【完結】いじめっ子に脅迫されてますが、私の救いはどこにあるのでしょうか

椿かもめ

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脅し

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 男に連れてこられたその部屋で、ここは目を瞬いた。

「おいブス、さっさと脱げよ」

 いったい彼はなにを言ったのだろうか?
 理解できずに呆然とするココを前に、再度目の前の男────エドモンドが言う。

「脱げって言ってんだよ、このブス。お前みたいなブスの裸見たって勃つとは思えねぇけどな」

 た、た、た、勃つ!?

 ココは真っ赤な顔でやっと理解を示す。
 エドモンドはココに対し、脱衣を強要しているのだ。
 人前で、ましてや男性の前で肌など見せたことがなかったココは固まった。
 十八にもなって未だ恋人の一人も出来たことがなく、裸を見せる相手すらいない。
 極度の人見知りも相まって、男性とスラスラ話すことも出来ないほどなのだ。

「で、も」

「でもじゃねぇ。『アレ』、あいつにバラされたくなきゃさっさと脱げよ。ちなみに裸になるまでな」

 三度目の脅迫で、ココは思い出した。目の前の男、エドモンドに重大な秘密を知られてしまったことを。
 無理やりこの部屋に連れてこられたため、記憶から抜け落ちていたのだろう。
 そして恐らく見たことのないこの部屋は、エドモンドの屋敷だろうとココは予測した。

 ──ここまでの絢爛豪華な屋敷は、魔法学校の周辺では彼の実家以外に思い至らない。

 ココは考えた。

 彼に知られてしまった『秘密』だけは、なにを置いても知られる訳にはいかない。
 だがエドモンドは、二人の通う魔法学校の成績優秀者で人気者だ。
 彼が自分の噂をバラせば、たちまち学校中に広がるだろう。

 ココは躊躇いながらもゆっくりとローブに手をかける。
 心臓の音がバクバクと耳まで届くほど強く打っている。
 顔はきっと真っ赤だろう。

 エドモンドを見れば「分かればいいんだ」とばかりにしたり顔で、こちらを見ている。
 まるで籠の中に放り込まれた小鳥のような気分に陥った。

 ココはローブを脱ぎ終わると、次はブラウスに手をかけた。
 ボタンを外す手は尋常ではないほどに震え、手に汗が滲んでいるのを感じた。

 ボタンを最後まで外し終わると、ブラウスを床へと落とす。
 上半身はは頼りないブラジャーだけになってしまい、顔に似合わない豊胸がこれ見よがしに主張している。
 ココはくるぶしまで隠れる黒いスカートを「どうにでもなれ」と言う思いで投げ捨てた。

 とうとうこれで下着のみになってしまった。
 パンティとブラだけで、いったいどうやって目の前の彼と戦うのだろうか。まぁ実際に戦うわけではないが、服の中には魔法道具など隠し持っているのだ。  

 いざとなれば、それを利用してどうにでも出来た。

 だが結局はこれだ。
 ココは頼りない下着姿でエドモンドを見つめた。

「俺は『全部』脱げって言ったはずだよな? ブスの上にバカだなんて、本当お前って可哀想なやつだな」

と呆れたような目を寄越してくる。

 ココは「ブスでバカな私の裸なんて見たって何の得にもならないのに……」と内心思いながらも口には出せない。
 それがココだった。

「も、う、これ以上、脱げないよ……」

 ココは真っ赤な顔で、目に涙を浮かべながら言った。
 秘密をバラされるのはとても困る。  
 だが、これ以上自ら脱ぐことは心が耐えられなかった。

 ──好きではない男の前で。

「は?なに言ってんの? 俺が脱げって命令してるのに聞けないわけ? ……じゃ、仕方ねぇから俺が脱がしてやる。感謝しろよ」

「……えっ」

 エドモンドはココの背中に手を回し、ホックを外す。
 すると、ブラは簡単に床へと落ちた。
 ココは急いで胸を隠そうとするため、手を前に持ってこようと……することは出来なかった。
 エドモンドの両腕によって、万歳の格好にさせられたからだ。

 ココのピンク色をした頂がエドモンドの目前に突き出される。
 彼はそれをまじまじと見ながら、口を引き寄せていった。

「んん!」

 ココは腕を捕まえられているため、口を手で押さえることができず、そのまま嬌声をこぼした。
 小動物のように可愛らしい顔や体格に似合わず、ココの胸は大きい。
 成長するたびに、コンプレックスに思ってきたそれを、よく知っている男の前に晒さねばならないなんてとんだ拷問だった。

 そんなこともいざ知らず、エドモンドは小さな体で必死に暴れるココなど意にも止めず、口内で頂を弄る。
 舌でぐりぐりとされると、背筋に甘い何かが走り、腰を揺らしてしまう。
 歯で甘噛みをされると、鋭い刺激が脳に直接響き、甘い悲鳴をあげてしまう。

 そんなはしたない自分を嫌悪しながらも、体はつつがなく刺激を求めていた。

「もうっ、や、めてくだ……さい」

「はっ、なんで? これは取引だ。俺はお前の秘密を誰にも話さない。その代わり、お前は俺の言うことをなんでも聞く」 

「そ、んな」

 エドモンドはそう言ってココの顔に、自分の顔を近づけた。

 キスされる。

 そう思い、思わず瞳を瞑る。
 しかし、唇に気配を感じることはなく、ココは目を開けた。
 すると目の前には、怒りの表情を浮かべたエドモンドがいた。

「ブスのお前にキスなんてしてやるわけないだろ。自惚れんなよ」

 ズキリ。

 胸がキリキリと痛むのを感じる。
 彼はいつもこうだった。
 私をバカにして、追い詰めるのだ。

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