の魔力はどうなるんだ?魔法ってのは、自分の魔力を媒体にするんだろ?
『いえ、確かに魔力を媒体にしますが、死神自身の魔力は緊急時にしか使えませんよ。例えば、周りに魔力が存在していない場所や、結界や魔道具により魔法が使えない場所などですかね。』
死神長さん、それは世間でチートの部類に入るんですけど、知ってますかね?
むしろ、チートだろ。
『チートが何なのか知りませんが、これは遺伝子みたいなものですよ。
死神として生まれた私たちは、様々な場所に存在する魂を回収してきました。
しかし、普通の人間では辿り着けない場所に対象の魂がいたり、生き物すら立ち入ることができなくなってしまった世界の魂を回収しなければならなくなった時があったりしたため、死神は学習し、進化し続けてきました。
人間にもあるでしょう?最初は猿人類だった彼らは、火を使うことを学習したり、狩りをすること、集団で暮らすこと、恐怖や憎悪、喜怒哀楽、様々なことを学んで進化し続けてきたではないですか。』
……よくよく考えてみれば、人間も同じか……って待てや。死神も猿人類と同じように進化し続けてきたと言ったが、死神の祖先ってなんだよ?
『異世界の死神がどうして生まれたかなんて知るわけないじゃないですか。
あと、先ほどの話はただの想像です。』
想像かよ!信じちゃったじゃん!!
『残念でしたね。まあ、あなたはまだ死神もどきなので、『嘘吐き』を含むすべてのスキルは使用できませんので気をつけてくださいね。
そうそう、これで説明を終わるのですが、この手紙を最後まで読むとですね……』
よくあるものとしては、爆発したり、記憶が消えたり巻き戻されたりするんだよな。いや、記憶が消えたり巻き戻されたりしたら、オレとしても困るんだがな。
『いえ、時間が動き出すのと、手紙が消滅するだけです。
あ、そうそう。成人したら『死神もどき』から『死神』へと自動的に進化しますので、頑張ってくださいね。』
***
廊下からドタドタと、誰かが走ってくる音がする。
そして、ドアがバンッと勢いよく開け放たれると、息を切らせた女性……いや、ライアであるオレの母親が立っていた。
何か物騒なものを持って。
「ママ……それは、なーに……?」
記憶が戻る前のライアを装って、母親のミカ・グレイに話しかける。
さすがに、前世と同じように『母さん』と呼ぶと色々とまずいことになりそうだから、ライアの記憶が残っていてよかったと心の底から思っている。
さて、物騒なものである、自分の背丈より大きな、S字に曲がった鎌のようなものを持つ、自身の母親は満面の笑みでこう言った。
「ライア!お誕生日おめでとう!さっきライアの知り合いって人から、ライアへのプレゼントとしてこんなの貰ったよ!!」
いや、オレに知り合いなんて、死神長と閻魔姫しかいないんだが……。
っていうか、普通に考えたら、5歳の知り合いっておかしくない?オレ、というかライア。一回も外に出てなかったみたいなんだが。
しかもなんだよその鎌は。S字に曲がっているだけではなく、両刃じゃねえか。
物騒なだけじゃなく、取り扱い注意の塊じゃねえか。
「そ、そうなんだ。ところでママ、その知り合いってどんな格好してた?」
「えーっとね……」
オレが聞いた瞬間、母親はしゅんとしおれたようになって、両手を胸に当てて言った。
「私より胸が大きくて、背が高くて、腰がキュッとしてて、いかにも大人って感じがする髑髏の仮面をかぶった女性だった……」
間違いなく死神長だ。
この鎌の色は全体的に灰色で、刃の部分だけ真っ黒な、見るだけで危ない色をしていた。
なんというか、死神らしい色を選んだつもりなのか、死神長が胸を張っている姿が想像できた。表情は見えないけど。
ところで、なんでオレの母親であるミカがこんなにしゅんとして落ち込んでいるのかというと、まず母親は小さい。
身長が155cmあるかないかの高さであり、全体的にスレンダーである。つまり胸がない。少女と言っても違和感がない。
「気のせいか、愛しの息子に失礼なこと言われている気がする」
ええ、考えてますからね。
「ま、それは後で聞くとして、とりあえずパパが朝ごはん食べようって言ってるから、ママと一緒に行きましょうねー」
「うん!」
とりあえず、前のライアのように振舞わないと。
母親にもらった鎌をベッドの脇に置き、オレは母親と手をつないでリビングへと向かうのであった。
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