【完結】私にだけ当たりの強い騎士様と1メートル以上離れられなくなって絶望中

椿かもめ

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11.騎士団

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 バルテルと別れて、私たちは王城に隣接する騎士団の駐屯地までやってきた。たびたびガタイのいい男性たちとすれ違い、場違い感が半端ないなどと考えていると。

「おはようございます、コルネリウス隊長」

 幾人かの騎士が私の前を歩くコルネリウスに対し、敬った様子で挨拶をしていた。見るからにコルネリウスより年齢が上だろう騎士もいた。

 そういえばコルネリウスは今年、若干26歳で騎士団の幹部クラスとも言える隊長職に就任したのだと耳にしたことがあった。剣の才能にも秀で、作戦参謀としての実力も評価され、歴代最年少で隊長職を授かったらしい。これもすべて噂好きの同僚の受け売りなのだが。

「団長たちに説明しなければならないのだが……離れることができないのならば、ついて来てもらうしかないな」

「そうですね……き、騎士団の機密情報とか話されるなら、きちんと耳を塞いでおくのでご安心を」

「……話すわけがないだろう、お前の前で」

 呆れて肩をくすめるコルネリウスの歩く方へと追従する。騎士団の団長たち幹部は《妖精のイタズラ》のことを告げると、驚くほど理解が早く事態を飲み込んでいるようだった。冒険者ギルドのときに比べて圧倒的にスムーズに説明が終わったことを疑問に思い、私はコルネリウスへと問いかけた。すると。

「妖精との親和性が高い故の力──つまり声を聞く力はいわゆる諜報活動に役立つ。騎士団は積極的に親和性の高い人間を採用し、利用している。団長たちは俺よりも妖精関連の話に詳しく、過去にも色々と経験しているらしい。理解が早くて助かるな」

 あの大司教と顔見知りだったのも、どうやら騎士団として何度も関わってきたとのことだ。

「そんなこと部外者の私にペラペラ話して大丈夫なんでしょうか?」

「お前が普通の人間なら話さないだろう。だが親和性が高い。この件が無事解決したあと、可能性としてその妖精を見る力を借りることもあるかもしれない。それに、身分的にも現ギルド職員で、元Sランク冒険者の娘でもあるし問題ないだろう」

 そう述べた後はもう何も聞くなと黙りこんでしまった。

 その後、私とコルネリウスは彼のまとめる騎士団第二部隊へと合流した。部隊の隊長でもあり、真面目堅物としても名の知れてるコルネリウスが女を引き連れていることで、騎士たちも動揺しているようだった。
 しきりにチラチラと視線を送られるものの、目線が合えばすぐ逸らされる。ひどく居心地が悪いもので、私は地蔵のようにコルネリウスの陰でじっと身を潜めていることしかできなかった。

「それでは朝礼を終わる。各自、小隊に分かれ、巡回、訓練、待機の任につけ」

 コルネリウスがそう告げれば、100人近くいる騎士らが敬礼をしたあと散会していく。私はといえば、その規律的ともいえる光景に圧倒されていた。これだけの騎士を束ねているのであれば、たしかに自分の仕事を優先する考えに至るのは当然だと思った。
 そんなことを考えていれば、いつの間にかコルネリウスの周囲には幾人かの騎士らが集まっているようだった。

「俺の受け持つ小隊も今から巡回に赴くことになる。お前も邪魔にならないよう、勝手についてこい」

「……は、はい」

 コルネリウスの小隊の面々が後ろからぞろぞろと追従して歩く。街中を歩き、怪しいものがいれば部下を使って追跡させたり、困っている人に声をかけたりと人々の日常に溶け込みながら任務に励んでいた。

 コルネリウスは私という枷を背負っているからか、基本的にはうまく人を動かかし、業務を遂行していった。

 同行する前までは、『突然走り出されたりしたら追いつけるかしら』と不安に煽られていたのだが、要らぬ心配だったと苦笑する。彼は態度こそ最悪だったが、意外と性根が優しいのかもしれない。彼を見直す自分が存在していた。

「あれ? あの子迷子かな?」

 街中を一人歩く幼い少女を目にし、思わず独り言を呟く。コルネリウスは気付いてなかったようで、私の言葉で視線を少女へと向けた。少女はどこか不安な面持ちで、周囲をキョロキョロと見渡していた。

 もしかすれば、連れの両親とはぐれてしまったのかもしれない。そう思い、コルネリウスへと相談しようと余った矢先。

 突如、少女は馬車の走る道へと飛び出した。
 どうやら混乱するあまり、自分の状況を理解していないようだった。

 向かいからは馬車が走ってきており、御者は小柄な少女に気づいていないようだった。このままでは少女が危ないことは一目で予想がついた。けれど迫り来る馬車が少女と衝突するのにあと数秒もなく、私は反応することすらできず、その場で硬直する。

 だが、私の前にいたコルネリウスは違った。
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