12 / 49
12.事故のあと
しおりを挟む知らない間に少女を抱き込んだかと思えば、すぐに道端へと身体をひねる。馬車はそのまま何事もなく真横を通過していった。
「だ、大丈夫ですか!?」
硬直が解けた私は焦燥感の入り混ざった声で危機一髪を免れた二人へと駆け寄る。後ろを歩いていたら1名の騎士も同様に彼らの側へと走った。
コルネリウスに抱かれた少女は彼の胸から抜け出し、倒れた身体を起こす。そして涙を目にいっぱい溜めて泣き喚いていた。
コルネリウスはというと、その場で倒れ込んだまま背中を丸めていた。見る限り外傷もなく、頭をぶつけたように見えなかった。けれど、よく見れば若干震えているようで。
「っ、コルネリウス様!」
そこでようやく手首の拘束具の副作用を思い出した。
急いでコルネリウスの顔を覗き込めば、上気した顔に潤んだ瞳──完全に発情の効果が現れており。
このままではないけない。
咄嗟にそばにいた騎士に少女を任せ、「コルネリウス様の怪我の治療をしてきます」と告げる。焦っていたのだろう、私のあまりの気迫に騎士は「……は、はいっ」と首を何度も振って了解の旨を伝えてきた。
「……っ、移動しましょう。ごめんなさい、頑張って立ってください!」
私の言葉にコルネリウスは頭をこくりと振る。私も肩を貸したが、流石の精神力でほとんど自分で起き上がった。彼の手を掴み、私は急いでその場を離れて人の少ない場所を探す。
辿り着いたのは薄汚れた路地裏だった。
「……っくそっ、はぁっ、っ、はぁ」
頬を紅潮させたコルネリウスは荒い息をつき、苦しげに眉間の皺を深めた。人がそばにいる状況から抜け出さなければと思い、急いで引き連れて来てしまった。
反射的に繋いだ手は異常に熱く、俯く顔は艶やかで。色気に満ちたその表情を見ているだけで、私の胸は勝手に早鐘を打ってしまうほどだった。
「と、とりあえずこんな路地裏じゃ、いつ人がくるか
分かりません……どこか人から隠れることのできるとこ……宿とか近くにあれば──」
「……はぁ、無理だ。すまないっ」
コルネリウスは短く謝ったと思えば、突然繋いだ私の手を引き寄せる。ぐっと近づいたその距離に、顔の近さに、私は狼狽を通り越して固まってしまう。そして気がつけば──。
「……んっ!」
唇に温かいモノが触れた。柔らかいそれがコルネリウスの唇だと理解するのに数秒を要した。彼はその分厚い舌で強引に私の唇をこじ開けたかと思えば、中へと差し込んでくる。にゅるりと初めて味わう感覚に背中が震え、腰が砕けそうになった。
「……んんっ!」
ぐちゅぐちゅと唾液の混じる音が路地裏に響く。青空の下、日中からこのような淫猥な行いをしていることに後ろめたさを感じる。けれど口内を蠢く熱い舌が心地よくて、甘い快楽へ流されていく。
彼の舌は歯列をなぞり、口腔内を暴れ回った。抱きしめるように強引に腰を引き寄せられば、腹に熱く固いものの存在を感じた。それが何か理解した途端、顔から火が出る思いだった。
発情による興奮で、頭に血が昇っているコルネリウスはほとんど理性を保ててはいないようだった。ぐりり、と怒張を押し付けられ、熱い口付けに翻弄され続けることしかできない。
だが突如コルネリウスは、ふと、我に帰ることができたのか私の肩を突き放した。小さく悲鳴をあげて後退した私に向かって「すまないっ」と苦しげに言う。
それを見て、本能的に彼をどうなかしなければという使命感に駆られた。
昨日、私が発情で苦しんでいたところをコルネリウスは助けてくれた。あのどうしようもない圧倒的な飢餓のような苦痛に人の身で抗うことなどできるはずもない。それを我慢するなど正気の沙汰ではないということを身をもって実感しているのだから。
私は喉を鳴らして唾を飲み込み、覚悟を決める。
彼は自分の身を挺して少女を守った。発情するかもしれないと分かっていても、事故を前にしたら自然と動いてしまう人なのだ。そんな人間を放っておくほど、私も鬼畜ではない。
「じっとしていてください」
「……っ、なにをっ」
「私も初めてで上手くできるかは分かりませんが、頑張ってみます」
脂汗を流しながら動揺するコルネリウスをよそに、私は彼の下腹部を前に居座る。すでに衣服の上からでもわかるほどに性器は勃起しているようだった。震える手でズボンの前をくつろげ、下着をずらせば。
「……っ!」
初めて間近に見た男性の象徴は、思わず悲鳴を上げたくなるほどの衝撃的なものだった。先端から透明な汁がたらたらと溢れる陰茎は全体的に赤黒く、空を向き反り立っている。
とりあえず片手で包み込めば、熱く、びくびくと脈打つのを感じた。とろりとあふれ出る先走り液が私の手に垂れてくる。頭上から「くっ」と息を漏らすコルネリウスのため息が聞こえた。
私は友人との猥談で耳にした知識を総動員しながら、ゆっくりと手を上下に擦り始めた。汁の粘着質な音を気にすることなく、強弱をつけて腕を振る。ぬちぬちと湿った音は次第に大きくなっていき、比例してコルネリウスの欲望も体積を増していった。
「きもちいですか?」
普段、腕の運動をすることのない私はこれだけで息を切らしてしまう。問いかければ、コルネリウスは額に汗を滲ませながら悔しそうにそっぽを向いた。
その様子を見て、やり方が間違っていないと確信した私は恐る恐る彼の屹立に顔を寄せた。そして口を開いて先端を咥える。
2
あなたにおすすめの小説
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする
葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。
そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった!
ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――?
意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。
賭けから始まった偽りの結婚~愛する旦那様を解放したのになぜか辺境まで押しかけて来て愛息子ごと溺愛されてます~
Tubling@書籍化&コミカライズ
恋愛
2月3日に完結します^^
完結しましたら感想欄開ける予定です!
ルシェンテ王国の末の王女カタリナは、姉たちから凄惨な嫌がらせをされる日々に王女とは名ばかりの惨めな生活を送っていた。
両親は自分に無関心、兄にも煙たがられ、いっそ透明人間になれたらと思う日々。
そんな中、隣国ジグマリン王国の建国祭に国賓として訪れた際、「鬼神」と恐れられている騎士公爵レブランドと出会う。
しかし鬼とは程遠い公爵の素顔に触れたカタリナは、彼に惹かれていく。
やがて想い人から縁談の話が舞い込み、夢見心地で嫁いでいったカタリナを待っていたのは悲しい現実で…?
旦那様の為に邸を去ったけれど、お腹には天使が――――
息子の為に生きよう。
そう決意して生活する私と息子のもとへ、あの人がやってくるなんて。
再会した彼には絶対に帰らないと伝えたはずなのに、2人とも連れて帰ると言ってきかないんですけど?
私が邪魔者だったはずなのに、なんだか彼の態度がおかしくて…
愛された事のない王女がただ一つの宝物(息子)を授かり、愛し愛される喜びを知るロマンスファンタジーです。
●本編は10万字ほどで完結予定。
●最初こそシリアスですが、だんだんとほのぼのになっていきます^^
●最後はハッピーエンドです。
初恋をこじらせた騎士軍師は、愛妻を偏愛する ~有能な頭脳が愛妻には働きません!~
如月あこ
恋愛
宮廷使用人のメリアは男好きのする体型のせいで、日頃から貴族男性に絡まれることが多く、自分の身体を嫌っていた。
ある夜、悪辣で有名な貴族の男に王城の庭園へ追い込まれて、絶体絶命のピンチに陥る。
懸命に守ってきた純潔がついに散らされてしまう! と、恐怖に駆られるメリアを助けたのは『騎士軍師』という特別な階級を与えられている、策士として有名な男ゲオルグだった。
メリアはゲオルグの提案で、大切な人たちを守るために、彼と契約結婚をすることになるが――。
騎士軍師(40歳)×宮廷使用人(22歳)
ひたすら不器用で素直な二人の、両片想いむずむずストーリー。
※ヒロインは、むちっとした体型(太っているわけではないが、本人は太っていると思い込んでいる)
氷狼魔術師長様と私の、甘い契約結婚~実は溺愛されていたなんて聞いていません!~
雨宮羽那
恋愛
魔術国家アステリエで事務官として働くセレフィアは、義理の家族に給料を奪われ、婚期を逃した厄介者として扱われていた。
そんなある日、上司である魔術師長・シリウスが事務室へやってきて、「私と結婚してください」と言い放った!
詳しく話を聞けば、どうやらシリウスにも事情があるようで、契約結婚の話を持ちかけられる。
家から抜け出るきっかけだと、シリウスとの結婚を決意するセレフィア。
同居生活が始まるが、シリウスはなぜかしれっとセレフィアを甘やかしてくる!?
「これは契約結婚のはずですよね!?」
……一方セレフィアがいなくなった義理の家族は、徐々に狂い始めて……?
◇◇◇◇
恋愛小説大賞に応募しています。
お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます( . .)"
モチベになるので良ければ応援していただけると嬉しいです!
※この作品は「小説家になろう」様にも掲載しております。
※表紙はAIイラストです。文字入れは「装丁カフェ」様を使用しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる